厚労省の「後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会」は９月19日、安定供給に向けて最低限の基準を満たさない場合には低い評価、業界全体の安定供給に貢献するなど、基準を超えるような指標を満たす場合は高い評価とするなどの、メリハリをつけることに合意した。安定供給体制に関する情報などの可視化された企業情報や供給計画などを踏まえて企業を評価。評価は、薬価制度を含めた制度的枠組みに活用することを検討する。あわせて、既収載品の品目数の削減に向けて、供給停止・薬価削除プロセスの合理化・効率化も検討する。

医薬品の安定供給をめぐっては、医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会（有識者検討会）の報告書では、医薬品の安定供給についての情報を可視化したうえで、「これらの情報を踏まえた新規収載時及び改定時の薬価の在り方を検討すべき」とされている。

◎「採算性だけで売り逃げ」に釘も

厚労省は、この日の検討会に、可視化された情報に加え、供給計画などを踏まえて企業評価を行い、企業に求められる最低限の基準を満たさない場合には低い評価とし、当該基準を超えるような指標（業界全体の安定供給への貢献に関する情報）を満たす場合は高い評価とする、といったメリハリをつけることを提案した。これらの結果を薬価制度などの制度的枠組みに活用することを検討する。企業側の負担を考慮し、一部の公表を求めることや、経過措置を設けるなど、優先順位を設けて、柔軟に対応するとした。企業の公表事項については、厚生労働省ウェブサイトにて掲載するなどの取り組みを進め、医療関係者が参照できるようにするとした。

構成員からは、「採算性だけを見て売り逃げするような姿勢を助長するべきではない」、「医療上の必要性が低くても、医療現場のニーズを踏まえて、あえて戦略的に供給している企業がおり、こうした企業は薬価で評価をするべきではない」などの指摘があった。


◎可視化する企業情報　安定供給体制、供給状況、情報提供、緊急時対応、業界への貢献

可視化する企業情報については、業界団体の主張や医療関係者のニーズを踏まえ、▽安定供給体制（安定供給に係る責任者や担当者の有無、安定供給マニュアルの有無、共同開発の有無、製剤製造企業名、原薬製造国、製造管理・品質管理、供給不安発生時の事後対応等）、▽供給状況（自社品目の出荷状況、出荷停止事例等）、▽自社の情報提供状況（医療関係者への情報提供の状況等）、▽緊急時の対応（余剰製造能力の確保又は在庫期間等）、▽業界全体の安定供給への貢献（他社の出荷停止品目等に対する増産対応等）－に関する情報を主な項目としてあげた。情報ごとに公表時期を定め、限定出荷などは随時更新するほか、変動がない情報については最低でも年１回公表するとした。

◎新規収載品の抑制、既収載品の品目数の削減へ　増産体制を視野

あわせて、新規収載品の品目数の抑制や既収載品の品目数の削減に向けた薬価制度などの制度的枠組みを検討する方針。新規収載を行う企業に対しては、安定供給についての責任者の指定を求めるとともに、継続的に供給実績を報告させる仕組みを検討する。薬価についても検討する。なお、現行制度では後発品の内用薬で10品目超の場合に薬価を下げる仕組みが存在しており、新規収載品目数が多い場合に薬価を引下げる制度が存在している。構成員からは、「まずはこの取り組みで進めることで良いが、将来的には法整備で担保することを検討すべき」との声もあった。

◎既収載品の品目数の削減へ　一変申請の合理化、供給停止・薬価削除の合理化・効率化も

既収載品の品目数の削減をめぐっては、統合後の品目の増産が行いやすくなるよう、製造方法の変更についての薬事審査を合理化するなど、企業間の品目統合を促進させることも検討する。供給停止・薬価削除をめぐっては、医療上の必要性や市場シェアが低いなど、一定の条件に該当する品目については、医療現場への影響に配慮しつつ、合理化・効率化することを検討することも提案した。構成員からは、「供給停止や薬価削除プロセスについては安定供給に支障がないよう慎重に考えるべき」との指摘もあった。