自民党の議員連盟「ジェネリック医薬品の将来を考える会」（上川陽子会長）は２月17日、会合を開き、厚労省から「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」の議論の経過について説明を受けた。会合冒頭で、上川会長は一連のジェネリックの薬機法違反と供給不安問題について、「ジェネリック医薬品の世界だけで解決する問題ではない」と表明。「輸出入も含めて日本の医薬品産業全体を俯瞰したうえで、ジェネリック医薬品をどう位置づけるべきかという大きな視点で評価し直すことが必要」と述べた。議連では、有識者検討会の検討内容を踏まえて議論を深め、「ジェネリック医薬品の位置づけと、その構造的な課題解決」について、４月中旬を目途に提言を取りまとめる方針。骨太方針への反映を目指す。

◎上川会長　品質・供給問題の背景「製造プロセスと薬価制度がすり合っていない」

上川会長は、ジェネリック医薬品の一連の薬機法違反と、それに端を発した供給不安問題について、「議連として大変重く受け止めている」とした。そのうえで、「こうした一連のジェネリック医薬品を巡る品質問題、供給問題の背景には、製造プロセスと薬価制度がすり合っておらず、様々な形でこの弊害が積み重なり、また全体として大きなひずみにもつながっているのではないか。また現在の流通構造に起因する課題もあるのではないかなど、様々な問題提起がなされているところ」との認識を示した。

こうしたジェネリックの課題をめぐっては、「ジェネリック医薬品の世界だけで解決する問題ではなく、またそこを切り出して議論するのでは不十分ではないか。輸出入も含めて日本の医薬品産業全体を俯瞰したうえで、その連関の中でジェネリック医薬品をどう位置づけるべきかという大きな視点で評価をし直すということが必要であると考えている」と述べた。

上川会長は、「議連としては、有識者会議の検討状況をしっかりと踏まえながら、ジェネリック医薬品の位置づけと、その構造的な課題解決に向けて随時議連を開催し、意見を集約したうえで提言を取りまとめ、政府に対してもインプットして参りたい」と述べた。

◎山田事務局長「表層的なところだけをやっても仕方がない」根本問題を議論し、結論を

山田美樹事務局長は会合後、「ジェネリック医薬品の問題点を洗い出していくと、どうしてもジェネリックのなかだけに収まらない話になる。表層的なところだけをやっても仕方がない。ジェネリックの範囲をこえてしまうかもしれないが、しっかり根本問題を検討し、結論を出していく。議連での検討は幅広目になっていくのではないか」と見通した。有識者検討会での検討を踏まえ、安定供給や薬価・流通などについて議論を深めていく方針。

この日の会合では出席議員から、「毎年薬価改定が、ジェネリックに関して非常に大きな影響を及ぼしており、採算割れを起こしているような品目がたくさんある。産業政策としてどう考えているのか」、「欠品問題が顕在化するなかで、在庫がどこにあるのか見える化するような仕組みが必要ではないか」などの意見があがった。

◎経済安全保障の観点から課題を指摘する声も　山田事務局長「考慮要素として入る」

「先発メーカーとジェネリックメーカーで役割分担がされるなかで、ジェネリックが薬価の調整弁となっている」ことについての認識を問う声もあり、製薬業界側からは「非常に苦しい」と窮状を訴える声もあがった。また、2023年度薬価改定では不採算品再算定の特例適用がなされたことについての認識を問う声もあがったが、製薬業界側からは物価や原材料が今後さらに高騰するリスクがあることから、厳しさを訴える声もあったという。

このほか、後発品80％時代のなかで患者に医薬品が届かないことについて、経済安全保障の観点から課題を指摘する声も出席議員から出た。山田事務局長は、「（経済安全保障の観点は）提言の中心にはならないが、考慮要素としては入ってくるかと思う」との認識を示した。