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【中医協薬価専門部会 11月24日 議事要旨 価格の下支え制度、長期収載品、議論とりまとめの考え方】

公開日時 2023/11/27 07:02
中医協薬価専門部会は11月24日、価格の下支え制度、長期収載品、議論とりまとめに向けた考え方について議論した。本誌は各側委員による質疑について議事要旨として公開する。



安川部会長:はい、ありがとうございました。ただいまの説明について何かご質問ご意見等ございましたらお願いいたします。では、長島委員お願いします。

長島委員:ありがとうございます。論点についてコメントします。まず、資料「薬―1」17ページの「価格の下支えに関する論点」についてです。最低薬価や不採算品再算定に関して、対象となった品目については、薬価基準より安い価格で取引されている現状があることから、単に薬価上の措置で手当しても問題の解決にはならず、より根本的には医薬品の流通や取引の環境改善が必要だと感じます。

すなわち、医療上の必要性を鑑みず、総価取引における“調整弁”として値引きされているような現状を改善し、医薬品の個々の価値に見合った取引が行われるようにすることが検討の前提として必要だと思います。

そうした意味では、令和5年度の薬価調査の結果なども見つつ、現在の取引の実態がどの程度改善しているのかの検討を踏まえ判断すべきだと思います。特に、臨時的、特例的に対応した品目の効果について、その結果についても整理していただきたいと思います。

また、原価率を踏まえた対応として、要因が明らかな漢方のエキス製剤は新たな区分として対応できるのかもしれませんが、ばらつきが大きく変動要因がわかりにくい場合には、一つにまとめることは困難であると考えます。

次に、資料30ページの「長期収載品に関する論点」についてです。長期収載品から後発品への置き換えを迅速に進めるという点については、総論的に理解しております。

しかし、現在の後発医薬品を中心とした安定供給上の懸念あるいは点眼薬等の外用薬においては基剤や添加剤の違いにより、効果や副作用が異なることなどから、やむを得ず後発品への置き換えが進まない実態があることはよく知られておりますので、そうした点について、一定の配慮が必要ではないかと考えます。

最後、資料32ページの「議論のとりまとめに向けた考え方」については異論ございません。私からは以上です。

安川部会長:ありがとうございました。それでは他にご意見ありますでしょうか。森委員お願いいたします。

森委員:はい、ありがとうございます。論点に沿っていくつかコメントさせていただきます。まず資料17ページ目の「価格の下支えに関する論点」の一つ目の「最低薬価」についてですが、資料11ページ目「最低薬価品目における実勢価格の乖離状況について③」でも示されている通り大きな乖離となっています。

新たな剤形に最低薬価を設定する対応は検討すべきと考えますが、乖離が大きいこと、またいま長島委員の方からもありましたけども、流通上の総価取引における“調整弁”として取り扱われている実態があり、これは本来の目的と大きく異なるものです。新たな対応を検討する前提として、流通実態の改善が不可欠だと考えます。

本日、医薬品流通を担当する部署も出席いただいていると思いますが、流通の改善は最低薬価のみならず、医療用医薬品全体における課題となっていますので、中医協でこのような指摘があったことを踏まえ、関係する検討会で根本の改善に向けて対応いただくことをお願いします。

特に薬価の下支えを議論する際には、流通上の課題も重要な視点ですので、中医協でも進捗を随時報告いただくよう併せてお願いします。

次に、「不採算品再算定」についてですが、一つ目のポツの「必要な対応を検討する」ことに異論はありません。また、物価高騰が続いており、今後も継続することが考えられます。製造コスト等への影響についても必要な対応を検討すべきと考えます。

最後に30ページ目「長期収載品に関する論点」に示されている長期医薬品に関する論点と、資料32ページ目「議論のとりまとめに向けた考え方」については、いずれも進め方などについて異論はありません。私からは以上です。

安川部会長:はい、ありがとうございました。他ございますでしょうか。では松本委員お願いいたします。

松本委員:はい、ありがとうございます。それでは論点に従ってコメントさせていただきますまず。資料17ページにございます「価格の下支えに関する論点」でございますが、最低薬価について下限値を設定する剤形を拡大する方向性には異論はございません。

一方、資料の9ページ(最低薬価品目における実勢価格の乖離状況について①)から11ページ(最低薬価品目における実勢価格の乖離状況について③)を見ますと、先ほど長島委員、森委員からご指摘がありましたけども、最低薬価品目が総価取引の“調整弁”になっている可能性があり、安定確保医薬品や局方品であっても、最低薬価品目の場合に平均乖離率が高い実態がございます。総価取引や過剰な値引きの是正に取り組むとともに、品目ごとに最低薬価まで薬価を戻す必要性を判断できるようなルールを導入すべきだと考えます。

また、不採算品再算定につきましては、令和5年度改定で、特例措置に該当した品目でも仕切り価は据え置きが多く、むしろ低下した品目さえあったと記憶しております。最終的には薬価調査の結果を踏まえて判断させていただきますが、前回の臨時的な対応をそのまま本則のルールに取り入れることには、現段階では慎重にならざるを得ないというふうに思っております。

続きまして資料30ページの「長期収載品に関する論点」でございます。まず特許が切れたら速やかに後発品に市場を譲るという考え方は、業界とも共有できているものと認識しております。

一方で、長期収載品側としては後発品だけで事業を満たせないから撤退できないというご意見や、特許期間中の薬価維持とあわせて検討すべきというご要望も業界が出ていることは承知しております。新薬創出等加算については先日事務局案が示されたところですので、長期収載品についても、より早期に後発品のへの置き換えが進むよう、資料21ページ「令和4年度改定における長期収載品に係る薬価ルールの見直し」に全体像が示されているルールを全体的に厳格化すべきと考えます。

例えばZ2については適用時期の前倒しや置き換え率に応じた引き下げの強化が考えられます。G1、G2ルールについては場合によっては後発品薬価との倍率の刻みを少し小さくする等の工夫をしながら、確実に毎年適用することで、より迅速に後発品との価格差を縮小すべきです。

また新薬創出等加算の累積額控除については、特許が切れた後に適用する仕組みですけども、長期収載品の薬価のあり方としても毎年実施すべきです。これらのことを長期収載品の保険給付のあり方に関する見直しを行った場合に、患者負担の増加を極力抑えることにも繋がるものと考えております。

後発品と長期収載品の中間とも言えるオーソライズドジェネリック(AG)は改めて薬価上の対応を検討することが必要だろうと考えます。さらに医薬品のライフサイクルを考えた場合、長い使用経験のある成分については、スイッチOTCを本格的に進めるべきです。

後発品の生産能力を高める観点からも重要な視点だと考えておりますので、中医協の所掌範囲からは外れますが、厚生労働省にはぜひご検討いただきたいと思います。

続きまして資料32ページの「議論取りまとめに向けた考え方」でございます。イノベーションの推進と安定供給確保の観点のみならず、医療保険制度の持続可能性を確保する観点も十分に意識すべきだということは強く指摘させていただきます。骨子の取りまとめに向けた考え方に関しては異論はございません。私からは以上でございます。

安川部会長:はい、ありがとうございました。他にご意見ご質問ありますでしょうか。今回の内容について専門委員の方からご発言等あるようでしたら、いかがでしょうか。石牟禮専門委員お願いします。

石牟禮専門委員:はい、ありがとうございます。専門委員の石牟禮でございます。資料17ページの「価格の下支えに関する論点」につきましては、業界の要望につきましても、引用をいただいておりまして、その要望に沿った形でご検討いただきたいと思っております。

流通の問題等はご指摘の通りでございますけれども、個別の製品の安定供給に向けた努力についてもぜひご配慮いただきますよう、特に不採算品再算定の確実な適用および安定供給を継続したいと希望している品目のシェアなどを見たうえで適用することについても御検討いただければと思っております。

また長期収載品について松本委員からご意見ございました。この後の(中医協)総会でも「選定療養」についての議論があると伺っております。現在示されておりますZ2、G1、G2のルールにつきましては、後発品の使用を促進するという観点も踏まえて検討され、ルール化されているものでございます。現在、後発品の使用割合として数量80%を既に到達しているという効果があったということを踏まえますと、現行の薬価ルールを変更する必要性は乏しいのではないかというふうに考えております。以上でございます。

安川部会長:はい、ありがとうございました。他にご質問ご意見等はございますか。事務局から補足等はございますか。

薬剤管理官:特にございません。

安川部会長:はい、わかりました。もし他にご意見ご質問等ないようでしたら、本件に係る質疑はこのあたりといたします。今後、事務局において本日頂戴したご意見を踏まえご対応いただきますようお願いいたします。本日の議題は以上です。薬価専門部会はこれにて閉会とします。どうもありがとうございました。
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