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武田薬品の結腸・直腸がん治療薬・フリュザクラなど新薬等10製品承認へ 薬事審・第二部会が了承

公開日時 2024/08/05 04:49
厚生労働省の薬事審議会・医薬品第二部会は8月2日、武田薬品の結腸・直腸がん治療薬・フリュザクラカプセル(一般名:フルキンチニブ)など新薬5製品の承認の可否を審議し、承認を了承した。この中には、エーザイの胆道がん治療薬・タスフィゴ錠(タスルグラチニブコハク酸塩)が含まれる。

フリュザクラは武田薬品が中国HUTCHMED社から導入した経口投与のVEGFR1/2/3阻害剤。一方、タスフィゴはエーザイ創製の経口投与のFGFR1/2/3阻害剤だ。

報告品目は、MSDのキイトルーダ点滴静注の非小細胞肺がんにおける術前・術後補助療法の効能追加など5製品で、いずれも承認が了承された。効能追加などは8月中、新有効成分含有医薬品など薬価収載が必要な品目は9月の正式承認が見込まれる。

【審議品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)

ヌーカラ皮下注100mgシリンジ、同皮下注100mgペン(メポリズマブ(遺伝子組換え)、グラクソ・スミスクライン):「鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(既存治療で効果不十分な患者に限る)」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は4年。

ヒト化抗IL-5モノクローナル抗体。現在、ヌーカラは気管支喘息と好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の効能・効果で承認されており、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(CRSwNP)は3つ目の適応となる。CRSwNPの用法・用量は「通常、成人には1回100mgを4週間ごとに皮下に注射する」。

CRSwNPは、IL-4、IL-5及びIL-13の増加に加え、IgEの産生亢進を特徴とした2型炎症が優位の炎症性疾患であり、国内において生物学的製剤では、サノフィのヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体・デュピクセントがその適応を持っている。

GSKの承認申請時のプレスリリースによると、日本のCRS患者数は約200万人といわれ、そのうち鼻茸などを有する(wNP)ことによる手術対象例は約20万人と推定されている。

海外では、24年5月現在、CRSwNPに対して米国及び欧州を含む50以上の国又は地域で承認されている。

フリュザクラカプセル1mg、同カプセル5mg(フルキンチニブ、武田薬品):「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。

VEGFR1/2/3に対する選択性を有する経口チロシンキナーゼ阻害薬であり、腫瘍における血管新生を阻害することにより腫瘍増殖抑制作用を示す。

申請は前治療歴を有する転移性大腸がんを対象にフルキンチニブ+最良支持療法(BSC)群とプラセボ+BSC群を比較検討した国際共同第3相FRESCO-2試験等の結果に基づく。同試験に参加した日本人の治療抵抗性・転移性大腸がんにおける死亡リスクは58%減少した。

用法・用量は「通常、成人には1日1回5mgを3週間連日経口投与し、その後1週間休薬する。これを1サイクルとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する」。

武田薬品は23年1月に中国HUTCHMED社から中国を除く全世界を対象とした開発・商業化権を獲得した。海外では、24年4月時点において、4つの国又は地域で承認されている。米国で23年11月に、欧州では24年6月に承認を取得している。

アレセンサカプセル150 mg(アレクチニブ塩酸塩、中外製薬):「ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんにおける術後補助療法」を効能・効果とする新効能・新用量・その他の医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。

ALK阻害剤。申請はIB(腫瘍が4cm以上)~IIIA期(UICC/AJCC第7版)のALK陽性非小細胞肺がんを完全切除した患者を対象としたグローバル第3相ALINA試験等の結果に基づく。

用法・用量は「通常、成人には1回600mgを1日2回、食後に経口投与する。ただし、投与期間は24カ月間までとする。なお、患者の状態により適宜減量する」。

海外では、24年5月時点において、ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんにおける術後補助療法に係る効能・効果で承認されている国又は地域は米国のみ。

タスフィゴ錠35mg(タスルグラチニブコハク酸塩、エーザイ):「がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。

エーザイが創製した経口投与のFGFR1、FGFR2、FGFR3選択的チロシンキナーゼ阻害剤。用法・用量は「通常、成人には、1日1回140mgを空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する」。

日本の胆道がん患者数は約2.5万人と推計されており、FGFR2融合遺伝子は、胆道がんの15~30%を占める肝内胆管がんの約14%に認められているという。

国内においてFGFR阻害剤としては、21年6月発売のインサイト社のペマジール錠と、23年9月発売の大鵬薬品のリトゴビ錠に続く3剤目で、先行2剤も「がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道がん」の適応を持っている。

海外では、24年4月時点において、承認されている国又は地域はない。

ミールビックII皮下注用(弱毒生麻しんウイルス田辺株及び弱毒生風しんウイルス松浦/J16株、阪大微生物病研究会):「麻しん及び風しんの予防」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品及び新医療用配合剤。再審査期間は8年。

既存品である乾燥弱毒生麻しん・風しん混合ワクチン「ミールビック」の改良品であり、安定した原材料調達のため、製造工程における風疹ウイルスの培養方法を変更したもの。

用法・用量は「添付の溶剤(日本薬局方注射用水)0.7mLで溶解し、通常、その0.5mLを1回皮下に接種する」。

海外では、24年5月末時点で、いずれの国又は地域においても承認されていない。

【報告品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。

キイトルーダ点滴静注100mg(ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)、MSD):「非小細胞肺がんにおける術前・術後補助療法」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。

ヒト化抗ヒトPD-1モノクローナル抗体。申請は切除可能なII期、IIIA期、IIIB期の非小細胞肺がんを対象とした国際共同第3相KEYNOTE-671試験等の結果に基づく。

用法・用量は「術前補助療法では、他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人には、1回200mgを3週間間隔又は1回400mgを6週間間隔で30分間かけて点滴静注する。その後、術後補助療法では、1回200 mgを3週間間隔又は1回400mgを6週間間隔で30分間かけて点滴静注する。投与回数は、3週間間隔投与の場合、術前補助療法は4回まで、術後補助療法は13回まで、6週間間隔投与の場合、術前補助療法は2回まで、術後補助療法は7回までとする」。

海外では、24年3月時点において、非小細胞肺がんにおける術前及び術後補助療法に係る効能・効果で、42の国又は地域で承認されている。

アリムタ注射用100mg、同注射用500mg(ペメトレキセドナトリウム水和物、日本イーライリリー):「扁平上皮がんを除く非小細胞肺がんにおける術前補助療法」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。
ペメトレキセド点滴静注用100mg「NK」、同点滴静注用500mg「NK」、同点滴静注用800mg「NK」、同点滴静注液100mg「NK」、同点滴静注液500mg「NK」、同点滴静注液800mg「NK」(ペメトレキセドナトリウムヘミペンタ水和物、日本化薬):「扁平上皮がんを除く非小細胞肺がんにおける術前補助療法」を効能・効果とする新用量医薬品。

いずれも非小細胞肺がん術前補助療法でのキイトルーダとの併用に関するもの。用法・用量はいずれも「他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人には、1日1回500mg/m2(体表面積)を10分間かけて点滴静注し、少なくとも20日間休薬する。これを1コースとし、最大4コース投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する」。

ツルバダ配合錠(エムトリシタビン/テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩、ギリアド・サイエンシズ):「HIV-1感染症の曝露前予防」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。事前評価済公知申請。

核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI)。24年2月の医薬品第二部会で事前評価が行われ、公知申請が了承されたことを受け、ギリアドは公知申請による適応追加申請を24年2月に行った。

用法・用量は「通常、成人には1回1錠を1日1回経口投与する」。なお、2月の部会後の記者説明会で、厚労省保険局は「ツルバダの保険適用の範囲はHIV感染者の治療を目的として使用された場合に限る予定にしており、通常通り予防に関しては保険適用しないという考え方になる」と説明した。

海外では、24年7月現在、欧米等6カ国(米国、英国、独国、仏国、加国及び豪州)を含む50以上の国又は地域において「HIV-1感染症の曝露前予防」に係る効能・効果で承認されている。

プレベナー20水性懸濁注(肺炎球菌莢膜ポリサッカライド-CRM197結合体、ファイザー):「高齢者又は肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる者における肺炎球菌による感染症の予防」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余(2032年3月25日まで)。

24年3月に小児適応の承認を取得しており、高齢者又は肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる者に適応拡大するもの。

用法・用量は「高齢者又は肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる6歳以上の者」では、「1回0.5 mLを筋肉内に注射する」。また、「肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる6歳未満の者」では、「1回0.5mLを皮下又は筋肉内に注射する」。

海外では、24年4月時点で、18歳以上の成人を対象として米国、欧州を含む51の国又は地域で承認されている。小児適応については、米国、欧州、日本を含む37の国で承認されている。
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