米国研究製薬工業協会（PhRMA）の会員企業は現在、慢性疾患治療薬合計799剤を開発中（申請済み含む）であることがわかった。PhRMAが９月29日、新たな報告書「Medicines in Development 2022 Report: Chronic Diseases」(開発中の新薬　2022年報告：慢性疾患)で紹介した。

米国では成人10人のうち6人が慢性疾患に罹患しており、10人のうち4人が２つ以上の慢性疾患を合併しているとされている。慢性疾患治療費は年間国民医療費4.1兆ドルの90％以上を占めている。

799剤を薬効別に区分すると以下の通り。
▽がん治療薬322剤
米国ではがんは死因の2番目であり、3人に1人は一生のうちにがんとなる。

▽心疾患治療薬（うっ血心不全、冠疾患、高脂血症、高血圧および脳卒中などを含む）：102剤
心疾患および脳卒中が死因となっている死亡者数は年間87万5000人と推定されている。

▽アルツハイマー病治療薬：83剤
米国では、650万人以上がアルツハイマー病の影響を受け、米国経済への経済的損失は2022年には3210億ドルに上ると推定されている。

▽1型および2型糖尿病治療薬：71剤
糖尿病と診断されているのは287万人だが、推定患者は3730万人とされている。

▽関節炎治療薬（変形性関節炎、乾癬性関節炎、リウマチ性関節炎および痛風を含む）：70剤

米国人の成人4人のうち1人は、何らかの関節炎と診断されている。

▽慢性呼吸器疾患治療薬（喘息、慢性閉塞性呼吸器疾患（COPD）、肺線維症などを含む）：67剤

喘息は米国成人の約8％が罹患し、1640万人以上がCOPDと診断されている。

▽慢性消化器疾患治療薬（クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群（IBD）を含む）：65剤

米国人がクローン病と潰瘍性大腸炎には米国人の160万人が罹患し、IBDには2500～4500万人が罹患していると見られる。

▽肥満症治療薬：32剤

肥満症はBMI（体格指数）30以上と定義され、米国人の5人に2人が該当する。

▽慢性腎臓疾患治療薬：26剤
3700万人が罹患していると推定されているが、大半が未診断である。