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塩野義製薬 経口新型コロナ薬・S-217622 日本政府が承認後100万人分購入で基本合意

公開日時 2022/03/28 04:49
塩野義製薬は3月25日、承認申請中の経口新型コロナ治療薬・S-217622(開発コード)について、日本政府が承認後速やかに100万人分を購入するとの基本合意を厚労省と締結したと発表した。国産の経口新型コロナ薬として初の基本合意となる。100万人分購入後についても、「一定数量確保する方向で協議が行われる予定」としている。

同社は基本合意にあたり、「軽症および中等症のSARS-CoV-2感染者に対する新たな治療選択肢として、本治療薬を1日も速く提供できるよう、基本合意に基づく協議に真摯に対応する」とし、「引き続き、審査対応、生産、ならびに進行中の臨床試験におけるエビデンス集積に鋭意取り組む」とコメントしている。

S-217622は北海道大学と塩野義製薬の共同研究から創製された3CLプロテアーゼ阻害薬。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は3CLプロテアーゼというウイルスの増殖に必須の酵素を有しており、S-217622は3CLプロテアーゼを選択的に阻害することで、SARS-CoV-2の増殖を抑制するとされる。

◎主要評価項目 ウイルス力価で有意な減少も 症状改善は統計学的有意差を認めず

同社はS-217622について、条件付き早期承認制度の適用を希望する承認申請を2月25日付で行った。第2/3相臨床試験のうち、軽症/中等症患者を対象としたPhase 2b partの主要評価項目を達成したことを受けたもの。

Phase 2b partでは、軽症/中等症の新型コロナ患者428例を高用量群(低用量の2倍)、低用量群、プラセボ群に無作為に割り付けた。1日1回、5日間経口投与し、抗ウイルス効果および臨床症状の改善効果を比較した。日本から419例、韓国から9例が組み入れられた。

主要評価項目に据えた4日目(3回投与後)におけるSARS-CoV-2のウイルス力価のベースラインからの変化量は、高用量群、低用量群ともにプラセボ群に比べて有意な減少を示した。ウイルス力価陽性患者の割合は両用量群ともに10%未満で、プラセボ群との比較でPhase 2a partの成績を上回る減少率となった。

一方で、新型コロナの症状合計スコアの初回投与開始から120時間(6日目)までの単位時間あたりの変化量は、プラセボ群に比べ改善傾向を認めたものの、統計学的に有意な差は認められず、主要評価項目を達成しなかった。ただ、同試験の集団で特徴的な症状だった呼吸器症状(鼻水または鼻づまり、喉の痛み、咳、息切れ (呼吸困難))の合計スコアは、高用量群、低用量群ともに有意な改善効果が認められた。

安全性については、「Phase 2a partの結果と同質であり、新たに懸念される有害事象等は認められなかった」としている。
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