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がん研有明病院・丸山氏 再発・難治性MCL、既存BTK阻害剤後の次治療に「アンメットニーズある」

公開日時 2024/09/06 04:50
がん研究会有明病院の丸山大・血液腫瘍科部長は9月5日、日本新薬主催のメディアセミナー「マントル細胞リンパ腫(MCL)治療における現在の治療方針とアンメットニーズ」で講演した。再発・難治性MCLに対し、共有結合型BTK阻害剤・イブルチニブ(製品名:イムブルビカ)を「二次治療、三次治療のできるだけ早い時期に使うのが一般的」(丸山氏)となるなか、イブルチニブ中止後の次治療が混とんとし、その有効性も限定的だと指摘。次治療の継続期間の中央値は1.54カ月、イブルチニブ中止後の全生存期間の中央値は5.64カ月とのデータを引き合いに、「次治療にアンメットメディカルニーズがある」と強調した。

丸山氏によると、イブルチニブ中止後の次治療として日本で最も多いのはBR療法(ベンダムスチン/リツキシマブ)だが、それでも次治療全体の16.1%にとどまる。次いでベンダムスチン単剤の7.3%、VR-CAP(ボルテゾミブ/リツキシマブ/シクロホスファミド/ドキソルビシン/プレドニゾロン)の6.6%――となっている。

イブルチニブ中止の主な理由のひとつに、同剤が共有結合するC481(BTKの481位システイン残基)の変異による抵抗性がある。これに対し丸山氏は、他のBTK阻害剤に抵抗性又は不耐容の再発・難治性MCLを効能・効果に6月に承認された非共有結合型BTK阻害剤・ピルトブルチニブ(製品名:ジャイパーカ)が次治療の選択肢のひとつになると説明。ピルトブルチニブはC481とは異なる複数のアミノ酸に非共有結合して効果を発揮するため、「C481変異による抵抗性を克服できることが大きな特長」と解説した。

また、ピルトブルチニブはBTKの選択性が高く、BTK以外のオフターゲットによる有害事象のリスクは低いとの見方も示し、「有害事象でイブルチニブを中止した患者であっても、ピルトブルチニブが治療選択肢になり得る」と述べた。

ピルトブルチニブの製造販売元は日本イーライリリーで、日本新薬が流通・販売・情報活動を行っている。6月24日に承認され、8月15日の薬価収載を経て21日から販売中。

ピルトブルチニブの国内承認の根拠となった国際共同第1/2相試験(BRUIN-18001)では、主要評価項目のBTK阻害剤抵抗性又は不耐容の再発又は難治性MCL患者における奏効率は56.9%(95%CI:44.0-69.2)だった。副次評価項目の奏効期間の中央値は未到達(95%CI:8.31-未到達)、奏効が18カ月以上持続した患者の割合は57.6%だった。無増悪生存期間の中央値は6.90カ月(95%CI:3.98-未到達)、18カ月時点の無増悪生存率は36.9%だった。

安全性は、安全性解析対象集団725例中681例(93.9%)に有害事象が認められ、主なものは疲労、下痢、挫傷などだった。重大な副作用としては感染症、出血、骨髄抑制が報告された。

BTK(ブルトン型チロシンキナーゼ)はB細胞に発現するB細胞受容体(BCR)などの下流シグナル伝達分子で、B細胞性腫瘍の発症、増殖、進展に関与する。MCLに対するBTK阻害薬は現在2剤承認されており、そのひとつのイブルチニブはBTKのATP結合ポケット内にあるC481に共有結合し、腫瘍細胞の増殖を抑制する。もう1剤のピルトブルチニブはC481とは異なる複数のアミノ酸に非共有結合し、キナーゼ活性を可逆的に阻害することで、B細胞性腫瘍の増殖を抑制すると考えられている。
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