日本ベーリンガー 地域医療データ活用で保険事業推進 佐賀県多久市と連携協定締結
公開日時 2025/01/14 04:50
日本ベーリンガーインゲルハイムは1月10日、佐賀県多久市との間で、地域の医療データを活用した保健事業の推進に関する連携協定を締結したと発表した。「多久市データヘルスプロジェクト」として相互に連携、協力して取り組みを推進することで、多久市の健康寿命延伸と医療費の適正化を目指す。
連携・協力項目は①健康課題の解明とその対策②地域医療に従事する保健師等への情報提供の支援③各種健康教育等ポピュレーションアプローチへの支援―の3点。直近の取り組みとして、国保データベースを用いて開発した「糖尿病合併症リスク予測モデル」を活用。住民(国保被保険者)の3年以内の糖尿病合併症、最小血管障害、大血管障害および慢性腎臓病の発症リスク予測につなげる。また、後期高齢者データを階層化して過去の医療データを追跡し、後期高齢者の QOL や健康状態の維持(または悪化)の因子分析も行う。
このほか、ベーリンガーインゲルハイムがグローバルで開発した「地域医療分析ツール」を試験的に導入する。ツールは地域住民の健康課題や医療が介入すべきポイントを画面上でグラフィカルに可視化し、自治体の保健事業をサポートするシミュレーションモデル。もともと英国の国民保健サービス(NHS)の協力の下、英国内の約 280 万人の患者データを分析して作成されたモデルのため、多久市の医療データを用いることで、日本に適合したモデルの構築と運用を計画している。
多久市の横尾俊彦市長は、「『多久市データヘルスプロジェクト』を通じてデータヘルスを活用した質の高い保健事業を実現し、一人ひとりのヘルスリテラシーが向上することを期待している」とコメント。日本ベーリンガーインゲルハイムの荻村正孝代表取締役医薬事業ユニット統括社長は、「プロジェクトを通じて、多久市の健康に寄与するとともに、得られた知見を全国に展開できるよう、努力していく」としている。