アステラス製薬 「オンラインMR」を30人配置 医師の働き方改革など踏まえ要員数検討へ
公開日時 2023/05/24 04:52
アステラス製薬は、オンライン面談ツールを用いてインタラクティブに医師への情報提供・収集活動を行う「アステラス オンラインMR」を30人配置している。オンラインMRによる情報活動はコロナ禍の2021年6月から開始。当時11人を任命したが、現在はその約3倍となった。今後の人員計画については、「当社の製品ポートフォリオなどの事業環境変化や医療従事者の医薬品情報入手経路の変化、(24年4月施行の)医師の働き方改革などの医療環境変化を考慮して検討していく」(同社広報部)としており、今後も拡大する可能性がありそうだ。
24年4月から順次施行される医師の働き方改革によって、医師の時間の使い方が多く変わり、医師の情報収集のあり方に影響を及ぼすとみられている。ノバルティス ファーマのレオ・リー社長や、MSDのカイル・タトル社長はそれぞれの22年業績の年次会見で、医師の働き方改革により「対面訪問が難しくなる」(リー社長)とし、医師が情報収集したい時にすぐに情報提供できるよう、オンライン専任MRの拡充に前向きな姿勢を見せた。24年度に向けて、内資系、外資系を問わず製薬企業でオンライン専任MRの注目度が増しそうだ。
◎オンラインMR 全国の医療従事者対象の製品説明会も
アステラス製薬のオンラインMRの情報提供・収集活動は、オンライン面談ツールなどを用いて行う。情報提供できる情報は、承認された「効能又は効果」、「用法及び用量」の範囲内に限定。各疾患領域専任担当のオンラインMRがインタラクティブに医師への情報提供活動を行うほか、製品説明会などを担い全国の医療従事者に広く同社製品の情報を発信する。
◎13製品で情報提供 イクスタンジで開始 スーグラやイベニティなどに拡充
オンラインMRの担当製品は現在13製品となった。21年に前立腺がん治療薬・イクスタンジ錠、抗がん剤・ゾスパタ錠、腎性貧血治療薬・エベレンゾ錠、JAK阻害薬・スマイラフ錠、TNF-α阻害薬・シムジア皮下注――の5製品でスタートし、同年に抗がん剤・パドセブ点滴静注用を追加した。
22年には抗がん剤・ビーリンサイト点滴静注用、ヒト抗PCSK9モノクローナル抗体製剤・レパーサ皮下注、糖尿病治療薬・スーグラ錠、2型糖尿病治療薬・スージャヌ配合錠、ヒト化抗スクレロスチンモノクローナル抗体製剤・イベニティ皮下注、グアニル酸シクラーゼC受容体アゴニスト・リンゼス錠、過活動膀胱治療薬・ベタニス錠――に広げた。
アステラス製薬では「経営計画2021」の中で、製品価値の浸透促進を目的に情報提供のデジタルトランスフォーメーションを進める方針を掲げた。製品ポートフォリオの変化、新たな働き方への適応、コロナ禍による医師への対面訪問の制限――といった環境変化もあり、21年に「アステラス オンラインMR」を構築した。