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富士通 治験デジタル化で米Paradigm Healthと協業 医療機関のリアルタイムデータを治験計画に活用

公開日時 2024/08/27 04:51
富士通は8月26日、治験領域でのデジタル化促進に向けて、治験プラットフォームを提供する米国のスタートアップ企業・Paradigm Healthとの間で戦略的パートナーシップ契約を締結したと発表した。富士通の医療データ利活用基盤「Healthy Living Platform」とParadigm社の治験プラットフォームを連携させることで、治験プロセスにおいて医療機関と製薬企業との間をつなぐプラットフォームとして展開する。富士通ソーシャルソリューション事業本部Healthy Living Headの荒木達樹氏は川崎市内で開いた記者説明会で、「医療機関から収集されたリアルタイムのデータが治験計画段階から活用できる。計画当初から実現可能性の高い治験を設計でき、圧倒的な時間短縮が実現する」とアピールした。

◎医療機関と製薬企業の間をつなぐプラットフォーム 施設選定や患者募集を効率化

富士通はドラッグ・ラグ/ロスの解消を見据え、国際共同治験の誘致に向けた取り組みを始めた。その一環として製薬企業や医療機関などとともに、治験領域での医療データ活用を進めることで新たなエコシステム構築を目指す。

Paradigm社との連携では、富士通が「Healthy Living Platform」を通じて、医療機関から診療データやゲノムなどの臨床データを収集。同社のAIサービス「Fujitsu Kozuchi」の大規模言語モデル(LLM)を用いて、各種規制に準拠した形式に加工した上で、Paradigm社に提供する。Paradigm社は治験プラットフォーム上でこれらのデータを分析し、製薬企業に対して治験の計画や実施に必要な支援を行う。治験の計画段階から早期に医療機関や患者分布の実態を加味することができ、施設選定や患者募集などの面で効率化につなげることができるという。

荒木氏は記者説明会で、「治験を計画する製薬企業と実施する医療機関が医療データを介して対話しながら治験計画が立てられる。これまで一方通行に施設選定や患者募集を行っていたモノローグ型から、ダイアログ型へのパラダイムシフトになる」と意義を強調した。今後の方針として治験計画だけでなく、実行段階も含めた支援の拡大を掲げており、2030年度には治験領域で200億円の売上を目指すとしている。

なお、「Healthy Living Platform」は23年にローンチされ、現在10の医療機関で導入、または導入の動きが進んでいる。24年度は30機関への展開を目標としている。荒木氏は「国際共同治験の数を増やしていく観点から、まずはがん領域を最優先に考えている。病院数ありきではなく、対象となる疾患の患者さんに多く向き合っている病院に導入していただくことが重要だ」と述べた。

◎治験向けドキュメント生成サービスも提供 法規制に準拠して自動作成

加えて、富士通では治験特化型LLMを活用したドキュメント自動生成サービス「Patient-centric Clinical Trials」の国内提供も発表した。製薬企業の既存の文書を読み込ませ、法規制に準拠した表記にしたドキュメントを自動生成する。患者向けの文言への変更や各言語への翻訳もできる。同社の試算では、ドキュメント作成にかかる時間を従来の50%まで削減できる見込みだという。
 
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