ネクセラファーマジャパンの杉田真代表取締役社長は2月14日、脳血管攣縮発症抑制薬・ピヴラッツの25年通期売上について、対前年比7％増の130～140億円を見込む方針を明らかにした。24年12月期決算説明会で報告した。杉田社長は同剤のコマーシャル戦略について、臨床データを活用した脳神経外科医への啓発活動を強化し、採用病院の拡大を図るほか、同市場のシェア75％超を獲得する計画にも言及した。杉田社長は、「販売戦略を最適化し、競争力を維持する。これにより長期的な市場成長を支える強固な基盤を築きたい」と強調した。一方、クリストファー・カーギル社長CEOも同社の営業ポテンシャルの強さに触れ、「ＭＲ1人当たり生産性（年間売上ベース）が4億円を超えている」ことを明かした。

◎24年正味売上高126億5100万円（薬価ベース：152億円）、市場シェアは69％を獲得

ピヴラッツは、脳動脈瘤によるくも膜下出血（aSAH）術後の脳血管攣縮発症抑制薬。22年4月に同社初の製品として上市された。上市後の成長率は22年～23年が＋47％、23年～24年が＋14％と、強い成長軌道を描いており、24年の正味売上高は126億5100万円（薬価ベース：152億円）、市場シェアは69％を獲得している。杉田社長は、「市場シェア、売上ともに安定した成長を維持しており、2025年には130～140億円の売上目標を掲げている」と強調した。

◎ピヴラッツ「更なる成長に向けた３つの重要施策」

杉田社長は同剤のコマーシャル戦略について、「更なる成長に向けて３つの重要施策に取り組む」と表明した。第1の施策は、「医療関係者への情報提供の強化として、臨床データを活用しながら脳神経外科の先生方への啓発活動を推進し、適正使用を通じてより多くの医療機関での採用を目指したい」というもの。次に第2の施策は、「市場シェアの更なる拡大に取り組む」とし、「既に70%以上のシェアを獲得したが、25年は75%以上の達成を目標としている。このため医療機関との連携を強化し、より広いネットワークの中で着実に市場を拡大したい」と杉田社長は意気込んだ。最後に第3の施策として、「収益性の向上と持続的な成長の確保」を掲げた。

杉田社長は、「販売戦略を最適化し、競争力を維持しながら長期的な市場成長を支える強固な基盤を築きたい」と強調。「市場浸透を加速させ、安定した売上成長を維持しながら、脳神経外科領域でのリーダーシップを確立したい。引き続き市場展開を積極的に進めていく」と述べた。

◎正規雇用MR 1人当たり4億円以上の売上げ達成　クリストファー・カーギル社長CEO

なお同社はＭＲ数を開示していない。ただ、同日の説明会でクリストファー・カーギル社長CEOが、「正規雇用MR 1人当たり4億円以上の売上げを達成した」と明かしたことで、数十人規模の少数精鋭のＭＲで高いパフォーマンスを発揮していることがうかがえる。説明会でクリストファー・カーギル社長CEOは、ＭＲの生産性は「中外製薬に続くもの」とも述べている。ミクス編集部の調べで中外製薬のMR１人当たり生産性は４億4600万円（ロナプリーブの政府買上分を除く）となっており、同社ＭＲの生産性の高さが際立っている。

◎新規デュアルオレキシン受容体拮抗薬（DORA）・クービビック　40～50億円目指す

このほか国内戦略では、新規デュアルオレキシン受容体拮抗薬（DORA）・クービビックについて、25年はロイヤリティと製品供給で40～50億円を目指す方針を説明した。同剤は塩野義製薬と流通・販売提携している。杉田社長は、「不眠症治療薬市場におけるDORA製剤市場は急速に拡大しており、日本の重要性はますます高まっている」と強調。「塩野義製薬様と戦略的パートナーシップを構築し、クービビックがBest in classであると市場で評価いただくことを目指し、市場展開を加速していきたい」と述べた。

一方、アジア・パシフィック市場でのクービビックの展開については、「韓国で現地企業との連携を進めており、臨床試験は着実に順調に進んで進行している」と述べ、27年上市を目標に進める方針を明らかにした。