米FDA パンデミック踏まえサプライチェーン強靭化を 重要医薬品への査察も
公開日時 2023/05/22 04:49
米食品医薬品局(FDA)のRobert M Califf長官は5月11日、新型コロナのパンデミックを教訓として、医薬品を含むサプライチェーンの強靭化に向けた対応についての声明を発表した。重要医薬品を製造する工場の査察を優先させる新たな制度を発足させる考えも示した。新型コロナに対する公衆衛生サービス法(Public Health Service Act)の下、新型コロナの公衆衛生緊急事態(Public Health Emergency for COVID-19)が解除されることを受けたもの。
Califf長官は、新型コロナのパンデミックをきっかけに、医薬品のサプライチェーンの脆弱性が明るみになったと指摘したうえで、対応方針を示した。
▽各ソース(商業的に入手可能なデータセット、製品製造業者、原材料供給者、有効成分製造業者、集団購入組織、卸業者、エンドユーザーである病院、薬局など)からの広範な強制的および自発的な報告をモニターする。
▽サプライチェーンの脆弱性やリスクを自然言語処理(NLP)および機械学習(ML)を含むAIを活用して分析するために内部および外部のデータを統合して予測する。
▽保存期間の延長、サプリメントや後発品申請の迅速審査、および製造業者に対して製品不足の可能性を低減させるためのリスク管理計画の確立を求める
FDAは、より効率的で、透明性を確保し、変化に対応可能な新たな査察制度を発足する。同制度は、重要医薬品を製造する工場の査察を優先させる制度。また、FDAは、新規製造技術を活用している施設の査察について新規アプローチ法も検討しているとした。
Califf長官は、「我々は、1つの行政機関として、COVID-19公衆衛生緊急事態から学んだ多くの重要な教訓を考慮にいれて、今後の計画に取り組んで行く」と締めくくった。