中医協総会 ゾコーバ薬価は緊急承認時と同じ1錠7407.40円に 同剤に限った特例拡大再算定も継続
公開日時 2024/03/25 04:50
中医協総会は3月22日、新型コロナ治療薬・ゾコーバ錠(塩野義製薬)の通常承認を受け、改めて薬価収載を議論し、緊急承認時と同様、125mg1錠 7407.40円とすることを了承した。あわせて、同剤に限った対応として、市場が急拡大した際の対応として、同剤に限った対応として、特例の市場拡大再算定が導入されていたが、継続することも了承された。同剤は、感染拡大し、投与割合が上昇した場合は、年間1500億円超の市場規模となる可能性を否定できない高額医薬品として特例的な対応がなされており、通常承認のタイミングで改めて薬価について検討することとされていた。
同剤をめぐっては、2022年11月22日に緊急承認されており、24年3月5日に通常承認されていた。薬価専門組織の前田愼委員長は、緊急承認時と通常承認で効能効果や用法用量などの承認事項や「新型コロナ治療に係る最新の手引き」等においても臨床上の位置づけに変化がなかったことを説明。緊急承認時の薬価算定に際し、比較薬とされたラゲブリオカプセル200mg(MSD)とゾフルーザ錠20mg(塩野義製薬)の臨床的位置づけも変更なく、24年度薬価改定でも2剤の薬価に変更はなかったと説明。「薬価収載時の算定方式に基づき対応することが妥当であり、補正加算の適用も含め、現行の薬価と同額とすることが適切と判断した」と説明した。
◎緊急承認 通常承認で有効性確認など臨床上の位置づけ変更あれば判定にも影響
同剤は緊急承認された医薬品であり、この点も中医協で議論になった。前田委員長は、「緊急承認された品目については、有効性が推定された段階で承認されたものであり、通常承認で有効性が確認された際に、臨床上の位置付けなどに変更があれば、判定にも影響し得ると考えるが、本剤の算定においてについては、緊急承認から通常承認となるにあたって、位置付けの変更がなかったことを踏まえ、このような判断とした」と説明した。
中医協委員からの質問を受け、薬価算定組織で緊急承認を受けた医薬品の薬価について議論になったことも紹介。「緊急承認承認された医薬品が十分に確立されていない評価指標により評価された場合においては、通常承認と同じように有用性の評価をして薬価をつけるべきかどうかは今後検討する必要があるのではないか」、「緊急承認された医薬品について、通常承認の際に新たな有用性が判明した場合、改めて有用性加算をつけるということも考えた方がいいのではないか」などの意見があったという。
なお、同剤は緊急承認時に薬価収載されており、通常承認で販売名や規格単位の変更がなく、薬価の変更がないことも了承されたため、薬価基準の告示改正は行わない。
◎同剤に限った特例拡大再算定 「対象疾患の特性踏まえたルール」、感染継続から維持へ
同剤をめぐっては、緊急承認時に市場拡大に備え、同剤に限った特例的な措置も設けられていた。新型コロナの患者発生状況や同剤の投与割合、出荷量等の情報に基づき年間販売額を推計し、そのデータに基づき、既存の市場拡大再算定のルールのうち、年間販売額が極めて大きい品目の取扱いに係る特例(年間市場規模が1000~1500 億円、1500 億円超となる場合)に限り適用。短期間で市場規模が急激に拡大した場合に備え、「年間販売額が予測販売額から10倍以上に急拡大し、かつ、3000 億円超となった場合」に限り、現行ルールの上限値である50 %から66.7%まで引き下げ幅を拡大する特例のルールを導入した。厚労省は、「対象疾患の特性を踏まえたルールとされており、依然として感染が継続している状況や審査結果等を踏まえて今後も継続する」ことを提案し、この日の中医協で了承された。