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GSKのRSウイルスワクチン「アレックスビー筋注用」など5製品承認へ 薬食審・第二部会

公開日時 2023/08/29 04:50
厚生労働省の薬食審・医薬品第二部会は8月28日、グラクソ・スミスクラインのRSウイルスワクチンであるアレックスビー筋注用(一般名:乾燥組換えRSウイルスワクチン(チャイニーズハムスター卵巣細胞由来))など5製品の承認可否を審議し、いずれも承認することを了承した。正式承認されるとアレックスビーは国内初のRSウイルスワクチンとなり、今回は60歳以上を投与対象とする。

報告品目は3製品。審議品目、報告品目ともに9月中に正式承認される見通し。

【審議品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
オルツビーオ静注用250、同静注用500、同静注用1000、同静注用2000、同静注用3000、同静注用4000(エフアネソクトコグ アルファ(遺伝子組換え)、サノフィ):「血液凝固第VIII因子欠乏患者における出血傾向の抑制」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。

新たな遺伝子組換え型第VIII因子製剤。本薬の投与により血漿中のFVIIIを補充し、機能不全に陥っていた血液凝固カスケードを進行させ、出血傾向を抑制する。

用法・用量は、「本剤を添付の溶解液全量で溶解し、緩徐に静脈内に投与する。出血時又は周術期に投与する場合、通常、1回体重1kg当たり50国際単位を投与する。なお、投与量は患者の状態に応じて適宜減量する。定期的に投与する場合、通常、体重1kg当たり50国際単位を週1回投与する」。

キュービトル20%皮下注1g/5mL、同20%皮下注2g/10mL、同20%皮下注4g/20mL、同20%皮下注8g/40mL、同20%皮下注10g/50mL(pH4処理酸性人免疫グロブリン(皮下注射)、武田薬品):「無又は低ガンマグロブリン血症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。

ヒトIgGを20%含有する皮下注用ヒト免疫グロブリン(Ig)製剤。IgGを補充することにより血清IgGトラフ値を一定以上に維持することで、感染症の発症抑制効果が認められる。

無又は低ガンマグロブリン血症は、抗体産生不全等を原因とした血清IgG値の低下を主病態とする免疫不全症で、易感染性、反復感染、感染症の重症化・遷延、日和見感染、発がんなどを特徴とする。病因により原発性免疫不全症候群(PID)と、他の疾患や特定の薬剤等の外的要因に起因する続発性免疫不全症候群(SID)の2つに大別され、PID及びSIDいずれにおいても標準治療はIgG補充となっている。

アレックスビー筋注用(乾燥組換えRSウイルスワクチン(チャイニーズハムスター卵巣細胞由来)、グラクソ・スミスクライン):「RSウイルスによる感染症の予防」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。

呼吸器合胞体ウイルス(RSウイルス)ワクチン。膜融合前型の遺伝子組換えRSウイルスF糖タンパク質(RSVPreF3)抗原と、GSK独自のAS01Eアジュバントを組み合わせたもの(=アジュバント添加RSVPreF3候補ワクチン)。

用法・用量は、「抗原製剤を専用溶解用液全量で溶解し、通常、60歳以上の者に1回0.5mLを筋肉内に接種する」。

RSウイルス(RSV)はヒトの気道に感染し、健康な非高齢成人においては感冒様症状のみで自然軽快することがほとんどだが、高齢者等では気管支炎や肺炎等の重症感染症を引き起こすことがある。RSV感染症の治療又は予防を目的として成人において使用可能な医薬品は現在承認されておらず、成人におけるRSV感染症に対しては主に支持療法が行われている。アレックスビーが正式承認されると、国内初のRSVワクチンとなる。

本剤の承認申請は、60歳以上の成人約2万5000例を対象とした、日本を含む国際共同第3相試験(AReSVi-006試験)の結果等に基づき行われた。

エプキンリ皮下注4mg、同皮下注48mg(エプコリタマブ(遺伝子組換え)、ジェンマブ):「以下の再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫。▽びまん性大細胞型B細胞リンパ腫▽高悪性度B細胞リンパ腫▽原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫――。再発又は難治性の濾胞性リンパ腫」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。

ジェンマブの独自技術プラットフォーム「DuoBody」を用いて作製された皮下投与の二重特異性抗体。T細胞の細胞膜に発現するCD3及びB細胞性腫瘍の細胞膜に発現するCD20の両者に結合することにより、CD20を発現する腫瘍細胞に対してT細胞依存性の細胞傷害活性を誘導し、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。

用法・用量は、「通常、成人にはエプコリタマブ(遺伝子組換え)として、28日間を1サイクルとして、1サイクル目は1日目に1回0.16mg、8日目に1回0.8mg、15日目及び22日目に1回48mgを皮下投与する。その後は1回48mgを、2及び3サイクル目は1、8、15、22日目、4から9サイクル目には1、15日目、10サイクル目以降は1日目に皮下投与する」。

▽①デュピクセント皮下注300mgシリンジ②同皮下注300mgペン③同皮下注200mgシリンジ(デュピルマブ(遺伝子組換え)、サノフィ):「既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎」を効能・効果とし、小児用量を追加する①②は新用量医薬品、③は新用量・剤形追加に係る医薬品(再審査期間中のもの)。再審査期間は4年。

ヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体。今回、生後6カ月以上のアトピー性皮膚炎患者に対する新用量を追加する。体重に応じて同剤を皮下投与するが、具体的には5kg以上15kg未満:1回200mgを4週間隔、15kg以上30kg未満:1回300mgを4週間隔、30kg以上60kg未満:初回に400mg、その後は1回200mgを2週間隔、60kg以上:初回に600mg、その後は1回300mgを2週間隔――で皮下投与する。

【報告品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。

▽①アダリムマブBS皮下注20mgシリンジ0.2mL「CTNK」②同皮下注40mgシリンジ 0.4mL「CTNK」③同皮下注80mgシリンジ0.8mL「CTNK」④同皮下注40mgペン0.4mL 「CTNK」⑤同皮下注80mgペン0.8mL「CTNK」(アダリムマブ(遺伝子組換え)[アダリムマブ後続4]、日本化薬):「①②④既存治療で効果不十分な下記疾患:多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎、 ②③④⑤関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)、既存治療で効果不十分な下記疾患:▽尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬▽強直性脊椎炎▽腸管型ベーチェット病▽非感染性の中間部、後部又は汎ぶどう膜炎――。中等症又は重症の活動期にあるクローン病の寛解導入及び維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)、中等症又は重症の潰瘍性大腸炎の治療(既存治療で効果不十分な場合に限る)」を効能・効果とするバイオ後続品。

ヒュミラのバイオ後続品は国内で4番目となる。

▽①ティーエスワン配合カプセルT20②同配合カプセルT25③ティーエスワン配合顆粒T20④同配合顆粒T25⑤ティーエスワン配合OD錠T20⑥同配合OD錠T25⑦エスワンタイホウ配合OD錠T20⑧同配合OD錠T25(テガフール/ギメラシル/オテラシルカリウム、①~⑥大鵬薬品⑦~⑧岡山大鵬薬品):「胃がん、結腸・直腸がん、頭頸部がん、非小細胞肺がん、手術不能又は再発乳がん、膵がん、胆道がん、ホルモン受容体陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳がんにおける術後薬物療法」を効能・効果とする新用量医薬品。公知申請。

アクテムラ点滴静注用80mg、同点滴静注用200mg、同点滴静注用400mg(トシリズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬):「悪性腫瘍治療に伴うサイトカイン放出症候群」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間なし。

ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体。既承認の「腫瘍特異的T細胞輸注療法に伴うサイトカイン放出症候群」との効能・効果について、今回、「腫瘍特異的T細胞輸注療法」を削除して「悪性腫瘍治療」とする。

サイトカイン放出症候群(CRS)は、CAR-T細胞療法や一部の抗体医薬品等を用いた悪性腫瘍治療で見られる副作用の一つ。既にCAR-T細胞療法に伴うCRSの効能を取得しており、承認申請は、抗悪性腫瘍薬の臨床試験成績に基づき行われた。
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