アステラス製薬 「全社レベルで1200~1500億円のコスト最適化」追求 外注費削減など 岡村社長CEO
公開日時 2024/10/31 04:50
アステラス製薬の岡村直樹代表取締役社長CEOは10月30日の中間決算説明会で、イクスタンジの独占販売期間が満了する2027年以降を睨み、「全社レベルで1200~1500億円のコスト最適化を追求する」と強調した。具体的な施策として、①自社機能拡張による外注費の削減、②グローバルオペレーションの更なる集約と効率化、③ROIを意識した販売関連費用の最適化、④継続した全社レベルでのコスト最適化の徹底-を目指す。すでに施策の多くが計画フェーズを終えて実行段階に移行しているという。岡村社長CEOは、「例えば臨床開発業務について、CROへの外部委託を最小限に抑えながら、早期開発などで社内能力を高めている」と明らかにした。
◎「各施策の実効性を高めるため厳格にモニタリングしている」
同社はコア営業利益率30%の達成に向け、24年度から27年度まで、更なる成長投資に向けたリソースの捻出と、収益性の向上に取り組む方針を打ち出している。岡村社長CEOは、「より規律を持った費用管理を進めてきたが、このタイミングで一度取り組みを整理し、今後4年間で1200億円から1500億円のコスト最適化に取り組む」と強調。4つのカテゴリーに示した具体的施策について、「これらの進捗状況は強化した管理体制のもと、各施策の実効性を高めるため、厳格にモニタリングしている」と説明した。
◎外注費の削減 グローバル臨床試験を実施できる社内体制を整える デジタル・AI活用も
なかでも「外注費の削減」として例示した臨床開発業務について谷口忠明専務担当役員・メディカル担当は、「CROへの外注は続けるべきものは今後も続けるが、社内でグローバルの臨床試験を実施できる体制を整え、そこでのコスト管理も自らができるような体制を作ることによって、この外注費の削減のみではなく実際に実施する試験の中での効率化をより図っていきたい」と強調。「デジタル化やAIの活用など、効率的でかつクオリティを向上させるケイパビリティを社内に持つことで、臨床試験が実施できる体制が社内にできるよう努力したい」と述べた。
岡村社長CEOは、グローバルオペレーションの更なる集約と効率化を図るため、「バリューチェーン全体とそれを支える全ての機能に対して、必要に応じて柔軟なリソース提供体制を構築することを目的にグローバルケイパビリティセンターの設立も検討している」と述べた。さらに、「製造スケールアップや製造プロセスの見直しによる収率向上などを通じて製造原価の改善にも取り組んでいく」と述べ、「これらの施策は24年度から27年度まで継続して進める。全社レベルで1200~1500億円のコスト最適化を追求する」と意欲を示した。
◎24年度末には「年額400億円相当のコスト最適化の実現を見込む」
また24年度末には「年額400億円相当のコスト最適化の実現を見込んでいる」と明かした。岡村社長CEOは、捻出したリソースは、重点戦略製品の更なる販売促進やライフサイクルマネジメントへの取り組みやPoC取得後の優先Primary Focusの後期開発といった成長投資に振り向けるほか、「中期的な利益の確保にもこだわっていきたいと思う」と表明した。