経口抗凝固薬 「重大な副作用」に「急性腎障害」を追記 厚労省が添付文書改訂を指示
公開日時 2023/11/22 04:48
経口抗凝固薬の「重大な副作用」の項に「急性腎障害」を追記するなど、7成分の添付文書が改訂された。厚生労働省医薬局医薬安全対策課が11月21日、課長名で添付文書改訂を指示したことを受けたもの。放射性医薬品・肝機能診断薬のアシアロシンチ注では、「禁忌」の項を新設し、「本剤の成分に対し過敏症の既往のある患者」が禁忌となった。
添付文書の改訂指示があった医薬品は次の通り。
〈経口抗凝固薬〉
▽アピキサバン(製品名:エリキュース錠、ブリストル マイヤーズ スクイブ)
▽エドキサバントシル酸塩水和物(製品名:リクシアナ錠、同OD錠、第一三共)
▽ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩(製品名:プラザキサカプセル、日本ベーリンガーインゲルハイム)
▽リバーロキサバン(製品名:イグザレルト錠、同OD錠、同細粒分包、同ドライシロップ小児用、バイエル薬品)
▽ワルファリンカリウム(先発品名:ワーファリン錠、同顆粒、エーザイ 等)
改訂概要:「重大な副作用」の項に「急性腎障害」を追記する。
改訂理由:抗凝固薬関連腎症を含む急性腎障害症例を評価した。症例の因果関係評価及び使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見も聴取した結果、以下の点から、経口抗凝固薬の使用上の注意を改訂することが適切と判断した。
1) ワルファリン及び複数の直接阻害型経口抗凝固薬(エドキサバン、ダビガトラン、リバーロキサバン)について、抗凝固薬関連腎症を含む急性腎障害との因果関係が否定できない症例が集積したこと。
2) アピキサバンについては、抗凝固薬関連腎症を含む急性腎障害との因果関係が否定できない症例はなかったものの、文献において、抗凝固薬関連腎症との因果関係が否定できない海外症例が報告されている。
また、副作用の項目名については、▽抗凝固薬関連腎症は、急性腎障害の一つとされている、▽抗凝固薬関連腎症は、関連学会のガイドライン等がなく、抗凝固薬関連腎症に関する一般的な認知度は高くないと考えられること――から、「抗凝固薬関連腎症」ではなく「急性腎障害」とするものの、公表文献や副作用報告症例で認められている抗凝固薬関連腎症の特徴的な所見(血尿、尿細管内の多量の赤血球円柱等)を記載することとした。
急性腎障害(抗凝固薬関連腎症を含む)症例の国内集積状況:医薬品と事象との因果関係が否定できない症例は、エドキサバン4例、ダビガトラン7例、リバーロキサバン3例、ワルファリン4例――。うち死亡との因果関係が否定できない症例はいずれも0例。
▽メチラポン(製品名:メトピロンカプセル、セオリアファーマ)
改訂概要:「重要な基本的注意」の項にQT延長に関する注意喚起を追記し、「副作用」の「その他の副作用」の項に「QT延長」を追記する。「重要な基本的注意」の項に低カリウム血症に関する注意喚起を追記し、「副作用」の「その他の副作用」の項に「低カリウム血症」を追記する。
改訂理由:海外臨床試験におけるQT延長関連症例及び市販後の低カリウム血症関連症例を評価した。症例の因果関係評価及び使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見も聴取した結果、本剤とQT延長又は低カリウム血症との因果関係が否定できない症例が集積したこと及び類薬の注意喚起状況も踏まえ、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。
QT延長関連症例の集積状況:国内0例、海外0例
低カリウム血症関連症例の集積状況:医薬品と事象との因果関係が否定できない症例は国内1例、海外0例。うち死亡との因果関係が否定できない症例は0例。
▽ガラクトシル人血清アルブミンジエチレントリアミン五酢酸テクネチウム(99mTc)(製品名:アシアロシンチ注、日本メジフィジックス)
改訂概要:「禁忌」の項を新設し、「本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者」を追記する。「副作用」の「重大な副作用」の項を新設し、「ショック、アナフィラキシー」を追記する。
改定理由:アナフィラキシー関連症例を評価した。症例の因果関係評価及び使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見も聴取した結果、本剤とショック及びアナフィラキシーとの因果関係の否定できない症例が集積したことから、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。
アナフィラキシー関連症例の国内症例の集積状況:医薬品と事象との因果関係が否定できない症例は4例。うち死亡との因果関係が否定できない症例は0例。