薬食審・第二部会 新型コロナの経口薬モルヌピラビルを審議 12月24日に
公開日時 2021/12/17 18:00
厚生労働省は薬食審・医薬品第二部会を12月24日に開催し、MSDの申請する経口の新型コロナ治療薬ラゲブリオカプセル200mg(一般名:モルヌピラビル)の特例承認について審議する。承認されれば、新型コロナをターゲットとして開発された初の経口薬となる。承認取得を前提として、11月10日に日本政府と約160万治療コース分供給することで合意している。
同剤は、高齢や肥満、糖尿病など重症化のリスク因子を1つ以上有し、軽症から中等症の新型コロナの診断を受けた入院していない成人患者を対象とした第3相臨床試験に基づき、申請された。軽症の新型コロナ患者に処方できる薬剤としては、ロナプリーブとゼビュディがあるが、いずれも注射薬。ラゲブリオは、軽症の新型コロナ患者に処方できる初の経口治療薬となる可能性がある。なお、同剤の投与対象患者も審議事項となる。
【審議予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
▽ラゲブリオカプセル200mg(モルヌピラビル、MSD):「SARS-CoV-2による感染症」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。
リボヌクレオシドアナログで、SARS-CoV-2の複製を阻害することで作用を発揮する。臨床試験の結果から、重症化のリスク因子(高齢、肥満、糖尿病など)を有する軽症から中等症患者への効果が期待されている。
日本での承認申請は、第3相MOVe-OUT試験の中間解析の結果に基づいて行われた。同試験は、軽症から中等症の新型コロナウイルス感染症の診断を受けた入院していない成人患者(重症化のリスク因子を1つ以上有し、無作為割り付け前の5日以内に発症した患者)を対象に、モルヌピラビルを評価したもの。
米メルクが12月16日に発表した同試験の全被験者を対象とした最終解析結果によると、主要評価項目の無作為割り付けから29日目までに入院または死亡した患者の割合は、モルヌピラビル群6.8%(48例/709例)、プラセボ群9.7%(68例/699例)で、モルヌピラビルが相対リスクを30%減少させたことが確認された。なお、世界初承認となった英国や、欧州EMAの緊急使用許可の根拠となった中間解析では約50%減少させるとの結果だった。全被験者を対象とした死亡例はモルヌピラビル群1例(29日間の全死因死亡率0.1%)、プラセボ群9例(29日間の全死因死亡率1.3%)で、死亡リスクを89%低下させている。