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次期診療報酬改定 7対1入院基本料、かかりつけ薬剤師などが焦点に 薬価制度改革骨子も了承

公開日時 2015/12/28 03:53

中医協総会は12月25日開かれ、2016年度診療報酬改定率の報告を受け、支払側、診療側の各側から意見が出された。支払い側は、急性期病床である7対1入院基本料について重症度、医療・介護必要度、平均在院日数、在宅復帰率の見直しを求めた。調剤報酬については、かかりつけ薬剤師については機能を診療報酬上明確にした上で、服薬状況の一元的・継続的管理を行うことを求めた。一方、診療側は初診料・再診料の引上げや、地域包括ケアシステムにおけるかかりつけ医の手厚い評価、かかりつけ薬剤師・薬局の推進を求めた。これに基づき、年明けから診療報酬改定の個別改定項目の議論に入る。

医薬品関連では、支払側が薬局での後発医薬品体制加算について調剤割合の低い薬局での減算措置を設定すべきとした。また、湿布薬、ビタミン剤、うがい薬などの市販品類似薬は「負担の公平性の観点から保険給付から除外すべき」とした。湿布薬については1回あたりの上限を70枚に設定し、処方日数の記載や70枚を超える場合には理由をレセプトに記載することを求めた。ビタミンD以外のビタミン製剤については、投与が必要な場合に限定すべきとし、処方できる疾患名を限定すべきだと主張した。

◎薬価制度改革骨子了承 特例引き下げ導入に製薬業界は反対


同日の総会では、売上が1000億円を超える医薬品の薬価を引き下げる巨額再算定や基礎的医薬品の新設、新薬創出加算の試行的導入の継続などを盛り込んだ2016年度薬価制度改革骨子も了承された。基本的考え方として、「革新的新薬の評価に重点を置き、特許の切れた新薬については後発医薬品への置き換えが着実に進むような薬価制度」とされた。これについて専門委員の加茂谷佳明氏(塩野義製薬株式会社常務執行役員)は、「業界もこれに対応した企業活動を進めているところ。メリハリをつけた薬価制度が政策目標につながると確信している」と述べた。

その上で、16年度改定で、新薬創出加算の試行的導入の継続や先駆け審査指定制度加算の導入されることについて、「予見性が高まることについては日本での革新的な新薬の開発を後押しするもの」と評価を示した。基礎的医薬品については、「試行的導入ということで、対象品目を絞り込んで実施されると理解しているが、次期改定に向けて引き続き検討していただきたい」と述べた。

一方、特例再算定については、「前提条件の変化を問わず市場規模の拡大の事実のみをもって薬価を引き下げるのは妥当ではないというのが基本的な考え方」と主張した上で、「特定の企業に対してきわめて大きな影響、負担を負わせることになることから、個別の事情をよく勘案し、対応いただきたい。今後、医療費に占める薬剤費全体の議論、国をあげて取り組んでいるイノベーション創出のための取り組みとも照らしあわせてその必要性について引き続き議論いただきたい」と述べた。


◎日薬連「製薬業界にとって総体的に厳しい結果」


骨子が了承されたのを受け、日本製薬団体連合会(=日薬連、野木森雅郁会長)、日本製薬工業協会(=製薬協、多田正世会長)、日本ジェネリック製薬協会(=GE薬協、吉田逸郎会長)の3団体はこれを受け、声明を発表した。以下、各団体のコメント。

日薬連は「今回の薬価制度改革は、製薬業界にとって総体的に厳しい結果となった。引き続き、我が国の医療保障制度の持続性維持と国民の健康・増進、および成長産業としての製薬産業の国際競争力強化という政策目標の達成を目指して取り組んでいく」とコメントを出した。

具体的項目として、新薬創出加算の試行的導入や基礎的医薬品の新設を評価した一方で、特例再算定や後発品へ置き換えが進まない先発品の特例引き下げ(Z2)の区分見直しに言及した。特例再算定については「市場拡大再算定と異なり、薬価設定時の前提条件の変化という自由に基づくことさえなく、単に販売額と拡大倍率だけに基づいて薬価引き下げを行うルールは極めて理不尽なものと捉えている。イノベーションの評価と皆保険制度の持続性維持の大切さを理解しながらも、薬剤費全体と個別医薬品の市場規模の在り方を抜本的に検討した上で、製薬業界にとって納得性のある結論にしていただきたかった」とした。またZ2の区分見直しについては、「後発医薬品への置き換えによる医療費適正効果額は年々スピードを増す形で増加しており、さらなる削減を目的とする本特例引き下げの強化は容認できない」とした。

製薬協も同様に新薬創出加算の試行的導入の継続や基礎的医薬品の新設を評価した上で、特例再算定については「イノベーションの否定そのものと言わざるをえず、到底容認することはできない」とした。そのほか、費用対効果評価の試行的導入については、本格的導入を前提としないことや、製薬業界の意見の反映、議論の参画を配慮することを改めて求めた。

GE薬協は、初収載時の後発医薬品の薬価引き下げについて「生産設備の増強などの巨額の投資判断を迫られていることなど大変厳しい経営状況であることを訴え、現状維持を要望した。しかし、薬価調査の結果、新規収載後発医薬品のかい離率が先発品の水準と比べ非常に大きな数値だった。市場実態に基づかない要望をしたことについて深く反省している。流通面の改善も含め、後発医薬品のさらなる信頼性の向上に向けて努力する」とコメントを出した。
 

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