厚労省 8製品の適応追加など承認 ヌーカラに鼻茸に伴う慢性副鼻腔炎が追加
公開日時 2024/08/29 04:51
厚生労働省は8月28日、8製品の適応追加などを承認した。グラクソ・スミスクラインのヌーカラに鼻茸に伴う慢性副鼻腔炎の適応が追加されたほか、MSDの抗PD-1抗体・キイトルーダに非小細胞肺がんにおける術前・術後補助療法の適応が追加された。武田薬品のアジルバに2歳以上6歳未満の小児用量が追加された。
適応追加などが承認された製品は次の通り(カッコ内は一般名、製造販売元)。投与経路・薬効分類順。
▽アジルバ錠10mg、同錠20mg、同顆粒1%(アジルサルタン、武田薬品):「高血圧症」を効能・効果とし、2歳以上6歳未満の小児用量を追加する新用量医薬品。再審査期間は残余(2025年9月26日まで)。薬効分類214。
アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)。今回追加された2歳以上6歳未満の小児に対する用法・用量は、「通常、アジルサルタンとして0.1mg/kg(最大2.5mg)の1日1回経口投与から開始する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減するが、1日最大投与量は0.8mg/kg(最大20mg)とする」。
これまでにアジルバの小児適応として6歳以上の用法・用量で承認されている。今回の2歳以上6歳未満の用法・用量追加で、小児高血圧症の治療環境を整える。
▽アレセンサカプセル150 mg(アレクチニブ塩酸塩、中外製薬):「ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんにおける術後補助療法」を効能・効果とする新効能・新用量・その他の医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類429。
ALK阻害剤。申請はIB(腫瘍が4cm以上)~IIIA期(UICC/AJCC第7版)のALK陽性非小細胞肺がんを完全切除した患者を対象としたグローバル第3相ALINA試験等の結果に基づく。
用法・用量は「通常、成人には1回600mgを1日2回、食後に経口投与する。ただし、投与期間は24カ月間までとする。なお、患者の状態により適宜減量する」。
▽ツルバダ配合錠(エムトリシタビン/テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩、ギリアド・サイエンシズ):「HIV-1感染症の曝露前予防」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。事前評価済公知申請。薬効分類625。
核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI)。24年2月の医薬品第二部会で事前評価が行われ、公知申請が了承されたことを受け、ギリアドは公知申請による適応追加申請を24年2月に行った。
用法・用量は「通常、成人には1回1錠を1日1回経口投与する」。なお、2月の部会後の記者説明会で、厚労省保険局は「ツルバダの保険適用の範囲はHIV感染者の治療を目的として使用された場合に限る予定にしており、通常通り予防に関しては保険適用しないという考え方になる」と説明した。
▽ヌーカラ皮下注100mgシリンジ、同皮下注100mgペン(メポリズマブ(遺伝子組換え)、グラクソ・スミスクライン):「鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(既存治療で効果不十分な患者に限る)」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は4年。薬効分類229。
ヒト化抗IL-5モノクローナル抗体。既承認の気管支喘息、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症に続く3つ目の適応として鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(CRSwNP)が加わった。CRSwNPの用法・用量は「通常、成人には1回100mgを4週間ごとに皮下に注射する」。
CRSwNPは、IL-4、IL-5及びIL-13の増加に加え、IgEの産生亢進を特徴とした2型炎症が優位の炎症性疾患であり、国内において生物学的製剤では、サノフィのヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体・デュピクセントがその適応を持っている。
▽アリムタ注射用100mg、同注射用500mg(ペメトレキセドナトリウム水和物、日本イーライリリー):「扁平上皮がんを除く非小細胞肺がんにおける術前補助療法」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。薬効分類422。
▽ペメトレキセド点滴静注用100mg「NK」、同点滴静注用500mg「NK」、同点滴静注用800mg「NK」、同点滴静注液100mg「NK」、同点滴静注液500mg「NK」、同点滴静注液800mg「NK」(ペメトレキセドナトリウムヘミペンタ水和物、日本化薬):「扁平上皮がんを除く非小細胞肺がんにおける術前補助療法」を効能・効果とする新用量医薬品。薬効分類422。
いずれも非小細胞肺がん術前補助療法でのキイトルーダとの併用に関するもの。用法・用量はいずれも「他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人には、1日1回500mg/m2(体表面積)を10分間かけて点滴静注し、少なくとも20日間休薬する。これを1コースとし、最大4コース投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する」。
▽キイトルーダ点滴静注100mg(ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)、MSD):「非小細胞肺がんにおける術前・術後補助療法」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。薬効分類429。
ヒト化抗ヒトPD-1モノクローナル抗体。申請は切除可能なII期、IIIA期、IIIB期の非小細胞肺がんを対象とした国際共同第3相KEYNOTE-671試験等の結果に基づく。
用法・用量は「術前補助療法では、他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人には、1回200mgを3週間間隔又は1回400mgを6週間間隔で30分間かけて点滴静注する。その後、術後補助療法では、1回200 mgを3週間間隔又は1回400mgを6週間間隔で30分間かけて点滴静注する。投与回数は、3週間間隔投与の場合、術前補助療法は4回まで、術後補助療法は13回まで、6週間間隔投与の場合、術前補助療法は2回まで、術後補助療法は7回までとする」。
▽プレベナー20水性懸濁注(肺炎球菌莢膜ポリサッカライド-CRM197結合体、ファイザー):「高齢者又は肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる者における肺炎球菌による感染症の予防」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余(2032年3月25日まで)。薬効分類631。
今回、高齢者又は肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる者に適応拡大した。用法・用量は「高齢者又は肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる6歳以上の者」では、「1回0.5 mLを筋肉内に注射する」。また、「肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる6歳未満の者」では、「1回0.5mLを皮下又は筋肉内に注射する」。
なお、本剤は24年3月に小児適応の承認を取得している。