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サノフィ 三重県でニルセビマブの大規模疫学研究開始 小児RSV感染症の疫学的インパクトなど評価

公開日時 2025/04/07 04:49
サノフィは4月4日、三重大学および三重病院との連携のもと、三重県におけるRSウイルス感染症予防薬・ニルセビマブ導入による小児RSウイルス感染症の疫学的インパクトなどを評価する大規模疫学研究「SYMPHONIE」を開始したと発表した。同研究ではニルセビマブの受容性・安全性も評価する。同研究で得られた知見をもとに、現在保険適用外となっている健常な乳児に対する予防投与を含めて、広く同剤が投与(接種)される環境の整備につなげたい考えだ。

ニルセビマブ(一般名、国内製品名:ベイフォータス)は長期間作用型のモノクローナル抗体で、RSウイルス感染症の重症化を防ぐことが期待できる。2024年3月に国内承認された。ただ、主に早産時・基礎疾患のある児を含む重症化リスクの高い乳幼児は保険適用の対象だが、健常な乳児に対する予防投与は薬事承認されているものの保険適用外で全額自己負担となっている。

◎「健康な正期産児におけるRSウイルスによる下気道感染の予防は長年のアンメットニーズ」

サノフィは、RSウイルス感染症による入院例の9割を健康な正期産児が占めているとした上で、「健康な正期産児におけるRSウイルスによる下気道感染の予防は長年のアンメットニーズになっている」と指摘。健常な乳児を含めて広くニルセビマブが投与される環境を早急に整備する必要があると訴えている。

日本小児科学会も24年11月に、「すべての新生児・乳児に対しても抗RSウイルスヒトモノクローナル抗体製剤を広く提供するための体制整備に関する要望書」を福岡資麿厚労相に提出しており、「すべての新生児・乳児をRSウイルス感染症の重症化から予防するために、費用の負担を軽減し、抗RSウイルスヒトモノクローナル抗体製剤の投与を広く提供できるような体制の早期実現を要望する」としている。

欧米諸国等では、2023/2024シーズンから全ての新生児・乳児に対してニルセビマブが導入され、臨床試験を裏付ける80~90%程度の入院の減少が複数の観察研究で報告されている。

◎100近くの小児科・産婦人科の医療機関と連携して実施

このような小児RSウイルス感染症を取り巻く国内外の状況もあってサノフィは、三重大学などと連携して、三重県内でニルセビマブの大規模疫学研究を始めた。

同研究は2つのパートで構成。SYMPHONIE-1では同剤の導入前後での、RSウイルス感染症の入院や外来診療の状況に関するデータを収集し、医療資源に対する負荷を調べることで、ニルセビマブ導入による疫学的インパクトを検討する。このデータは、オンラインのダッシュボードで毎週更新する。SYMPHONIE-2では、三重県在住の生後初回のRSウイルス感染流行期を迎える新生児、乳児に対して同剤を接種。現状は保険適用外のハイリスクを除く全ての新生児・乳児に対し、接種を保護者が受け入れるかどうかなども含めた受容性や安全性を検討する。

同研究は100近くの小児科・産婦人科の医療機関と連携して実施される。サノフィによると、国内でのワクチンやその他の予防接種の定期接種前の疫学研究としては過去に類を見ない規模のものになるという。

◎サノフィ・新城氏 研究で得られた知見をもとに「我が国の公衆衛生に貢献したい」

サノフィのメディカルマネジャー・医師兼研究担当者の新城雄士氏は、「ニルセビマブはすべての新生児・乳児をRSウイルス感染症の脅威から守るというコンセプトで開発された。この研究で得られた知見をもとに、日本にでも広くすべての新生児・乳児に投与(接種)することで、我が国の公衆衛生に貢献したい」としている。
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