米国保健福祉省 メディケアパートBで患者負担減額の64製品公表 パドセブ、クリースビータなど高額薬剤
公開日時 2024/06/28 04:52
米国保健福祉省(HHS)は6月26日、メディケアパートBで利用できる処方薬64製品の患者負担を減額すると発表した。メディケア・メディケイドサービスセンター(CMS)を通じ明らかにした。今回の措置はバイデン大統領が22年8月に署名した「インフレ抑制法」(IRA)に基づくもので、今回は、インフレ率よりも速いペースで価格が上昇した特定のパートB医薬品および生物製剤として64製品がリストアップされた。中身をみると、尿路上皮がん治療薬・パドセブ、悪性リンパ腫治療薬・イエスカルタ、骨疾患治療薬・クリースビータなど高額薬剤が含まれる。メディケア加入者に該当薬剤が処方されると自己負担額が下がる可能性がある。いずれも24年7月1日~9月30日までパートB共同保険料率が引き下げられる。
米国のインフレ抑制法(IRA)では、メディケア加入者に提供される特定の医薬品の処方薬価格がインフレ率よりも速く上昇した場合、製薬企業はメディケアにリベートを支払うことが義務付けられている。メディケアパートBについては、23年1月1日からインフレリベート対象医薬品として、単一ソース医薬品および生物学的製剤、特定のバイオシミラー(生物学的製剤を含む)が適用されていた。連邦政府は、メディケアパートBのインフレリベートについて遅くとも25 年秋までに当該製薬会社に請求書を発行するとしている。
◎パドセブ「四半期ごとにインフレ率より速いペースで価格が上昇している処方薬」と例示
CMSは一部該当製品について、その理由を解説している。パドセブについては、「メディケアパートBインフレリベートプログラムが発効して以来、四半期ごとにインフレ率よりも速いペースで価格が上昇している処方薬」と説明している。今回の適用により「高齢者やメディケア加入者のパートB共同保険料が引き下げられる」と指摘。これにより、「がん治療の一環としてパドセブを服用する受給者は、保険適用範囲と治療コースに応じて、2023年4月1日から2024年3月31日までに最大1181ドルを減額できる可能性がある」としている。
◎クリースビータ 最大765ドルを節約できる可能性
また、クリースビータの例も紹介。「クリースビータを服用する受給者は、保険適用範囲と治療コースに応じて、2023年7月1日から2024年3月31日までに最大765ドルを減額できる可能性がある」とした。
◎国内政策顧問 ニーラ・タンデン氏「高齢者は大手製薬会社の価格上昇に完全に晒されていた」
CMSのチキータ・ブルックス・ラシュア長官は、「誰もが薬を買えるようにすべきであり、手頃な価格を改善するというインフレ抑制法の目標を引き続き達成していく」と強調。「製薬会社がインフレ率を上回る価格上昇をしないようにすることは、この取り組みの重要な部分であり、CMSはメディケア加入者に節約をもたらすために法律を施行し続けている」と指摘した。
ホワイトハウス国内政策顧問のニーラ・タンデン氏は、「インフレ抑制法がなければ、高齢者は大手製薬会社の価格上昇に完全に晒されていた。バイデン大統領と新しいメディケアインフレリベートプログラムのおかげで、高齢者は保護され、パートBの薬剤費の削減の恩恵を受けている」と語り、「バイデン・ハリス政権は、すべてのアメリカ人の医療費と処方薬のコストを下げるために戦い続ける」と強調した。