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【中医協薬価専門部会 8月7日 議事要旨 日薬連、製薬協、JGA、PhRMA、EFPIA、卸連との質疑】

公開日時 2024/08/08 07:29
中医協薬価専門部会が8月7日開かれ、製薬関係団体から意見聴取した。本誌は、製薬業界団体からの意見陳述を経て行った診療・支払各側委員との質疑・フリーディスカッションの発言内容について議事要旨として公開する。

(意見陳述者)
・日本製薬団体連合会 会長 岡田 安史氏
・日本製薬工業協会 会長 上野 裕明氏
・日本ジェネリック製薬協会 会長 川俣 知己氏
・米国研究製薬工業協会 在日執行委員会委員 傳 幸諭氏
・欧州製薬団体連合会 会長 岩屋 孝彦氏
・一般社団法人日本医薬品卸売業連合会 会長 宮田 浩美氏

(各団体の意見陳述は略)

安川部会長:はい、ありがとうございました。業界の皆様からご意見をいただきましたので、これより質疑およびフリーディスカッションに移りたいと思います。では、長島委員お願いいたします。

長島委員:業界団体の皆さま、ご意見をありがとうございました。前回7月17日の薬価専門部会におきましては、本日の意見聴取について、業界として具体的、建設的な主張をしっかりとお聞かせいただき、有意義なものにしていただきたいと、1号側、2号側から強い要請がなされたところです。しかしながら今回のご意見は、令和6年度薬価制度改革の影響を把握するという意味では、だいぶ抽象的、定性的であったというふうに感じております。

医薬品を取り巻く状況といたしましては、薬価のみならず、関連する審議会において薬事規制や安定供給、あるいは流通に係る制度上の課題についても検討され、今後の方針も示されているところですが、そうした様々な取り組みの中で、今回の薬価改定における薬価上の対応がどのような効果をもたらしたのか。少なくとも業界・企業の内部で具体的にこれまで何をして、今後何をするのかということを、もっと明らかにしていただかないと議論が進まないように思っております。

例えば資料「薬―1」(2024年度薬価制度改革に関する3団体合同アンケート調査)の9ページ「2024年度薬価制度改革による開発計画の変更」とタイトルが「変更」になっておりますが、内容を見れば「様々な検討が始まった」、「増えた」ということで、実際に例えば仕組み、制度が変わったとか、計画が変更されたというものではないように思います。

つまり実際の「変更」ではなく、いくつかのバラバラのものが示されたに過ぎないというふうに考えています。このあたりは、確かに新薬の開発が1年でできるものではありませんので、今後も数年かかるものもあるでしょう。したがいまして、今後の薬価制度改革において、例えばドラッグ・ラグ/ロスの解消やイノベーションの推進が着実に進んでいることを把握するには、今後とも定期的に先ほど述べたような具体的に何をやって、今後何をするのか、ということの報告はぜひお願いしたいと思います。

一方、全体の影響を把握するのに時間がかかるということはよく理解しておりますが、各団体・企業の中で具体的に何をして、その影響、効果がどうだったかということの把握にはそれほど時間がかからないはずです。

例えば、喫緊の課題である医薬品の安定供給については、新型コロナ等の感染症が再び流行している中で、必要な医薬品が現場に届かないという状況はいまだ改善されておりません。そこで質問します。これは不採算品再算定の適用範囲を拡大するなど薬価上の措置をしても、その効果はあまりなかった、あるいは限定的だったということなのでしょうか?

この点について、業界団体の皆様からご意見をいただきたいと思います。

次に、日本ジェネリック製薬協会の意見についてコメントいたします。令和6年度薬価改定で導入された「企業指標」につきまして、業界としても、その導入の意義を理解し、取り組みをフォローされていかれるものと理解しました。国における後発品シェア目標が設定された頃から中医協において後発品の使用促進のためには、後発品企業による品質の確保、情報提供の充実、少し売って撤退するようなことをしない安定供給の体制が必要であると指摘しております。これが当たり前の企業文化となるよう、引き続き各社で取り組んでいただきたいと思います。

最後に質問となりますが、不採算品再算定が適用された品目について、今回初めて適用された品目あるいは、複数回適用されている品目の数を教えてください。私からは以上です。

安川部会長:長島委員からいくつかご質問ありました。もう少し皆様からのご意見を伺った上でご回答いただければと存じます。続いて森委員お願いいたします。

森委員:はい、ありがとうございます。各団体におかれましてご説明いただきありがとうございました。いくつかコメントと質問をさせていただきたいと思います。まずPhRMAの「2024年度薬価制度改革に関する3団体合同アンケート調査」に関することになります。資料8ページ目の「Q7. 2024年度改革が直接間接に影響し国内開発計画を前向きに変更したものの有無」では、国内開発計画を前向きに変更することや、資料10ページ目「Q9. 2024年度薬価制度改革による日本市場の投資優先度の変化」のアンケート結果が示されています。企業のポジティブな姿勢を示す項目ですので、正直もっとポジティブな結果が出るものと期待していました。

資料10ページ目「更なる国内開発活性化のために期待される薬価制度改革」を見ていただきますと、日本市場の投資優先度の変化ですけど、30社中12社は「現時点で大きな変化なし」となっている。それから、「上がる」と回答した企業が“ない”ことから思ったよりも低い評価結果となったという印象を持っております。

24年度薬価制度改革では業界団体の要望は大方組み込まれ、イノベーションの推進に係る評価は充実したように思っていますけれども、なぜこのような結果になったのかということについて、業界の受け止めを教えていただければと思います。

また令和6年度の薬価制度改革では、イノベーションの評価の充実を行い、実際に4月、5月に収載された医薬品においても評価が充実されてきているという印象を持っています。企業としての受け止めは様々とはいえ、令和6年度薬価制度改革の効果が見えないまま、つまり国内開発計画の前向きな変更が確認できないまま、薬価収載時の価格設定の見直しを新たに要望するよりも、まずはしっかりと国内開発計画を前向きに変更した上で、ドラッグ・ラグ/ロスの解消に取り組んでいただくことが重要であるというふうに考えております。

次に製薬協にお伺いしたいと思います。EFPIAそれから日薬連に関しては中間年改定に関してコメントがありましたけれども、中間年改定が仮に実施された場合、考えられるドラッグ・ラグ/ロスへの影響を教えていただければというふうに思っております。

次に資料「薬-3」のJGAの資料についてです。アペンディックスの中で供給不安への対策をまとめ、生産やスケールアップ、それから生産余力の強化などが示されています。関係企業の皆様におかれましては日々安定供給に向けた努力を行っていただき感謝を申し上げます。

その上で今回新たな取り組みが示されておりますが、正直、供給不安問題が出てから3年以上経って、業界の対応は遅いというふうに言わざるを得ません。早急に進めていただきますようお願いいたします。

各社が増産対応しているとの報道がありますけども現場にはそのことが見えません。今回の資料に安定供給に向けた生産余力の強化が示されていますが、次回で結構ですので、3年前からの取り組み、増産状況、今後の生産予定等を示しているお示しいただければというふうに思います。

また2024年度の薬価制度改革で後発品メーカーに企業指標等が導入されました。このことに関して業界としての受け止めをお聞かせいただければと思います。

また「安定供給責任者会議」を設定するということですが、これは厚生労働省が公正取引委員会と相談の上、関係企業と連携してやっていただかないと進まないものと理解をしています。公正取引委員会の相談の必要性は以前から指摘があったと思いますけども、進捗があったのかどうか全く見えません。ここはJGAと厚生労働省への質問になりますけども公正取引委員会とはどのような話をして、現在どのようになっているのか可能な範囲で教えていただければというふうに思っております。

医薬品が供給不足になる、治療に影響する、患者さんの生命に関係する、ということは非常に大きな問題で、これは独禁法と関係ないというふうに私は理解をしております。また供給不安解消に向けては流通改善、生産体制などの対応も必要で、それらは様々な会議体などで検討されており、現在バラバラに動いているような状況です。

供給不安解消に向けては様々な面からの対応、つまり“合わせ技”で対応していくものであり、その辺りは一度取りまとめて一つのポンチ絵で示すなど、関係者にわかりやすい資料をご用意いただきたいと思います。これは要望になります。

またお願いになりますけど、JGAとしての取り組みの見える化、つまり業界の自主ビジョンをお示しいただきたいのですが、そのあたりの動きはどうなっているのか教えていただければと思います。繰り返しになりますが供給不安が発生してから3年以上経ってこれからあるべき姿を調査研究しているというのはちょっと遅いという印象を持っております。

次に資料「薬-4」の日薬連の資料についてです。中間年改定の意見が取りまとめられておりますけども、医薬品を生産されている当事者の意見として大変重要なものと受け止めるべきと考えております。

最後に卸連の資料「薬―5」についてです。5ページ目「医療用医薬品の商取引の実態」のところをご覧いただければと思います。

病院、診療所、薬局との取引における問題点が示されていますが、価格形成機能を有する卸がその機能をうまく発揮できていないのではないかというふうに考えております。業界としてその機能をうまく発揮できてない状況を是正するための取り組みなどは検討されていますでしょうか?

また、必要とあれば厚生労働省は関係団体とも連携や話し合いを持つべきだと考えますがそのあたりの姿勢も教えていただければと思います。資料5ページ目「医療用医薬品の商取引の実態」の薬局のところで価格代行業者について、個々の店舗の取引条件や数量を考慮しない交渉を迫るということが示されていますが、卸が通常の取引よりも大きな薬価差を生じさせているということでしょうか?

それは流通改善ガイドラインの趣旨を無視しており、この件については、まずは卸が毅然とした態度をとって臨むことが重要で、卸連におかれましては、価格形成機能の発揮に向けて取り組んでいただけるようお願いをいたします。

最後に意見になりますけども、過度に大きな薬価差、薬価差の偏在が問題になっていますが、中小の薬局は何年も管理コスト、廃棄損耗コストすら賄えないような状況が続いております。

薬価改定により、こうした中小の薬局が特に大きな影響を毎回受け、経営的にも限界となっています。そうした中でも、過度に大きな薬価差、薬価差の偏在は発生しています。卸が適切な価格形成機能を発揮して、過度に大きな薬価差や薬価差の偏在の是正をお願いします。ここは強調させていただきたいというふうに思います。私からは以上です。

安川部会長:はい、ありがとうございます。いくつか質問がございましたのでここで業界の皆さまから長島委員と森委員へのご質問について回答いただければと思います。

岡田日薬連会長:中間年改定に関して実施も含めたというところに関して発言をいただいたということですので、その点についてもう一度ご説明させていただきたいというふうに思います。陳述で申し上げました通り、これまで通りの枠組みで中間年改定を実施するということは、イノベーションの推進、あるいは安定供給の確保に則った施策には決してならないというふうに私どもは考えております。今般、業界としては中間年改定を実施すべきではないということを申し上げた次第でございます。

その上で、資料「薬―4」のところでも「薬価改定のあり方を検討する」という骨太方針の文言を受けた我々の考えについて、「薬価差が生じる要因との本質的な議論が行われるべき」ということで説明させていただきましたけども、もう少し補足説明させていただきますと、やはり現行制度は、薬価差が必然的に生じる仕組みであるというふうに認識しております。従って価格乖離が生じていることを理由に市場実勢価に基づく薬価改定が毎年機械的に行われると、いま7年連続の改定で薬価下落が加速しているわけですけれども、これについてやはり見直すべき時期だということであります。

これは医薬品特性とか地域とか取引規模によって様々な要因によって生じる薬価差について、関係者がやはり共通の認識を持つべきというのが、この検討の一番のスタート時点になるかと思います。

その上で医薬品の取引実態から医薬品の大きく分けてカテゴリーごとに薬価差の程度や役割等を踏まえて薬価改定のあり方を検討すべきだというふうに思います。

検討に際しましてはそのカテゴリー別に制度としてあるべき姿を踏まえて、どういう仕組みが必要なのかという議論を是非させていただきたいというふうに思っております。

現在、流改懇におきまして、森委員からご指摘のあった過度な薬価差や薬価差の偏在について議論され、医薬品のカテゴリー別あるいは医療機関や薬局では規模別の取引についての調査が行われているというふうに認識をしております。この調査結果で薬価差の偏在がどこにどういうふうにあるのかということについて、私がいま申し上げている薬価改定のあり方を検討する際の極めて重要な資料になると認識をしております。改めてその上で我々の提案等をさせていただければというふうに思います。私はまず全体的なところに関してコメントをさせていただきました。

川俣JGA会長:ありがとうございます。ジェネリック製薬協会でございます。不採算品再算定の話でございますが、まず2回にわたり特別に大規模な不採算品再算定の検討いただいたということに関して非常にありがたく思っております。私どもの資料「薬-3」の6ページ目「取り巻く環境の変化 ~不採算の状況~」に記載したように、現在もまだ不採算になっている品目というのが数多くございます。

これを解消していく取り組みというのが今後も必要であるというふうに考えております。もちろん原材料や製造経費の高騰が続いておりますので、そこに手当できるような仕組みというのは継続的にやっていただきたいと思っているところです。

長島委員からのご質問があった、初めて不採算品再算定が適用された品目数、複数回適用された品目数はまだ把握しておりませんので、次回の回答とさせていただいてよろしいでしょうか?

安川部会長:長島委員いかがでしょうか?

長島委員:はい。最初にご質問したように不採算品再算定に対する薬価上の措置をしたけれども、それが本当に有効だったのか、有効でないとすればそれは何故なのか、どういう分野で有効でなかったのか、その観点から、複数回提供されている品目というのも重要になってくるということでお聞きしたんですけど、そのような把握をまず業界はされていないということでしょうか?

川俣JGA会長:残念ながら。

長島委員:とするとなかなか先に繋がりませんので、まず具体的に最初に申し上げましたように、全体の影響による把握に時間がかかるとしても自分の企業、自分の業界で具体的に何をやって企業内でどのような効果、影響があったということはすぐにでもわかることなので、そこは直ちに把握し、ぜひご報告いただきたいと思います。そうしないと次にこれをやっても意味があるのかという議論になってしまうかと思います。

川俣JGA会長:不採算品再算定をいただいた部分というのはもちろん効果があったというふうに我々は理解しているのですが、それで十分なのかどうかという部分に対して追加で調査をしていきたいというふうに思います。

次に森委員からのご質問でございますが、こちらも私どもの資料を最後のページ(安定供給責任者会議の立ち上げ)に書かせていただいておりますが、我々JGAの会員企業はこれまで様々な取り組みをして増産を行っております。この増産が足りないのかっていう部分が把握できてないというのが最大の問題だと思っております。どのぐらい増産したらいいのかということ自体の情報共有がないというのが、最大の問題点だったと思いますので、こちらは安定供給責任者会議において、製造数量の調査をできるようにしていきたい。

私どもの工場に在庫が山のように積み重なっている品目というのも実際ございます。また医療機関の先生方のところにも偏在化が起こっているというふうに伺っております。これを平準化することによって供給不安の解消に繋がればというふうに考えているところです。

話は飛びましてJAGのビジョンでございますが、私どもとして、今までジェネリック医薬品市場が成長産業であったわけですが、これからは成熟産業に切り替わっていくと受け止めております。この成熟産業に変容していくにあたっての、我々ジェネリック製薬企業のあり方というのは、これはぜひとも考えていかなければいけないというところでございますので、こちらに対する研究会を立ち上げようとしているところです。

それから安定供給責任者会議と公正取引委員会との関係ですが、こちらは厚生労働省を介してやり取りをさせていただいております。厚生労働省の方からご説明をいただければと思いますがいかがでしょうか?

安川部会長;事務局お願いいたします。

事務局:厚生労働省の医薬産業振興医療情報企画課長でございます。後発医薬品を中心とした供給不安、供給不足の問題に対しまして、産業構造のあり方ということについて検討会でご議論をいただいて報告書をまとめていただきました。その中で公正取引委員会との調整ということにつきまして、現行法の中で問題なく行える企業間連携等の具体的な事例について、事例集を作成して周知を行うとか、厚生労働省に後発品業界向けの相談窓口を設置して、独禁法上の懸念への相談、あるいは公正取引委員会の相談のための事務的な手続きのサポートを行うことが提言されており、私どもとしても、公正取引委員会と連携をしながら、まずは事例集の原案を作成するために、業界再編に関する法令上の懸念点につきまして意見を受け付ける窓口を厚生労働省のウェブサイト上に開設して意見を募集しているところでございます。

またJGAにおきましては、新しく会長が就任された機会を捉えまして、先ほどご説明にあったような「安定供給責任者会議」の立ち上げということについてご検討いただいてございます。

私どもの方で公正取引委員会と協議をいたしておりまして、どういう形であれば独禁法上、競争政策上問題がない形で行えるのか、実現するための観点から協議をしております。先ほどのJGAの資料の中で、供給不足や供給停止してしまう「A社」が不足の見込まれる数量あるいは期間等の情報を各社に共有し、A社において、各社の増産可能数量の把握をするということであれば独禁法上の観点からも問題なく行えるのではないか、そうした方向で今具体的なところの調整を進めているというところでございます。

供給不安の問題がずっと続いておりまして、私どもは、こうした後発品の産業構造上の課題にも対応しておりますが、足元の供給不安、供給不足の状況を具体的にどう解消していくかということで、今のJGAの話も一つでございますし、私ども明日(8月8日開催)に「医療用医薬品の安定確保策に関する有識者会議」を開いてご議論いただきます。その中で限定出荷されている品目を解除することが何故できないのかということについて一部ピックアップして調査しまして、その具体的な原因を把握するとともにそれを解消するためにどうすればいいか。そうした取り組みを進めているところでございます。

医療現場の皆様には引き続きご迷惑をおかけしておりますが、メーカーの増産等も含めて引き続き、しっかり対応してまいりたいというふうに考えております。以上です。

宮田卸連会長:森委員からご質問いただいた件でございます。今回の改訂版・流通改善ガイドラインが2018年に発出されたガイドラインからかなり踏み込んだ形で書かれております。遵守しなければいけない行動として書かれておりますが、卸として長年お付き合いし、信頼関係を得たお得意様がボランタリーなどの価格交渉代行会社の加盟店になっていくということが、足元で非常に増えているというのは非常に同じような形で問題視をしているということでございます。

これらがどういう価格交渉になって薬価差の偏在が起こっているのか。もう少し言うと医薬品の特性や地域の特性が全く価格交渉の土台やテーブルに乗らず薬価差を求める交渉が進んでいるということも含めて、昨年の有識者検討会においても、そういう取引について調べる必要がある、あるいは現在、流改懇で過大な薬価差について調査をするということで、令和5年と令和6年の調査でどうなっているのか、どこに偏在があるのかも含めて調査していくということでございます。

卸売業としては今まで長くお付き合いしているお得意様との関係もある中で、個社が経営判断して取引をしている状況もございます。ただし、これは全体の薬価制度あるいは製品の安定供給に対して問題があるということは卸連としても認識しておりますので、現在新たな流通改善ガイドラインにつきましては、会員企業の全MSに流通改善ガイドラインへの新しい冊子とそれから遵守すべき活動については周知をしているところでございます。

また、併せて今回の未妥結減算制度につきまして、妥結状況の報告書の中にこういった価格代行業者とかボランタリーだとか、価格交渉がどういう形で行われているのかということをかなり詳細に地方厚生局に出さなくちゃいけない。そういった報告内容になっておりますので、それらも見ながら、卸連としてできる対策を一緒になって考えていきたいと思っておりますし、こういったことが、改めて新しい制度に繋がっていくものだと思っております。

薬価差の偏在についてはしっかりと対応していきたいというのが、卸連の見解でございます。

あと1点、不採算数品再算定についてですが、今回卸連として厚生労働省の方からデータをいただいておりまして、ほぼ1週間に1回アップデートして基礎的薬剤、不採算品再算定品、カテゴリーA、麻薬、覚醒剤、血液製剤などについてはデータをアップデートしております。品目数、アイテム数等々が具体的に示されております。ぜひデータベースの方にアクセスいただければ現状が把握できるようになっております。我々もこういうデータを持ってしっかりと別枠品に制度として分けていただいた部分の価格交渉も、しっかりとしていきたい。

昨年、松本委員の方から3.3%の薬価乖離だったけれども中には、かなり安く売られてるものがあるのではないか、いわゆる調整弁で使われてないかというご指摘があったかと思います。そういった部分も今回は別枠品として会員全てが認識しながら価格交渉をしていくということでございます。こういった理解もしていただきたいということで今回、改めて商取引の実態はこういうものがあるのだと、なかなか卸だけで解決できない問題があるんだということを中医協の皆様にお知らせしたかったというのが、この資料でございます。以上でございます。ありがとうございました。

岩屋EFPIA会長:まずEFPIAから森委員のご質問にお答えさせていただきたいと思います。森委員から大変ポジティブな改定をした割には企業からポジティブな回答が弱いのではないかというお話がありました。

私どもの感覚では先ほどの陳述でも申し上げましたけれども、久しぶりに医薬品の価値を認めていこうとイノベーションについて評価していこという議論をいただいたということについて会員企業全てが、「方向性が変わった」、「潮目が変わった」改定であったと認識しております。各社ともグローバル本社に対して、潮目が変わったということを踏まえて我々の行動変えようという取り組みをしております。

実際に資料「薬―1」6ページ(2024年度薬価制度改革に対する評価)を見ますと、基本的には薬価制度改革そのものは「支持」ないし、「おおむね支持」をしております。それが実際に行動変容に繋がっているのか、実際、投資の優先度が上がったかっていうことで資料「薬―1」10ページをご覧いただくと、まだそこまで来てないということですので、一つにはこうした行動に対して意識が反映されるまでというのはもちろんそれなりの時間がかかるのと、それと私自身の考えで申し上げますと、2018年の抜本改革以降で基本的には毎年イノベーションの評価についてネガティブな議論というのが繰り返されてきたという中で、やはりそれが今回ポジティブな方向に変わりつつあるものの、完全にこれで変わっていくのか、これがまた足踏みをしてしまう、ないしは同じようにブレーキを踏むような議論になってしまうのかということについて、まだ自信が持てないという部分は確実にあるかなというふうに思います。

あわせまして中間年改定は、このドラッグ・ロスに影響あるのかというご質問もいただいたところですが、中間年改定そのものがドラッグ・ロスに直接の影響があるというよりは業界がずっと申し上げていましたのは、特許のある製品については価値を変えないでいただきたい。つまり価格を見直さないでいただきたいという話をずっとしてきました。

中間年改定はとりもなおさず、そういう製品も含めて価格が下がる可能性があります。そういう意味で中間年改定が維持をされて基本的にはどの製品も市場価格に応じて価格が下がるかもしれないという仕組みが残っておりますと、やはりそこに対して投資にブレーキがかかるということかなというふうに思っております。

もう一度申し上げますと、良い議論が続いていただくということを心から望んでおりますし、それに対して各社とも日本への投資がこれまで以上に進みますように説得を続けていきたいというふうに思っておりますので、力を貸していただければなというふうに思っております。

傳PhRMA在日執行委員会委員:森委員からご質問がありました。特に資料「薬―1」8ページ目、9ページ目、10ページですね。こちらに関しての業界団体の回答についての「前向き」なのか、「前向きじゃなかった」のかということになります。先ほど森委員からご意見がございましたが、医薬品の開発に関しましては採算性もしくは臨床試験の実施の可能性や試験実施の規模など様々なことを検討する要素がございます。

実際アンケートを実施したのが6月、7月でございます。そういったことを踏まえますと、薬価制度の改革の実施から間もない時期でのアンケートの結果ということでご認識いただければとありがたく思っております。

特に資料8ページ目の右側(Q8. 2024年度改革のどの項目が開発計画の前向きな変更に影響を与えたか)について、国内開発計画が前向きなる要素として小児加算や迅速導入の声が上がっています。こうした小児加算や、迅速導入に関わる開発ができる製品が現時点では存在しないといった企業も実際あることが予測できるかと思います。

ただ一方で開発計画の前向きな変更が現時点ではないが、近い将来ある可能性を示した企業が16社もあるということを踏まえると、今後、開発計画を実際にどのくらい前向きに変更する企業が現れてくるかというふうに認識が555両見ていただけますと幸いでございます。

先ほどですね岩谷会長からもありましたが、資料「薬―1」9ページ目(2024年度薬価制度改革による開発計画の変更)は投資ということになります。資料8ページ目は開発ということです。資料10ページ目の「Q9. 2024年度薬価制度改革による日本市場の投資優先度の変化」に関しては投資ということになります。投資となりますと、製品の開発とは前向きにするというばかりの問題ではなくて、企業として日本市場に本当投資を優先させるかと、1段ギアを上げるかどうかということになります。しかしながらこういった新たに踏み出した改革の一歩がこの先、着実に進んでいくということを外資系企業の本社が見た上で、さらに投資のギアが上がっていくんではないかなというふうに思っております。ぜひ今後議論を進めていただければと思っております。ありがとうございます。

上野製薬協会長:森委員からご質問あった中間年改定がドラッグ・ロス/ラグにどのような影響があるかという少しスペシフィックなご質問だったと思いますのでご回答させていただきます。ドラッグ・ラグ/ロスというのは海外で承認されて日本に入ってこないっていうところでいうと、内資メーカーは日本市場を考えながらやりますので直接的にドラッグ・ロス/ラグはないと考えておりますが、一方で積極的にドラッグ・ラグを解消という点で考えますと、やはり導入を考えた場合に日本の市場が魅力的であることが重要で、それに対してまた中間年改定が実施されれば、それがネガティブに働くだろうとなることが一つあると思います。

一方、業界活動として今日申し上げましたように、昨今の革新的新薬はベンチャーズ企業のものが多いということを踏まえ、今後は24年度薬価制度改革とか薬事制度改革についてベンチャーに向けて情報発信していこうと考えております。その中で中間年改定ということはその情報発信に向けて一部ネガティブな話になるんではないかということを考えて、そういう点でも、やはり中間年改定は実施すべきではないというふうに考えております。以上です。

安川部会長:お待たせしました。森委員お願いします。

森委員:ご回答ありがとうございました。いま潮目が変わったということでアンケートの結果は出ていましたけども、企業の意識の変容はあったのかなというふうに思います。資料「薬-1」の3ページにありますように、意識が変わったのであれば次は企業の行動変容、そして最終的には日本における開発促進に繋がるようお願いをしたいというふうに思っております。

もう一点、JGAの方ですけども、そもそも今回の供給問題で日本全体の製造キャパシティが十分ではないということが明白なったのではないかと思っています。さらにそれが外的要因により供給不足が拡大している。先ほど長島委員からもありましたが、いま新型コロナが11波に入ってきて、現場では解熱鎮痛薬それから鎮咳去痰剤がさらに入りにくくなっている状況です。そうした中でそもそもの全体として増産をすることはもちろんですけども、必要な医薬品を増産できるためには公取委との連携は欠かせないことで、ここは厚労省の方もフォローしていただいて、生命関連商品である医薬品が足りないことは独禁法とは関係ないという先ほどお話しましたけどもぜひそこはお願いをしたいというふうに思っています。

最後に卸です。本当に重要な機能の一つが価格形成機能であると思います。薬を守る。薬の
ライフサイクルを守るということは現場を守ることにも繋がります。中小の現場もありますので、ぜひしっかりとその機能を果たしていただきたいと思います。以上です。

安川部会長:ありがとうございます。では長島委員よろしいでしょうか。

長島委員:先ほどの回答をお聞きしますと、企業・業界は今回の薬価制度改定でポジティブな受け止め方をしているけども1回の変更では意識変容は少しするけども行動変容には至らない。数年間にわたって、将来的にずっとポジティブなものが続くと確信できない限り行動変容しないというふうにも理解できる回答だったのですが、その受け止め方でよろしいのですか?

岩屋EFPIA会長:1回限りの変更では行動変容できないというふうに申し上げているわけではございません。今後の議論がどういった変更を伴うのかっていうことについては、これからの我々の企業行動に対して影響はあるというふうに感じております。

いま、イノベーションを評価する方向で議論をしていただいた方向で議論が続いている限りにおいて我々の行動は変わっていくんじゃないかなと感じております。

今回の変更がここまでの段階で我々の気持ちの部分を変えましたが、それが具体的な行動として現れるのはもう少し時間がかかるということはその通りでございます。

上野製薬協会長:今の長島委員のご質問についてお答えします。基本的に製薬企業における意思決定がどのように実際の開発経過に変わるかは各企業によって違うと思います。毎年の予算の中で各社の戦略あるいは計画が練られ、その中で優先順位に基づいて各品目の開発計画が進むと思います。そういう点で今回のPhRMAのアンケート結果では既に8社が開発計画を変更したということは、すごく大きなことだと思います。

それが実際のプロダクトとして開発がどう変わったかは1年以内に結果が出ると思います。そういったことを踏まえて私どもの行動につながり、それが結果につながっていく。実際に結果というのは例えば日本での開発が始まったというものです。

長島委員がおっしゃったように経時的に我々もフォローしてそれを適宜ご報告してまいりたい。今回の制度改革は本当に大きなインパクトがあってこれに着実に結果に繋がるように我々も見ていきたいと考えております。

傳PhRMA在日執行委員会委員:先ほど申し上げましたが、「潮目」が非常に変わった時期であるかなと思っています。継続していくことがやはり望ましいではないかと考えています。継続することによって、やはり行動変容がさらに促進するんじゃないかというふうに考えております。ように我々は考えていただきたいと思っております。

安川部会長:はい、ありがとうございます。だいぶ時間も押してまいりました。長島委員よろしいでしょうか? 

長島委員:時間に限りがあるのでこれ以上言いませんが、せっかく薬価で対応したとしても、それが十分に反映されないと受け止められるような発言というのが、どのような影響を与えるかということは十分にご考慮された方が良いかなと老婆心ながら考えました。以上です。

安川部会長:他の委員からのご意見、ご質問ありますでしょうか? 松本委員お願いいたします.

松本委員:まず個別の団体の感想コメント入る前に、今後の議論の前提について発言をさせていただきたいと思います。本日、製薬業界の皆様方から、25年度薬価改定を実施すべきではないというご意見が多数ございました。以前から申し上げている通り、内閣において方針転換がない限り、薬価改定を実施する場合にどのような内容、中身についてどうするかについて議論をすることが中医協のミッションだというふうに感じております。

この点はぜひ認識を共有していただきたいというふうに思います。先ほどありました骨太方針2024の表現も十分確認しておりますけども、皆さんが言われたイノベーション推進、安定供給、物価上昇もありますけども、国民皆保険の持続可能性も考慮しながらという意向も入っておりますので、それについてはよろしくお願いしたいと思います。

それでは各団体でコメントと質問します。できるだけ被らないように質問したいと思います。

まず資料「薬―1」ですけれども、まずは製薬企業の影響を調査していただきありがたいデータだと思っています。資料「薬―1」8ページ(2024年度薬価制度改革による開発計画の変更)を拝見しますと、小児用医薬品の評価充実が開発の後押しになっているということがわかります。今年の4月、5月に薬価収載された新薬も小児加算に対する該当製品部門が多い印象がございますので、ここをベースラインとしてさらに小児製剤が開発されることを期待したいというふうに思います。

次に「薬―2」(ドラッグ・ラグ/ロス解消に向けた製薬協の取り組み)でございます。これについては業界全体としてもドラッグ・ラグ/ロスの解消を受けた決意表明だと受け止めておりますので、時間軸を十分に意識した上で、スピード感を持った検証を期待したいというふうに思います。

続きまして「薬―3」(JGA: 安定供給に向けた取り組み)でございますけども、先ほど長島委員、森委員からも質問があったと思うんですけども、企業指標の導入についてご回答がなかったと思いますので、業界として検証作業中だと思うのですけども、現時点で分かってい影響があれば教えていただきたいというのと、令和6年度では一部のみ企業指標が導入されておりますので、これは我々としては全ての企業指標が揃って初めてバランスを見た評価になると思います。

令和7年度改定で企業指標を増やすことについて、どのようなお考えなのか教えていただきたいと思います。安定供給につきましては先ほど質問があったようでございますので、これについては控えたいと思います。

続きまして「薬―4」(日薬連)でございますけども、今回の資料には記載がございませんでしたけれども、医薬品のライフサイクルに関する考え方について質問させていただきたいと思います。昨年のヒアリングの際に、特許期間中にしっかり研究開発資金を回収して特許が切れたら速やかに後発品に市場を譲るということで、イノベーションの評価と新薬創出等加算の累積額控除は一体で議論すべきであるとの趣旨のご発言を業界からいただいた記憶しております。この考え方について改めて認識を説明いただきたいということでございます。

それと資料「薬―4」2ページと7ページに薬価差が生じる要因等の本質的な議論が必要という記載がございますけども、診療報酬改定のない年の薬価改定は、国民負担の軽減が最大の目的でございますので、薬価差が生じているのであればまず国民に還元すべきである。その上で不採算の問題はルールにのっとって対応すべきであり、薬価差に関する本質的な議論がないと実勢価格改定ができないということではないということは強く指摘させたいと思います。

最後に「薬-5」(卸連)でございます。これも今の発言の関係いたしますが、資料8ページのアスタリスクで不採算品再算定品について安定供給すべき薬品であることから、改正の対象から除外してほしいと記載がございましたが、そもそも値引きをしなければ、実勢価対象の改定の対象になりません。なぜこうした品目においても値引き、あるいは薬価差が生じているのか、これは実態を伺いたいということが一つ。それと流通改善ガイドラインについて、いくら会員内だけで一生懸命周知しても、医療機関あるいは薬局、そうした団体へのアプローチであるとか、あるいは説明あるいはその協力依頼についてどういうことが行われているのか、これは教えていただきたいと思います。私からは以上になります。

安川部会長:はい、ありがとうございます。続いて佐保委員お願いいたします。

佐保委員:業界団体の皆さん、ご説明ありがとうございました。簡潔に話したいと思います。まず製薬協のスライド5の部分です。ドラッグ・ラグ/ロスについて行政と協力し、検証を行い、解消に向けて取り組むとご説明いただきましたが、具体的な取り組み内容などありましたら補足いただければというふうに思っております。

続いて「薬-3」のジェネリック製薬協会に質問です。先ほど松本委員から企業指標について発言がありましたが、私もそこを聞こうかなと思っていましたので、この部分を省略したいと思います。

それからスライドの3に調査研究のための研究会を立ち上げというふうに書かれていますが、現在どういった状況なのか。それから研究成果を何時出されるのかというところで、詳細があれば教えていただければというふうに思っております。

それから「薬―4」(日薬連)の10、11ページに不採算品のことが書かれております。今後で構いませんので、もしこの中でわかる範囲がありましたら、もうちょっと具体的にどうなのかといったところについて、今後構いませんので、ご教示いただければと思っております。

最後に「薬―5」ですが、流通改善ガイドラインの主要性というものを感じております。医薬品の安定供給と確保のためには、流通改善を含めた検討が重要であるというふうに改めて思いましたので、これは感想ですが申し述べたいと思います。私からは以上です。

安川部会長:はい、ありがとうございます。では奥田委員からお願いします。

奥田委員:ご説明ありがとうございました。前回の薬価専門部会でも申し上げましたけれども、薬価制度につきましては、国民負担とイノベーションの推進の両立ということが重要であるというふうに考えております。

そうした中で「薬―1」の資料では2024年度薬価制度改革について、製薬業界としては先ほども既に回答がありましたけれども、イノベーションに対する評価を前向きに受け止められているというふうに私の方からは受けとめました。

それから「薬―1」9ページの薬価制度改革を踏まえた開発計画の変更例に多くの事例があります。ここに全ての具体例を書くことは無理だと思いますけれども、有用性加算の最後に「薬価制度改革が早期開発の後押しになっている」という記述がございます。これはどの団体からでも結構ですけれども、やはりこういったところで具体的な例を挙げていただけると薬価専門部会でも理解が進むのではないかなと思いますので、もしご紹介いただけることがあればお話をいただければなというふうに思います。

あとは要望ですけれども、ジェネリック医薬品協会のところで「安定供給責任者会議」の立ち上げのお話がありました。これにつきましては真に実効性のある取り組みにしていただきたいという要望だけ申し上げたいと思います。はい、私からは以上です。

安川部会長:はい、ありがとうございます。鳥潟委員お願いします。

鳥潟委員:ありがとうございます。ご説明ありがとうございました。令和6年度薬価改定がドラッグ・ロスの解消に向けてイノベーションへの評価が推進されたと認識しております。そこに対してはよかったなというふうな受け止めをしておりますけども、まだ具体的な効果見えない状況ですが、どのような行動変容になっていくかという点に関しては大いに期待していきたいというふうに感じております。

一方、医薬品の安定供給問題についてですけども、医薬品業界の構造的な課題に端を発するものというふうに考えております。特にジェネリック医薬品については選定療養も始まる中、保険者として安定供給をお願いしたいと強く思うところでございます。そこで「薬―3」のJGAの資料ですが、3ページの内容についてお伺いしたいと思います。

「安定供給責任者会議」の立ち上げを行うと説明をいただきました。個人的にも非常に期待をしているところですけども、4ページに続く内容で、供給できなかった製薬会社の振り分けを他社で補うというようなこところが記されております。その振り分けを行い、実際に製薬を始めてもらうためには何が必要なのか。独禁法との整理が必要というところはありましたけども、他社と本社というか、A社と他社における契約上での課題みたいなものもいくつかあるかと思いますが、その辺りも細かく議論して実効性のあるものにしていただきたいというふうに思っております。

また人材育成定着のための取り組みの共有と研修ですが、具体的な提示がないので、実際にはどのように進められるかに関して非常に興味があります。ぜひ具体策が提示されるようお願いしたいというふうに思っております。

業界再編ですけども、厚労省から既に後発医薬品の産業構造改革の要請を受けており、あるべき姿や対策の方向性も示されているものと認識しております。そうした中で研究会を立ち上げて調査研究を行うとのことですが、具体的にどういったことを調査研究することになるのでしょうか? もう既にいくつか挙がっているものがあればお示しいただけますと大変助かります。

いずれにせよジェネリック業界の皆様方には非常に期待をしておりますので、ぜひこの政策が行動に繋がるようお願いしたいと思います。以上になります。

安川部会長:はい、ありがとうございました。また1号が議員の方からいくつかご質問がございましたが、業界の方から極力簡潔にお願いできればと存じますがいかがでしょうか?

傳PhRMA在日執行委員会委員:先ほどご質問のありますら「薬―1」9ページ目の有用性加算におけるインパクトの具体例についてのご指摘ですが、業界としても検討しておりまして、次期薬価制度改革の議論の際にご提示させていただければと思います。よろしくご理解いただければと思います。お願いいたします。

岡田日薬連会長:先ほど松本委員からライフサイクルについて言及がなかったとの駄目押しの発言をいただいたと思います。ここに関しては前回(のヒアリングで)も多分私から発言させていただいたと思いますけれども、特許期間中の革新的な新薬についてはその価値をしっかり守っていただいて、特許が満了になれば速やかに後発品に切り替えていくべきという考え方に何ら変更はございません。

このことをしっかり制度を組み込むことによって、最終的には国民皆保険の持続性を担保できると思いますし、ひいては、いわゆる産業構造と言いますか国民の健康を支える製薬産業ということと、国家の経済成長を牽引する産業構造というところにも繋がっていくと思いますので、そのことを改めて発言させていただきたいと思います。

あと、佐保委員からありました不採算のところについては宿題として受け止めましたので、次回しっかりと資料を準備させていただきます。

宮田卸連会長:松本委員からいくつかご質問いただきました。流通改善ガイドラインを他団体にどういう形で周知徹底というかですが、3月1日に厚生労働省から医師会も含めて各団体にガイドラインの内容について通知が発出されています。我々も関係団体を訪問する中でこういう取り組みをしているということを説明しております。また、ポスターなどを作成して連合会の中で周知しております。

しかし、今回のガイドラインはかなり細かく記載されておりますので、ここについてご理解をいただく活動をさらにこれからもしていく必要があるかなと考えております。

今回、未妥結減算の設問項目が新たに設けられております。こちらも大きな変更点も含めて我々としては周知をしていきたいというところでございます。それから「2025年度については、薬価改定を中断していただきたい」との意見についてですが、実際に不採算品再算定で薬価を上げていただいた品目等々も先ほど見ていただいたように薬価が20円未満の薬剤が全体の50数%になっていて、そのうちの86%が実は限定出荷になっているような状況でございます。

私どもとしましては一度薬価を上げたものですので、先ほど製薬協の方からお話がありましたが市場実勢価主義でいけば、薬価差ゼロでご購入いただけるお得意先がどれだけあるのかっていうところもあるわけでございます。ただし平均乖離率がどうなるのかっていうことで昨年も別枠品に指定される薬剤が全体で3.3%の乖離率の中で、品目によっては12%ぐらいの乖離があったっていうことも認識してございます。今回、流通改善ガイドラインの中で別枠品は単品単価で交渉するっていうことを会員企業も徹底してやっていただいているものと思っております。この9月の妥結が、10月後半、11月に出てきたときにですね、本当にこのせっかく薬価を上げていただいたものがまた下がるようなことでいいのか。製薬企業が安心して製造できるようでなければ安定供給っていうか、これは医療機関や保険薬局様も需給調整に非常に労力と時間と人件費含めてかかっている。まさにコストがかかる話でございますので、ぜひそのようことのないような思いで、こういった形で除外して欲しい、医療上必要な品目だけは除外してほしいというのが趣旨でございます。本質的な趣旨は中断してほしいということでございます。以上でございます。

安川部会長:では製薬協さん。

上野製薬協会長:佐保委員からご質問いただきました。ドラッグ・ラグ/ロスの解消に向けて行政や団体と協力してやるのは具体的にどういうことかというご質問かと受け止めました。まず私どもの基本的な認識ですが、ドラッグ・ラグ/ロスは海外で承認されているものが日本に入ってこないっていうことをずっと考えますと、まず顕在化している86のドラッグ・ロス品については、これは既に発表のあった未承認薬検討会議のスキームというのがございますので、まずその中に則って協力してまいりたいということです。ここは行政と協力してということになります。

もう一つは将来にわたってドラッグ・ラグを解消していくっていうことで、今日一緒に発表させていたPhRMA、EFPIA、あるいはベンチャーの団体と解消に向けてどういう取り組みがあるのかということを議論するとともに、今回、共同でサーベイしたようなことを今後も継続しながらやっていく。そういう点で他団体との協力が欠かせない。そういったことも行政と協力しながらやってまいりたいとそういう考えでございます。

安川部会長:はい、ありがとうございます。ご質問にあった企業指標の影響っていうのもよろしいですかねお答えいただけますでしょうか?

川俣JGA会長:こういう企業の評価という部分については、そもそも医療関係者の方々が高品質で安定供給をしている企業を評価していただくという仕組みができていればよかったのですが、これを下支えする形で今回、企業指標が導入されまして、A指標をいただいている企業が42社ということでございます。

ただ、こちらは限定的な試行的な取り組みということで、大きな品目に対する適用というのができていない。それから今年4月の薬価改定において導入されたというところでありますので、この4月の効果がどの程度出たのかという部分については、もう少しお時間をいただかないと評価できないかなというふうに思っております。高品質で安定供給している企業の製品が評価されるような仕組みを今後も我々としては構築していきたいと考えているところです。

それから産業構造の研究会の件ですが、こちらも私どもだけで、業界の人間だけで議論をしてもなかなか効率的で実効性があるものにならないというふうに思っております。産業構造のあり方検討会に参加をされているような先生方や外部の有識者を含めた研究会にしたいというふうに考えております。

こちらも人選中でございまして、できれば秋口から冬前には研究会を立ち上げて、これからの産業環境に適用できるような産業構造を構築していきたいというふうに考えているところです。

具体的にコンソーシアムですとかM&A、吸収合併というようなところまで踏み込んで議論をしていければと考えているところです。

安川部会長:はい、ありがとうございます。松本委員、佐保委員、奥田委員よろしいでしょうか? だいぶ時間が押してまいりました。他にご意見等ありますでしょうか。江澤委員お願いいたします。

江澤委員:時間が押しておりますので簡潔に申し上げます。JGAの新たな取り組みに関しまして、一点は「安定供給責任者会議」の位置づけとか権限あるいはスピード感を含めた具体的な効果について簡単に教えていただければと思います。

2点目は要望です。やはり今回の供給不安は、コンプライアンス遵守の問題に端を発していると思いますから、やはり技術的なご指導をされるということもありましたが、しっかりコンプライアンスの観点からしっかりとガバナンスの強化ということから入口として取り組んでいただきたいと思います。

安川部会長:では江澤委員のご質問に簡潔にお願いできますでしょうか?

川俣JGA会長:効率的な増産に取り組むことによって、今まで設備投資や人員確保によって増産は行ってきたものの、より効率的な増産をするということが「安定供給者責任者会議」のあり方だと思います。現に限定出荷が本当に解除できないのかどうかという部分についても、隣の会社がどれだけ在庫を持っているのか知らないということもあって、怖くて限定出荷を解除できないということがあったのだろうと思うのです。それがわかれば、限定出荷を解除することができると思いますし、限定出荷を解除することによって、先生方のご心配というのが解消できるかなというふうに思っておりますので、積極的に取り組んでまいりたいと考えているところです。

江澤委員:すいません1点申し上げて質問しましたのが。「A社」以外の「B社」等に対するこの安定供給責任会議が、一定程度の強制力を持つとか権限を有するような会議体なのでしょうかということです。

川俣JGA会長:強制力や権限というのは持つ考えはございません。ただ皆さんの心配を解消する取り組みでありたいというふうに思っております。

安川部会長:ありがとうございました。概ねご意見ご質問を受け尽くしたということで関係業界からの意見陳述についてはここまでとさせていただきます。本日ありがとうございました。今後事務局におきまして、本日いただいたご意見等を踏まえてご対応いただきますようお願いいたします。

続きまして薬剤費等の年次推移について議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。

事務局:薬剤管理官でございます。お手元の資料「薬―6」をご覧ください。資料の2ページ目より薬剤費等の年次推移を示しております。3ページ目をご覧ください。令和3年度分につきまして推計が整いましたので、赤枠の通りご報告をいたします。報告は以上となります。

安川部会長:はい、ありがとうございました。ご質問ご意見等ありますでしょうか? よろしいでしょうか? はい。本件に係る質疑はこのあたりとしたいと思います。本日の議題は以上でございます。次回の日程につきましては事務局よりご連絡いたします。それでは本日の薬価専門部会は、これにて閉会といたします皆様長時間どうもありがとうございました。
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