サワイグループHD トラストファーマテックの生産準備「計画通り進捗」 増産体制の整備に注力
公開日時 2022/11/09 04:50
サワイグループホールディングスの末吉一彦代表取締役社長は11月8日の決算会見で、小林化工の設備と転籍人材を受け入れたトラストファーマテックについて、「2023年4月の初出荷に向け、計画通り進捗している」と述べた。生産開始に向けて、すでに1品目の検討・準備は完了し、2品目目以降の技術移管作業を実施中という。中期経営計画でも、国内ジェネリック医薬品市場のシェア拡大に向けて安定供給力の強化を柱とする同社。「早期に200億錠を超える生産能力を実現し、国内全国市場内でのさらなるシェア拡大を目指す」と増産体制整備に注力する姿勢を改めて強調した。
◎約130名が沢井製薬の既存工場に長期出張 スキルを習得し、達成度を評価
末吉社長は、トラストファーマテックの本社や工場で、「GMPの研修はもとより、沢井製薬の信頼性保証本部、生産本部、各工場の社員による直接の指導を計画的に実施している」と説明。沢井製薬の既存工場に約130名が長期出張し、来年3月までの1年間で、「沢井基準の生産方法を実践的に習得させるべく研修に励んでいる」と説明。さらに、沢井製薬と同等のスキルを習得できるように定期的に達成度を評価し、今後も研修を継続するとした。来期以降のトラストファーマテックの稼働により30億錠、第二九州工場新固形剤棟で20億錠の増産を見込む。
◎22年度上期の生産数量は84億錠を達成
末吉社長は22年度上期の生産数量は84億錠を達成したと説明。「第3四半期以降においては限定出荷解除による販売数量の増加を目指す」と述べた。なお、同社の限定出荷品目数は222品目。4月以降、随時解除をしており、「今後も主力品、大型品目をはじめ、さらなる解除を予定している」とした。
◎原材料高騰の影響は「限定的」 全体で数億円程度
同社の2023年3月期(22年度)第2四半期売上高は前年同期比0.9%減の964億1400万円。営業利益は36.2%減の88億1700万円、コア営業利益は27.9%減の116億2300万円、純利益は29.3%減の66億6000万円だった。日本事業は前年同期比6.6%減の773億3700万円。21年度に販売を開始した製品は予定通り進捗したが、22年4月の薬価改定で、加重平均で9.3%の単価下落があったことが影響した。さらに、21年度の上期にあった他社の供給停止を受けた需要集中の反動減などがあり、数量ベースでも前年同期を3.2%下回った。一方、米国事業では、ドルベースで前年同期比8.0%増、為替影響もあり、円ベースでは31.7%の増収となった。
物価高騰が続いているが、原材料高騰による影響は「限定的」で、「全体で数億円程度」としている。末吉社長は、「原材料を仕入れて、加工して製品に仕上げて売っていくとそれが短期間の間に実際の製品の価格まで反映されるものではない」と述べた。