中医協・支払側間宮委員 ゾコーバ錠 探索的解析での後遺症軽減の可能性報告に苦言「宣伝なのか」
公開日時 2023/03/09 04:52
中医協支払側の間宮清委員(日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)は3月8日の中医協総会で、ゾコーバ錠について後遺症軽減データについて、「なぜ保険適用を目前にしたタイミングでこんなニュースを流すのか。宣伝なのか」と苦言を呈した。ゾコーバ錠の後遺症軽減の可能性を示したデータは、統計学的有意差を目的としていない探索的解析に過ぎず、エビデンスの解釈には注意を要する。間宮委員は、「モラルとしてどうなのか。メーカーに対してもそういうことはしないように、(厚労省には)指導していただきたい」と釘を刺した。
同データは塩野義製薬が2月22日付でプレスリリースした。フェーズ3パートの登録患者に対して、3か月後、6か月後にフォローアップした患者アンケート結果に基づくもの。治験データではなく、あくまで探索的解析となっている。また、フォローアップした患者のすべてのデータではなく、「おおよそ50~60%」の患者からの回答であり、サンプルサイズが小さく、バイアスがかかるリスクがある。一般的に承認申請には新たに、統計学的有意差を得ることを目的としてデザインされた臨床試験により有効性・安全性を検証することが必要になる。
間宮委員はこうしたゾコーバをめぐる報道がテレビや全国紙を通じ、このタイミングで拡散されたことに疑義を示した。「後遺症には皆さんなりたくないでしょうから、この薬を使いたいという方向に向かわせているのではないか」と指摘。製薬企業としてのモラルを問うた。「もちろん後遺症が本当に軽減されるということがきちんと確認されているのであれば、薬事承認が認められるようにすればいい話だ。やはり、ちょっと先走っているのではないか」と断じた。