2型糖尿病薬ツイミーグ 10月に想起医師数急増 長期投与解禁、厳しい事業環境あいまってリソース集中
公開日時 2023/01/11 04:52
「MR活動」などプッシュ型のプロモーション系情報チャネルによる製品想起ランキングで、2型糖尿病治療薬・ツイミーグを想起した医師数が2022年10月調査で急増したことがわかった。同剤の想起医師数は1万7000人(拡大推計、100人未満切捨て)で、前回7月調査比で57%増、人数で約6100人増加した。製品想起ランキングは2位で、前回調査から1つ順位を上げた。
今回の想起医師数の急増は、9月の長期投与解禁に伴うプロモーション強化が主な要因と考えられるが、同剤を製造販売する住友ファーマは、▽主力の2型糖尿病薬のGLP-1受容体作動薬・トルリシティの12月末での販売提携終了、▽米国事業での減損損失(約544億円)による22年度連結業績の赤字予想――といった厳しい事業環境に直面しており、ツイミーグの営業活動にリソースをより集中したことも今回の結果に反映したとみられる。
調査は、インテージヘルスケアが提供する医師約1万人を対象に情報チャネルごとの製品想起状況などをトラッキングする「SOC(=Share of Channels)」によるもの。SOCは、主に「MR活動」、「講演会(Web含む)」、自社サイトやサードパーティによる情報発信を指す「eマーケティング」で構成するプロモーション系チャネルによる製品想起と、主に「使用感評価」、「患者の声」、「学会ガイドライン」といったプッシュ型ではないノンプロモーション系チャネルでの製品想起状況が把握することが可能となっている。
今回はプロモーション系チャネルの10月の調査結果を見てみた。なお、同調査は1月、4月、7月、10月に実施している。
◎「MR活動」「講演会」「eマーケ」の主要3チャネル全てで想起医師数増加
ツイミーグは新規機序の経口血糖降下薬で、ミトコンドリアへの作用を介して血糖降下作用を示すと考えられている。同剤のプロモーション系チャネル別の想起医師数をみると、「MR活動」は7800人(前回調査比約2200人増)、「講演会」は3400人 (約1600人増)、「eマーケ」は5500人(約2100人増)――と主要3チャネル全てで増加した。
チャネル別の想起医師数ランキングは、「MR活動」で2位(前回調査5位)、「講演会」も2位(6位)とそれぞれ順位を上げ、「eマーケ」は今回1位(2位)に立った。住友ファーマは、発売当初から医療関係者向けサイトで同剤の動画を積極的かつ継続的にアップしており、「eマーケ」での想起医師数ランキングは発売直後の21年10月調査からこれまでトップ3をキープしている。
住友ファーマは、昨年12月に主力製品であるトルリシティの販売提携を終了したが、「今後も国内営業は糖尿病領域に注力する」(広報部)としている。トルリシティの22年度の売上計画は、期初計画の310億円を10月31日の中間決算時に238億円まで下方修正しており、ツイミーグへの期待は高まるばかりの状況になっている。
なお、ツイミーグの想起医師数は、今回5期連続1位を獲得した慢性心不全・高血圧症治療薬・エンレスト(ノバルティスファーマ/大塚製薬)に2000人差まで縮まった。前回調査で1位エンレスト、2位フォシーガの差は約1万人。1位エンレスト、3位ツイミーグとの差は約1万2000人あった。
10月のプロモーション系チャネル合計による製品想起トップ10製品と推計想起医師数(100人未満切捨て)は以下の通り。
1位 エンレスト 想起医師数1万9100人
2位 ツイミーグ 想起医師数1万7000人
3位 フォシーガ 想起医師数1万1500人
4位 リベルサス 想起医師数8300人
5位 ジャディアンス 想起医師数7800人
6位 デエビゴ 想起医師数6200人
7位 タケキャブ 想起医師数5800人
8位 リンヴォック 想起医師数5500人
9位 ユリス 想起医師数5400人
10位 ダーブロック 想起医師数5100人
ミクスでは1月、4月、7月、10月のSOCデータを用いて、ミクスOnlineの会員向けに全国及びエリア別にチャネル別の製品想起ランキングトップ10を公開している(連載タイトル
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