厚労省・後発品検討会 AGは「研究開発型の収益構造でない」 R&D費回収可能な環境整備とあわせ検討へ
公開日時 2023/12/05 04:51
厚労省は12月4日の「後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会」にオーソライズドジェネリック(AG)について、「研究開発型の収益構造ではないと考えられる」と指摘した。そのうえで、「新薬の研究開発費を回収できる環境整備とあわせて、AGのあり方を検討する観点も必要」との論点を示した。AGをめぐっては、“形を変えた長期収載品依存”と指摘する声があがっていた。一方で、後発品の供給不安が続く中で、AGが安定供給に一定の役割を果たしていることから、短期的な規制強化の難しさを指摘する声があがった。
◎採用基準にAGの医療機関・薬局は5割超 安定供給に「一定の役割」
AGをめぐっては、「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」で、先発品企業がAGの製造販売業者からライセンス料等を得るケースが多いことから、“形を変えた先発品企業の長期収載品依存”と指摘されていた。
厚労省は、研究開発型企業のモデルとして、「特許期間中の新薬の売上で当該新薬の開発に係る研究開発費を回収するとともに、新たにバイオ医薬品を含む革新的新薬の創出に向けた投資を行う」、「後発品上市後は、自らは市場から撤退し、後発品企業に安定供給等の役割を譲る」ことをあげ、こうした視点からAGについては「研究開発型の収益構造ではない」と指摘。「その前提として、収益構造を成立させるためには、新薬の特許期間中に当該新薬の研究開発費を回収できる環境整備とあわせてAGのあり方を検討する観点も必要」とした。
一方で、AGであることを後発品の採用基準としている医療機関が53.4%、薬局が51.6%存在している。また、AGの製造数量については、毎年度増加傾向にあり、後発品を中心とした医薬品の供給不安が発生している現状において、一定の役割を果たしていると説明した。
◎短期的な規制強化厳しさも、「AGの動向は注視」
構成員からは、「短期的な視点では、現在の供給不安が広がっている状況下でAGについて規制等を行うことは困難ではないか。一方で、後発品産業を育成するという観点からは、AGの動向について注視していく必要があるのではないか」との意見があった。
「AGが後発品企業の経営の予見可能性を損ねている可能性がある」、「AGが実際には発売されなかった場合、後発品メーカーが急遽増産しなければならないことも発生し得る。安定供給の面で AGが影響を与えることもあるのではないか」など、ジェネリックビジネスへの影響を指摘する声もあった。「先発品の情報を後発品メーカーに引き継いでいくための手法や仕組み作りも検討していく必要があるのではないか」との意見もあった。