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小野薬品・相良社長 売上予想を5000億円に上方修正 フォシーガ「極めて順調」、AZからの和解金計上も

公開日時 2023/11/02 04:49
小野薬品の相良暁代表取締役社長は11月1日、2023年度第2四半期決算説明会に臨み、23年度の売上収益について、期初計画から250億円増となる5000億円に上方修正したと発表した。主力のオプジーボが堅調に伸びたほか、フォシーガが慢性腎臓病(CKD)の適応を中心に「極めて順調に拡大」(相良社長)。加えて、アストラゼネカとの特許関連訴訟の和解に伴う一時金収入170億円を計上し、今回の上方修正に至った。開発では、オプジーボの皮下注製剤の国内開発計画を進めていることが明らかになった。

修正後の23年度業績予想は、売上5000億円(前年同期比11.8%増)、営業利益は期初計画から140億円増の1670億円(同17.6%増)、親会社帰属純利益は110億円増の1260億円(同11.8%増)――とした。製品売上予想はフォシーガのみ修正し、期初計画から50億円積み増して700億円と予想した。なお、今回の修正には、がん悪液質治療薬・エドルミズや関節機能改善薬・ジョイクルに係る販売権の減損損失54億円も計上されている。

◎23年度上期 売上、利益とも過去最高を更新 オプジーボは750億円

23年度上期は、売上2587億円(同19.4%増)、営業利益970億円(20.9%増)――と2ケタの増収増益だった。相良社長は「売上、利益とも中間期として過去最高を更新した」と強調した。製商品売上は1599億円で、この7割近くをがん免疫療法薬・オプジーボとSGLT2阻害薬・フォシーガが占めた。

製品売上をみると、オプジーボの上期売上は750億円(7.3%増)だった。競争環境が激化するなか、胃がん、食道がん、尿路上皮がんなどでの使用が拡大した。通期は期初計画通り1550億円を見込む。

◎フォシーガ CKD適応が「好業績をもたらしている」

フォシーガの上期売上は359億円(36.1%増)の大幅増となった。金額では95億円の増加となる。同剤は2型糖尿病、1型糖尿病、慢性心不全、CKDの適応を持つ。高萩聰・営業本部長は同剤が好調な理由について、いずれの適応も医師の評価を得ているとした上で、特に競合品にはないCKD適応が「好業績をもたらしている」と説明した。22年11月に日本腎臓学会と日本糖尿病学会が連携して発出した「CKD治療におけるSGLT2阻害薬の適正使用に関するrecommendation」により、専門医だけでなく、非専門医によるCKD治療における同剤の使用が進んでいることも好調理由の一つに挙げた。

◎フォシーガのピーク時売上 「800億円以上が見えてきた」 時期は24年度か

フォシーガのピーク時売上見通しに関しては、「800億円以上が見えてきた」(高萩本部長)と語ったが、ピーク時の時期には言及しなかった。

同社によると、同剤の特許満了時期は適応ごとに異なり、2型糖尿病は25年4月で、1型糖尿病、慢性心不全、CKDはいずれも28年5月に満了する(記事はこちら。適応ごとの売上構成比は推計で糖尿病が5割、慢性心不全が2割、CKDが3割――だという。これらのデータから、同剤の売上のピークは、2型糖尿病の特許満了の前年となる24年度とみられるが、高萩本部長は「特許切れの影響を受ける可能性があるが、後発品が出てきた時に売上見込みをしっかり話したい」と述べるにとどめた。また、例えば2型糖尿病とCKDを合併している症例での後発品への置き換えの可能性に関しても、「回答は控えたい」と話した。

◎23年度下期 オプジーボで2つの適応追加を申請予定

23年度下期に承認申請を予定しているプロジェクトは、オプジーボの▽術前術後アジュバント非小細胞肺がん(化学療法併用)、▽ファーストラインの尿路上皮がん(化学療法併用)――の2つの適応追加となる。

24年度の申請予定プロジェクトは6つ。具体的にはオプジーボで▽非小細胞肺がん(化学放射線治療併用、化学放射線療法/ヤーボイ併用)、▽術前術後アジュバント膀胱がん(化学療法併用)、▽ファーストラインの肝細胞がん(ヤーボイ併用)、▽ファーストラインの尿路上皮がん(Cis不適)(ヤーボイ併用)、▽ファーストラインの結腸直腸がん(MSI-H)(ヤーボイ併用)――5つの適応追加と、BRAF阻害薬・ビラフトビのファーストラインのBRAF遺伝子変異陽性結腸直腸がん(セツキシマブ及び化学療法併用)の適応追加となる。

◎オプジーボ皮下注製剤 日本でも開発へ

このほか、岡本達也・開発本部副本部長はオプジーボの皮下注製剤について、「競合環境などを踏まえ、日本でも皮下注製剤に着手すべきと判断し、開発計画を立案中」と明らかにした。

オプジーボ皮下注製剤をめぐっては、米ブリストル マイヤーズ スクイブが10月に、進行又は転移性腎細胞がん患者を対象とした第3相CheckMate-67T試験で、組換えヒトヒアルロニダーゼ(rHuPH20)を配合したオプジーボ皮下注製剤がオプジーボ点滴静注と比較して、薬物動態における2つの主要評価項目を達成したと発表。皮下注製剤は、主要評価項目であるCavgd28(初回投与後28日目までのオプジーボの平均血清中濃度)とCminss(定常状態における最低血清中濃度)において、点滴静注製剤に対する非劣性を示した。この発表はオプジーボの皮下注製剤の活性を示す最初のものとなった。

【23年度上期連結業績 (前年同期比) 23年度通期予想(前年同期比)】
売上高2587億1300万円(19.4%増) 5000億円(11.8%増)←修正前4750億円
営業利益970億3600万円(20.9%増) 1670億円(17.6%増)←修正前1530億円
親会社帰属純利益744億9100万円(19.5%増) 1260億円(11.8%増)←修正前1150億円

【23年度上期の国内主要製品売上高(前年同期実績) 23年度通期予想、億円】
オプジーボ 750(699) 1550
フォシーガ 359(264) 700←修正前650
オレンシア 130(125) 255
グラクティブ 108(117) 210
ベレキシブル 50(41) 95
カイプロリス 46(44) 85
パーサヒブ 41(43) 80
オンジェンティス 31(24) 65
オノアクト 21(21) 45
ビラフトビ 17(16) 40
オパルモン 19(23) 35
メクトビ 13(13) 30
*仕切価ベース

ロイヤルティ・その他 988(718) 1850←修正前1500
*BMSからのオプジーボに係るロイヤルティ収入が21年度上期421億円、22年度上期474億円――、メルクからのキイトルーダに係るロイヤルティ収入が同214億円、256億円――がそれぞれ含まれる。アストラゼネカとの特許関連訴訟の和解(記事はこちらに伴う一時金収入170億円が含まれる。
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