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ミクスMR数調査24年版 MR数6.7%減、減少率最も高く ニューノーマルな情報提供・収集スタイルへ

公開日時 2024/06/03 04:52
ミクス編集部が行った「MR数調査2024年版」で、MRがこの1年間に1700人以上減少したことがわかった。前年比で6.7%減となり、毎年実施している本調査で最も高い減少率となった。MR減員の背景や理由は、早期退職者を募集した企業だけでなく、MR大量採用時代の社員が定年退職期を迎え、自然減の補充を行わなかったり、社内組織の見直しで部署異動を戦略的に行った企業もあった。「製品構成の変化」や「オムニチャネル型活動の推進」などもあがった。コロナ禍に定着したリモートによる情報提供・収集活動やメール等を用いたアポイントの獲得といった「業務効率や生産性の向上」を指摘する声もあった。医薬品の情報提供・収集活動は今、コロナ後のニューノーマルなスタイルへの転換期にあるといえそうだ。

文末の「関連ファイル」に24年4月の製薬各社のMR数の資料を掲載しました(会員のみダウンロードできます。無料トライアルはこちら)。

◎7年連続で年1000人以上減少 18年度薬価制度抜本改革を機に

ミクス編集部は毎年、原則4月1日時点のMR数(新卒入社MRを含む)を調査・集計している。24年調査の有効回答52社のうち前年調査と比較可能な50社のMR数をみると、24年のMR数は計2万4903人で前年比6.7%減、人数で1784 人減少した。本調査でMR数が年1000人以上減少するのは18年以降7年連続となり、新薬創出等加算の要件を厳しくし、長期収載品の薬価を大幅に引き下げるルールが導入された18年度薬価制度抜本改革の影響の大きさが改めて確認できる。

なお、23年には、この前年調査と比較可能な50社に含まれていないリジェネロンでMR体制が構築された。一方で、同じくこの50社には含まれていない大正製薬やバイエル薬品でそれぞれ数100人規模の早期退職者を募集しており、減少率はさらに大きい可能性がありそうだ。

◎回答企業の76%でMR減 アステラス製薬、中外製薬、塩野義製薬などで早期退職者募集

MR数の減少率はこれまで、コロナ禍にあった22年調査の6.6%減が最も高かった(調査・分析対象は54社)。当時、With/Afterコロナを踏まえて営業体制を再構築し、内勤職に配置転換したとの企業が多かった。早期退職者を募集したのは回答企業中2社(アステラス製薬、EAファーマ)だった。

コロナ禍での経験を踏まえ、製薬企業も医師もデジタルを活用した情報提供又は情報収集のスタイルが確立してきた。新型コロナの感染拡大期はMRの活動量の低下が指摘されたが、その間、Web講演会や「Zoom」などWeb会議システムを用いた情報提供活動が浸透したほか、製薬各社の上市する新薬の多くが希少疾患や難治がんなどのスペシャリティ領域に特化したことから、MRの一人当たり生産性を維持・向上させる観点から適正数を再検討する企業も増えている。

結果としてこの1年間にMRが1人でも減った企業は38社で、回答企業の76%にのぼった。自然減を全て補充しなかった企業や部署異動を行った企業が多く、早期退職者を募集した企業は4社(アステラス製薬、中外製薬、塩野義製薬、参天製薬)あった。

◎5社で100人以上減 アステラス製薬は400人減の800人体制に

24年の調査結果を企業別かつ増減規模別にみると、MRを100人以上減らした企業はアステラス製薬(400人減)、塩野義製薬(170人減)、中外製薬(130人減)、協和キリンと第一三共(各100人減)――の5社で、減少数の上位3社はいずれも早期退職者を募集した。50~99人減は小野薬品(99人減)、興和(87人減)、参天製薬(80人減)、グラクソ・スミスクライン(50人減)――の4社あった。

業界最多400人減のアステラス製薬はMR800人体制となった。岡村直樹社長CEOは、取扱製品が生活習慣病領域から抗がん剤や細胞治療などのスペシャリティにシフトしていることに加え、「顧客ニーズに基づいたオムニチャネルの活用とデータ分析を強化した新たな営業体制」に再構築するため国内営業を大きく見直したと説明する。SOVが求められるSGLT2阻害薬・スーグラの特許切れは「29年3月」(同社広報部)であるものの、様々な前提条件を置いて検討した結果、「23年度をある意味ターニングポイントにしたいと考えた」(岡村社長)と話す。

◎塩野義製薬は減少率23.3% アステラス製薬に次ぐインパクト

塩野義製薬は730人から560人に見直した。減少率は23.3%で、アステラス製薬の33.3%に次ぐインパクトといえる。同社は現在、“感染症領域を中心としたグローバルでの成長”や“新規事業の確立・成長”へと事業変革を進めており、早期退職者の募集や社内リソースの再配置とともに、海外人材の採用強化を図っている。

中外製薬は1200人から1050人になった。奥田修社長CEOは、「クリニックなどで多く使用するような薬剤がほぼなくなり、専門分野や専門病院で取り扱う製品がメインになってきた。営業についてはそういうシフトを敷いている」とし、「スペシャリティケアに必要な要因構成で経営していく」と語っている。

協和キリンは920人体制となった。MRは100人減となるが、その多くがフィールドで戦略立案するための配置転換だという。同社は「ポジションとしてはMRではなくなるが、MRと同行してプロモーション支援を行ったり、戦略を提案するなどしてMRが効率よく仕事をする支援を行う」と説明した。

◎第一三共 1700人体制に 業界最多を維持

第一三共は1700人になったが、業界最多のMR数は維持した。減員理由は「グローバルでの成長に向けた他部署への異動や、定年退職等を含めた自然減によるもの」。一方で、注力しているがん領域の強化のため担当MRを100人増の300人体制とした。

国内業績が好調な小野薬品は、プライマリー担当を90人減らし、トータルでも99人減となった。製品構成の変化やデジタルを活用した情報活動が増えたことを踏まえた、最適人員数を検討した結果だとしている。フォシーガの2型糖尿病の特許切れが25年度に迫り、2型糖尿病薬・グラクティブの特許切れも近いことが理由とみられるが、同社は個別製品についてコメントしなかった。

興和は、「早期退職者は募集していない」とのみ回答した。参天製薬は今回の80人減と早期退職者募集との関係に「回答は控える」とした。ただ、「目の病気の予防や診断、治療において今まで提供されていない重要な価値を患者さんや社会に提供し続ける。そのためのソリューションを開発しお客様に提供する」としており、眼科医療におけるボトルネックを解消するソリューション開発にもリソースを充てる方針を示している。

◎MR増は6社 富士製薬で30人増

一方で、1人でもMRが増えたのは6社。うち10人以上増えたのは富士製薬(30人増)とエーザイ(10人増)の2社だった。富士製薬は、女性医療領域とバイオシミラーで取扱製品が増えたため、中途採用を含め増員したとのコメントを寄せた。
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