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ランセット・カウントダウン 気候変動と健康で日本の優先政策を提言 強靭な医療システムへの投資を

公開日時 2024/12/18 04:50
医学誌ランセットが主宰する「ランセット・カウントダウン」は12月17日、気候変動と健康に関して日本が取り組むべき優先政策エリアについての提言を発表した。提言によると、「日本の医療システムからの温室効果ガス(GHG)の排出量は、2016年以降減少傾向にあり、2021年には過去最低を記録した」と評価。ただ、「排出量は7500万トン(CO2換算)と依然として高いまま」と指摘し、気候変動に強靭な医療システムへの投資と資金提供、医療システムからの温室効果ガスの排出削減、気候変動と健康に関する情報を広めるための医療従事者の能力向上、気候変動による災害に対応するための医療施設の整備を進めることが重要とした。

ランセット・カウントダウンによると、2022年に日本の電力供給に占める再生可能エネルギーの割合はわずか10.7%にとどまり、一方で石炭の使用は29%を占め、2000年から11%増加したと分析。さらに、2022年には化石燃料への補助金として291億米ドル(約4.4兆円)が計上され、化石燃料への依存を継続していることが浮き彫りになったと指摘した。

◎熱波日数の劇的な増加は医療システムに深刻な負担をかける

一方で、2014年~2023年にかけて乳児と65歳以上高齢者は、それぞれ年間平均17.6日と17日の熱波に曝露されたとし、これら集団は2023年には過去最高となる36.2日と34.9日の熱波に直面したと報告。熱波日数の劇的な増加は医療システムに深刻な負担をかけると指摘している。

◎「気候変動に強靭な医療システムへの投資と医療従事者の役割」に言及

その上で提言では、「気候変動に強靭な医療システムへの投資と医療従事者の役割」に言及した。日本の温室効果ガス排出削減目標(NDC)は、「これまで健康への影響を優先事項として十分に考慮してなかった」と指摘。「気候変動対策と国の保健医療目標が合致し、熱中症など気候変動によって悪化する課題に医療制度がより効果的に対処できるようになる。気候変動政策に健康を組み込むことで、日本国民の健康を守るためのより包括的で効果的な戦略を構築することができる」と強調した。

◎日本は医療部門を気候変動の健康影響に対する重要な推進力としての位置づけを

さらに、「医療従事者が気候変動に強靭な医療システムの構築を主導できるよう、高度なトレーニング、共同作業の機会、政策議論への積極的な関与を通じて、信頼される声としての役割を強化することが求められる」と述べ、これらの取り組みを通じ、「日本は医療部門を気候変動の健康影響に対する国のレジリエンスの重要な推進力として位置づけることができるようになる」との見解を示した。


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