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オンライン診療 診療報酬上の評価は「対面診療と特例対応の中間程度に」 公益裁定で

公開日時 2022/01/27 04:51
中医協総会は1月26日、オンライン診療の診療報酬上の評価について、「対面診療の点数水準と、時限的・特例的な対応の点数水準の中間程度の水準」とすることを公益裁定で決めた。現行のオンライン診療料を廃止し、2022年度診療報酬改定で、初・再診料を新設する。オンライン診療の診療報酬は対面と大きな隔たりがあり、普及を阻む一因として指摘されていた。このため、経団連などが対面診療と同等の水準とすることを求めており、焦点となっていた。現行の算定要件である、医療機関と患者との間の時間・距離要件や、オンライン診療の実施割合の上限については撤廃される。

オンライン診療をめぐっては22年度改定で、「初診料(情報通信機器を用いた場合)」、「再診料 (情報通信機器を用いた場合)」、「外来診療料(情報通信機器を用いた場合)」が新設される。なお、現行制度での診療報酬上の評価は、初診料が対面診療は288点であるのに対し、オンライン診療による時限的・特例的な対応では 214 点。医学管理料は対面診療では87点から1681点まであるが、オンライン診療では一律100点であり、報酬上に大きな開きがある。こうした診療報酬上の差がオンライン診療の普及を阻む一因として指摘されている。

この日の議論でも診療報酬上の評価や算定要件や施設基準をめぐり、診療・支払各側の意見は平行線で、最終的に公益裁定となった。

◎触診・打診・聴診のできないオンライン診療「点数水準に一定程度の差を設けることは妥当」

診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、「問診と視診に限定されるオンライン診療と異なり、医師の五感を活用して行っている。基本診療料には簡単な処置や検査の点数が含まれた点数や、施設利用料、看護職員等の費用も含まれた点数となっている。オンライン診療の点数設定は対面診療の質の高さを勘案した点数設定とすべき」と主張。そのうえで、「万が一にも、対面と同じ点数とすることが予定されているのであれば、医師の技術料を根本から覆す話で、到底受け入れることはできない。現在、特例的・時限的に設定されている初診の点数水準を基本として検討するものでしかない」と強調した。

一方、支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「オンライン診療の推進に資するため、通信料等の実費負担を含むトータルでの患者負担に配慮しつつ、オンライン診療について対面診療と同内容、同水準で実施される行為は医学管理料も含めて対面診療との違いも踏まえた適切な報酬として設定すべき」と主張した。特に、支払側委員である眞田享委員(経団連)から、「対面診療と同内容、同水準で実施されるものについては同等の報酬の水準にすべきとの強い意見があった」ことも紹介した。

公益裁定では、「オンライン診療では、対面診療との比較において、触診・打診・聴診等が実施できないことを踏まえると、点数水準に一定程度の差を設けることは妥当」としたうえで、「オンライン診療のみで診療を終え得ることや、国民にオンラインでも適切に診療を届けていくことの重要性も勘案すると、オンライン診療に係る初診料については、対面診療の点数水準と「時限的・特例的な対応」の点数水準の中間程度の水準とすることが適当」と結論づけた。医学管理料についても、「オンライン診療の初診料の対面診療に対する割合と整合的に設定することが適当」とした。

◎時間・距離要件や、オンライン診療の実施割合の上限は撤廃へ

算定要件や施設基準については、診療側の城守委員は、「無責任な診療が行われ、地域の医療提供体制が壊れるようなことはあってはならないと考えている。特に、対面診療が必要になった場合は連携する保険医療機関に依頼するなどして、自分たちでは対応しないような無責任な診療を助長するようなことがあってはならない。オンライン診療のみを行っているような医療機関があれば、それは地域医療提供体制に大きな影響を及ぼすことを懸念している」と主張。オンライン診療と対面診療の適切な組み合わせの重要性を強調した。現行の要件である「日常的に通院又は訪問による対面診療が可能な患者を対象」とすることや、「診療料の算定回数に占めるオンライン診療料の割合が1割以下」について、「今後も必要だと考えている」と強調した。

一方、支払側の松本委員は、「算定要件や施設基準については、オンライン診療の適切な実施に関する指針を超える趣旨の制限を設けるべきではない。従来設けられていた距離要件や、患者割合要件は撤廃すべきであると主張する」と述べた。そのうえで、「患者の安全安心という面で、問題が発生しないかどうかは継続的に事後検証し、オンライン診療に関する実態を把握し、問題があれば、速やかに対策を打つことが大前提となる」とも述べた。

公益裁定では、「新型コロナウイルス感染症の感染拡大下において、オンライン診療が活用されてきたことも踏まえれば、患者が適切にオンライン診療を受けることができる環境を整備することが重要となる。一方、オンライン診療の質を確保し、医師が必要と判断した場合にはオンライン診療ではなく、対面診療が行われることも重要」と指摘。

オンライン診療の算定要件と施設基準については、「患者の状況によってオンライン診療では対応が困難な場合には、他の医療機関と連携して対応できる体制を有することを求めることが適切。これらも含め、指針に準拠した診療の実施を要件化することを前提として、医療機関と患者との間の時間・距離要件や、オンライン診療の実施割合の上限については要件として設定しないことが適切」と結論付けた。




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