エルゼビア 生成AI製品「Scopus AI」発売 サマリー提供機能を拡充 研究者が迅速・正確に情報入手
公開日時 2024/01/26 04:50
世界最大級の医学・科学コンテンツを有するエルゼビア社(本社・オランダ)は1月25日、生成AI製品の「Scopus AI」の発売を開始したと発表した。生成AIと抄録・引用文献データベースScopus(スコーパス)を組み合わせたもの。2万7000誌以上の学術ジャーナル、18億以上の引用文献、1700万人以上の著者プロフィールが集積され、研究者や研究機関が迅速かつ正確に論文サマリーを入手することができる。さらに、信頼性の高い検証済みの知識を使用することで、「ハルシネーション」(AIが生成する誤情報)のリスクを最小化できるとした。
同社は23年8月に生成AI製品「Scopus AI」のアルファ版を公表。その後、世界各国の研究者数千人が参加した研究コミュニティで試行実験を行った。研究コミュニティからは、生成AIの今後の普及を想定し、研究者レベルで信頼できる引用情報がより求められるとのフィードバックを得たという。こうした意見を踏まえて同社は、ローンチに際し、サマリー提供機能の拡張、影響力ある論文の提供などの機能を拡充。さらには、その分野を率いる専門家の特定や、ユーザーの質問に関連する専門知識の説明を生成AIが提供することで、研究者の時間節約など生産性向上につながるツールとして役立てることができるとした。
一方、生成AIの懸念として、「誤情報」の提供が指摘されていた。同社は、「Scopus AIの高度なエンジニアリングは、世界最大級の厳選された科学文献のデータベースから、信頼性の高い検証済みの知識を使用することで、“ハルシネーション”(AIが生成する誤情報)のリスクを最小化できる」としている。
◎Maxim Khanシニアバイスプレジデント「信頼できる知識とデータを基盤としている」
同社のMaxim Khanシニアバイスプレジデント(アナリティクス製品、データプラットフォーム部門)は、「Scopus AIは信頼できる知識とデータを基盤としているため、新しい研究トピックの把握の加速化、深い研究知見の提供、関連分野の重要な研究や専門家の特定など、学術的成功への道を開くという目標の全てで役立つ」と強調。Scopus AIの継続的強化のため、引き続き研究者コミュニティと協力していく考えを表明した。