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財務省主計局 一律2%・20年固定の「調整幅」可及的速やかな見直しを 薬価改定の効果目減りを問題視

公開日時 2022/04/14 04:52
財務省主計局は4月13日の財政制度等審議会財政制度分科会で、調整幅について「可及的速やかに、廃止を含めて制度のあり方を見直し、少なくとも段階的縮小を実現すべき」と主張した。調整幅をめぐっては22年度診療報酬改定をめぐり、昨年12月に厚労相・財務相の大臣合意で、「引き続き検討する」とされている。また、毎年薬価改定については、長期収載品の薬価改定や新薬創出等加算の累積額の控除などのルールを含めた「完全実施を早期に実現すべき」と主張した。

調整幅をめぐっては、1992年度に加重平均値一定価格幅方式(R幅方式、R幅:15%)が導入された。2000年度に、加重平均値調整幅方式(調整幅:2%)となった。1992年当初は、取引価格差による経済的損失を生じさせない“実費保障”の考え方で導入。2000年に現行の調整幅となってからは、薬剤流通の安定のために設定されている。

◎調整幅 合理的な根拠の説明ないままに、保険料負担・患者負担・公費負担を嵩上げ


財務省主計局は、「“医療機関の平均的な購入価格の保障”という考え方や、“流通安定のため”の調整比率という制度趣旨以上の説明がなされないまま、価格の高低を問わず全医薬品について一律に2%という水準が約20年間固定されている」と指摘。「水準の合理的な根拠の説明もないままに、薬価改定の効果を目減りさせ、保険料負担・患者負担・公費負担を嵩上げしていることは、大きな問題と言わざるを得ない」と問題提起し、“可及的速やかな”見直しを求めている。

◎「市場実勢価格を適時に公定薬価に反映」 国民負担抑制の観点から極めて重要

21年度から導入された毎年薬価改定については、患者負担や保険料負担、公費負担が高止まりしていることを問題視。「市場実勢価格を適時に公定薬価に反映することが国民負担の抑制の観点から極めて重要」と毎年薬価改定が導入された背景を説明。そのうえで、毎年薬価改定を通じた薬剤費の適正化をイノベーションの推進に振り分けるような、「薬剤費のワイズスペンディングの観点からも不可欠」として、毎年薬価改定の完全実施の実現を主張した。

◎事前の財政規律導入に向けた議論を 新薬収載で「財政の予見可能性が失われている」

新薬については、製薬業界にとってアメとムチと言えるような内容を盛り込んだ。薬価改定を実施しても薬剤費が年平均2%伸びる背景に、「新規医薬品の保険収載がある」と指摘した。薬事承認を得た新規医薬品が、財政影響を考慮せずに、事実上すべて収載されていることを問題視。結果として、「事前の予算統制の埒外となり、財政の予見可能性が失われている」と指摘した。

一方で、“薬剤費のワイズスペンディング”という言葉を多用し、イノベーション推進に振り向ける必要性に理解を示した。具体例として、22年度改定で湿布薬の処方上限枚数が70枚から63枚に適正化されたことによる医療費適正化効果は70億円程度であることを紹介。「近年の単価でみると、高額な再生医療等製品1剤分のピーク時市場規模に匹敵する」とした。

そのうえで、薬剤の総額にかかわる事前の財政規律を導入し、実効性を担保できなければ、「市場拡大再算定をはじめとする現行の薬価改定ルールに基づく適正化の徹底を図っていくより他はない」と強調。新時代戦略研究所(INES)の提案するマクロ経済スライドを柱とした薬価制度改革案を示し、「関係者において建設な議論が進展することを期待したい」と迫った。


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