薬剤師対象の意識調査で、“後発品の供給体制が安定しているイメージのある製薬企業”トップは東和薬品となった。「他のメーカーが入らない時でも割と安定して入荷いただける」と他社に比べて安定している/欠品が少ないといった声のほか、他社にはほとんど見られない評価として「入荷困難な薬品でも頑張って手配してくれる」や「困った時、だいたい助けてくれる」といった声があがった。同社独自の直販体制により、流通在庫の融通が利きやすいことが現在の市場環境では優位に働いたとみられる。

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意識調査は、薬剤師パネルを持つネクスウェイがまとめた。対象はネクスウェイが運営する薬剤師向けメディアに会員登録している薬剤師で、416人から回答を得た。回答を寄せた薬剤師の内訳は薬局勤務が297人、病院勤務が118人、不明が１人――。調査時期は９月19日～25日。方法はインターネット調査。薬剤師に設問ごとに選択肢企業一覧から上位３社を挙げてもらい、１位に選択した企業は３ポイント（pt）、２位は２pt、３位は１ptとして、累計獲得ptでランキング化した。

◎２位は沢井製薬　３位は第一三共エスファ

「後発品の供給体制が安定しているイメージのある製薬企業」では、１位は東和薬品（372pt）、２位は沢井製薬（301pt）、３位は第一三共エスファ（282pt）、４位はヴィアトリス製薬（251pt）、５位は武田テバファーマ（175pt）――となった。

薬剤師が１位に選んだ製薬企業の評価理由（自由コメント）をミクスが分類したところ、東和薬品や沢井製薬を推した薬剤師からは、“安定している/欠品がない”や“他社に比べて安定している/欠品が少ない”との主旨の内容が他社に比べて多かった。東和薬品は全74コメント中36コメント、沢井製薬は全61コメント中34コメントがこれらに分類された。

◎東和薬品に「結構な頻度で解決してくれた」　“お世話になった/頑張ってくれた”との声多く

そして東和薬品をランキング１位に押し上げた要因は、「入荷困難な薬品でも頑張って手配してくれる」、「困った時、結構な頻度で解決してくれた」、「カルボシステインを何とか在庫切れする前に納品してくれてすごく助かった」など、不安定供給時に“お世話になった/頑張ってくれた”との旨のコメントが13件あったことだ。

ちなみに、“お世話になった/頑張ってくれた”との旨のコメントが東和薬品に次いで多かった企業は、沢井製薬の５件（「供給不足になりかけたとき、お世話になった」など）、ヴィアトリス製薬の３件（「今は何の薬も手に入りにくい状況だが、頑張っている」など）、陽進堂の２件（「他のメーカーが出荷調整や停止をしても、ギリギリまで頑張って絞り出して供給してくれる」など）――で、東和薬品のコメント数の多さがわかる。

東和薬品では、独自の直販体制に加え、直販体制ではカバーできない顧客を広域卸などにカバーしてもらう体制をとっている。23年度上期の販路別売上高は、直販が41.5％、広域卸が34.8％――で、直販が販路別売上トップ。同社広報部によると、特に営業所内で流通在庫を臨機応変にやり繰りしていると言い、これが不安定供給の市場環境に対応できている要因のひとつとみられる。

◎沢井製薬に「供給状況に応じ納品を細かく制御できていると感じる」との声も

沢井製薬の製品流通は基本的に広域卸ルートとなるが、「流通在庫や偏在についてもできる限り把握するよう努めている。医療機関と医薬品卸の橋渡しができるようにしている」（広報部）とのこと。実際、沢井製薬を推した薬剤師から、「供給状況に応じ納品を細かく制御できていると感じるから」との評価コメントもあった。

◎第一三共エスファ　「AGが多く、供給が安定しているイメージ」などＡＧ関係のコメント多数

第一三共エスファを推した薬剤師からは、「薬が足りないと困ることが少ない気がする」、「まだ途切れたことがないように思われる」とのコメントが多くみられたほか、全46コメント中11件はAＧに関するコメントが占めた。例えば「AＧが多く、供給が安定しているイメージ」、「ＡＧを主力にしているため、あまり出荷停止などがない印象」、「AＧメーカーは安心できる」といった内容が寄せられた。

ヴィアトリス製薬を推した薬剤師は「欠品などになったことはないと思う」、「欠品しない」、「出荷調整がない」、「供給が安定している」といったイメージが多く見られた。武田テバファーマも「納入が全くないということがない印象」、「あまり供給制限の案内を聞かない気がする」といった内容のほか、「大手がバックにいる」、「武田系の医薬品は欠品がないこと」とのコメントも確認できた。