オムロンヘルスケア ICT機器活用で心不全モニタリングの実証調査を開始 京都府立医科大と共同で
公開日時 2024/07/26 04:50
オムロンヘルスケアは7月24日、ICTを活用した製品や健康管理アプリにより、家庭で測定したバイタルデータを医療機関と共有することで、心不全患者の増悪の未然防止につなげる実証調査を7月に開始した。調査に携わる京都府立医科大学大学院医学研究科循環器内科学の的場聖明教授は「患者さんの心電図や体重、血圧を管理することで、不整脈を早めに把握、または再発を予防して、心不全の予防や治療につなげていきたい。アドヒアランスの向上や医療経済へのメリットにもつながる」と意義を強調した。
◎ICT機器で血圧や心電図を記録 解析で「心房細動の可能性」判定も
実証調査は、「在宅における心不全ICTモニタリングプロジェクト」の一環。オムロンヘルスケアの心電計付き血圧計と通信機能付き体重計を活用し、スマートフォン健康管理アプリ「OMRON connect」を介して、家庭で取得した体重、血圧、心電図といったバイタルデータを医療機関でモニタリングする。心電計付き血圧計で記録した心電図データは解析することで心房細動の可能性を判定でき、血圧測定と同時に心房細動のスクリーニングができる。プロジェクトは経済産業省が実施する「令和6 年度ヘルスケア産業基盤高度化推進事業」にも採択された。
◎実証試験は心不全患者20人対象にQOL調査 先行試験では入院の判断も
実証調査では、心不全患者20人を対象に実施。3か月間にわたって心電図と血圧、体重を測定し、看護師や心不全療養指導士がモニタリングを行い、QOL調査で評価する。的場教授は「朝と就寝前の血圧変化や心拍変動を捉えることで、交感神経の賦活を早めに把握し、心不全増悪の予防につながるかもしれない。社会実装に向けてさらに検証を進めていきたい」と述べた。
2022年4月から実施した先行試験では、被験者30人が3か月間にわたり機器を用いて測定。測定継続率は85%以上で、被験者のうち1人はモニタリング結果から心不全増悪による入院の判断につながったという。