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医薬産業政策研究所 日本事業の投資優先度下げた企業27% 営業、開発・薬事に影響 薬価想定に不満も

公開日時 2022/11/02 04:52
医薬産業政策研究所は11月1日、「ドラッグ・ラグ:事業投資優先度の影響-日本事業投資優先度の製薬企業サーベイ結果」を公表した。集計対象の製薬企業37社中、2016年以降に事業優先度を下げた企業は10社(27%)あった。この10社に投資優先度低下に伴い縮小する見込みの国内バリューチェーンを聞いたところ、国内営業が9社、次いで臨床開発・薬事が7社だった。日本事業の投資優先度が低い理由については、日本事業の「経済合理性/事業性/収益性が低い」との回答が9社。うち8社が薬価・想定薬価が低いことをあげた。

調査は、製薬協、PhRMA、EFPIAに加盟する製薬企業86社を対象に、①日本事業への投資優先度(有効回答37社)、②海外第三者からの国内導入(同42社)、③適応外薬の状況(59社)、④未承認薬の状況(該当25社)―についてアンケート形式で回答を求めた。調査期間は22年6月30日~8月23日。

◎投資優先度下げた理由 1位は「経済合理性」 一方で優先度下げていない企業73%


日本事業への投資優先度に関する項目では、集計対象37社中、2016年以降に事業優先度を下げた企業は10社(27%)、優先度を下げていない企業は27社(73%)だった。優先度を下げた10社をみると、時期については「2016年以降」が5社、「2018年以降」が4社、「21年度以降」が1社。優先度を下げた理由は、「経済合理性が低い」が9社で、逆に「薬剤ニーズがない」との回答はゼロだった。投資優先度の低下に伴い縮小したバリューチェーンでは、営業部門と臨床開発・薬事に集中している。このほかに基礎研究、生産、市販後臨床研究の核部門にも少なからず影響があることも分かった。

◎海外第3者から「導入しない」理由 投資対効果や導入優先度が低いため

海外新薬承認数の増加に伴う「海外第3者からの導入」も調査した。日本向け開発品・製品導入が2015年以前と比べて16~21年で「増加した」企業は7社(17%)、「今後増加する見込み」は11社(26%)の合計18社(43%)。一方、「変化しない」との回答が最も多く16社(38%)。また、「今後減少する」は5社、「減少した」は3社で合計8社(19%)だった。

「減少する・した」(変化なしを含む)と回答した24社に増加しない理由を聞いたところ、「投資対効果が悪い」という回答が8社(38%)で最も多かった。このほか「導入優先度が低い」が6社(29%)、「導入機会が少ない」が4社(19%)あった。導入優先度が低い背景について同レポートは、「日本企業で自社オリジンの開発や海外開発に優先度が高いことが推察される」と分析。「導入機会が少ないことは海外新興企業とのマッチング機会が少ない可能性と、企業個社の疾患戦略領域と海外承認薬の疾患領域に相違がある可能性も考えられるが想像の域を出ない」とも指摘した。

◎「適応外薬」を開発・申請しない理由 追加投資や収益性など「投資対効果が悪い」75%、


ドラッグ・ラグの課題とされる「適応外薬の状況」については、59社中20社(34%)で適応外薬を社内に保有していることが分かった。うち、日本で開発・申請・承認予定のないものが15社・32適応あった。その理由を聞いたところ、投資対効果が悪いが24件(75%)と最多。この要因として、追加投資が大きい(追加の開発等の費用が大きいため)が最も多く9件、次いで収益性が低い(患者数が少ないため)が7件だった。

適応外薬の場合、薬価は初回承認時に決定していることから、「適応追加時には変えようのない因子として認識され、追加適応の収益性が低いことの課題として薬価が想起されなかった」とも指摘している。

◎「未承認品目」も投資対効果への懸念 想定薬価が低いとの回答はゼロ

FDAで承認されていながら日本で承認されていない「未承認品目」が25社から59品目あった。この59品目について当該企業に調査を依頼したところ、43品目で回答を得た。このうち5品目(12%)は FDA 承認時のピボタル試験に日本が組み入れられており、日本での申請が予定されていた。また、18品目(42%)はFDA 承認時のピボタル試験に日本が組み入れられていないものの、国内試験の追加等により申請が予定されていた。この結果、ドラッグ・ラグは発生するものの、日本に届けられる未承認品目が多数含まれることが示唆された。

一方、日本で開発・申請の予定されない品目は15品目(35%)あった。当該企業に理由を聞いたところ、「薬剤ニーズが満たされている」が6品目、「ニーズは満たされていないが、投資対効果が悪い」も6品目あった。なお、投資対効果が悪い要因として、日本での想定薬価が低いためのとの回答はなかった。

◎日本にピボタル試験を組入れしない理由「日本事業の期待事業価値が小さい」

このほか未承認薬をピボタル試験に日本地域を組入れがない理由について聞いたところ、最も多かった理由は、「日本事業の期待事業価値が小さかったため」が14品目(38%)、次いで「その他」の回答が多く、自由記述には、「該当品目の優先度が低かった」(6品目)、「Phase 3から組入れる予定だった」(3品目)など、各社事情によるものが多かった。

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