米FDA 糖尿病薬ジャディアンス、シンジャーディ小児用を承認
公開日時 2023/07/05 04:48
米食品医薬品局(FDA)は6月20日、ベーリンガーインゲルハイム社の10歳以上の小児における糖尿病薬ジャディアンス(Jardiance・エンパグリフロジン)およびシンジャーディ(Synjardy・エンパグリフロジン/メトホルミン配合剤)経口剤を承認した。両薬剤の適応は、10歳以上の小児における2型糖尿病に対する食事および運動療法に加える血糖コントロールのための補助療法。エンパグリフロジンは、2型糖尿病の小児には新規経口剤を提供することになる。メトホルミンの小児用は、2000年に初めて承認され、小児の2型糖尿病に対する唯一の経口剤となっていた。FDAは、両剤について、優先審査の指定を行った。
若年層の糖尿病についての調査(The SEARCH for Diabetes in Youth study)では、2002年から2015年には小児の2型糖尿病は年4.8%の割合で伸びており、今後も増加すると見られる。2017年現在で、米国での小児の2型糖尿病は2万8000症例という。2060年までに22万症例に増加すると見込まれ、大半は、非ヒスパニック系黒人やヒスパニックなど少数民族・人種で見られるという。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のMichelle Carey 糖尿病・脂質異常症部治療薬審査次長は、「成人に比べて、2型糖尿病の小児は、その疾患や症状の発現後、一般的に急速に進展するにも拘わらず、治療選択肢が限られている」と指摘したうえで、「本日の承認は、2型糖尿病の小児にとってとても必要な新規治療法を提供する」とコメントした。
ジャディアンスは、2014年に成人における2型糖尿病の血糖コントロール改善を目的に食事・運動療法の補助療法としてFDA承認された。同剤はその後、2型糖尿病や心血管疾患患者の心血管死の低減、心不全患者の入院および心血管死の低減の適応でも承認された。シンジャーディは2015年に成人における2型糖尿病の血糖コントロール改善を目的に食事・運動療法の補助療法としてFDA承認された。
Boehringer Ingelheim USの上級副社長(薬剤・規制問題担当)は、今回のジャディアンスの適応追加について、「青少年における2型糖尿病による負担は、臨床的有用性を示した新規治療法の必要性を高めている。DINAMO試験結果と安全性データに基づいた今回のFDA承認は、この急増する患者集団におけるヘモグロビンA1Cを低下させるためメトホルミンを加え、経口剤治療オプションとして、明確なアンメットニーズに応える助けとなる重要なマイルストーンである」とコメントした。