ヤマト運輸・岡山県和気町 ドローンを使った医薬品輸送の経済的実現性を検証する実証実験スタート
公開日時 2021/12/07 04:50
ヤマト運輸と岡山県和気町は12月6日、ドローンを使った医薬品輸送の経済的実現性を検証する実証実験を開始したと発表した。実証実験は、対象エリアに配達を行う医療用医薬品を医薬品卸ティーエスアルフレッサの物流拠点からヤマト運輸が集荷し、その後、宅急便センターから医療機関までの納品および、オンライン診療・服薬指導後の処方薬の患者宅への配送をドローンで行うというもの。検証期間は12月6日から22年1月末までの計12日間の実施を予定している。
ヤマト運輸と岡山県和気町は今年10月22日に「ドローン輸送に関する連携協定書」を締結しており、今回の実証実験はこれに準拠して行われる。岡山県の東南部に位置する和気町は、吉備高原から連なる標高200~400メートルの山々に囲まれた地域で、中心部を離れると高齢化による買い物難民や交通弱者の増加、老朽化したインフラ対策といった様々な地域課題に直面していた。このため和気町では、これらの地域課題を解決する目的で、2018年からドローンを活用した実証実験を推進してきた。
◎医薬品卸と病院・薬局間、薬局と患者宅・老人介護施設間にドローンを活用
今回の実証実験は、医薬品卸物流拠点、宅急便センター、病院・調剤薬局、患者宅・老人介護施設の各拠点をネットワーク化するもので、ドローンはヤマト運輸が医薬品卸から集荷した商品を宅急便センターからまとめて病院・調剤薬局に輸送するのに使用する。また、調剤薬局で調剤された処方薬をドローンに積み込み、個人宅・老人介護施設まで輸送する。
◎オンライン診療、オンライン服薬指導も実施
なお、基幹病院の医師による診療にはオンライン診療が用いられるほか、調剤薬局の服薬指導には薬剤師によるオンライン服薬指導を実施する。実証実験による有用性検証では、医薬品輸送におけるドローン輸送の品質に関する課題の洗い出しや、離発着の荷役作業、運行のオペレーションの具体化と課題の洗い出しを行う。一方で、経済的実現性の検証では、商材や環境に適合する機体の必要スペックの確定、全ての参画パートナーにとって経済合理性があるかの想定コストシミュレーションの検証などを行うことにしている。
ヤマト運輸は、2022年2月以降は第2フェーズとして、ドローンポートを使用せず個人宅へ離着陸する技術検証および、ドローン運航の内製化検証を行うことにしている。都市部でもドローンの社会実装に向けた取り組みを進めることにしており、将来的には複数の温度帯における医薬品輸送や宅急便の配送など、ドローンの活用を広げていくことを目指す。