KDDI・メディセオなど6社 ドローンによる医薬品配送実証プロジェクト 「都市部での実現性高まる」
公開日時 2024/11/28 04:51
KDDIは11月27日、「ドローンによる医薬品配送ビジネスモデルの実証プロジェクト」に関するオンライン説明会を開催し、都市部での医薬品配送ビジネスモデルの実現性が高まったと報告した。ただ、ビジネス実装の課題では、ドローンを都市部で運行するための法制度や機体開発が必要だと指摘。KDDIビジネス事業本部プロダクト本部DX・IoTサービス企画部3Gの保澤辰至氏は、「遠隔で目視外で自動運行ができる状況に変わらない限り、ドローン1回の運行にかかる(人員配置)コストが実証の域をとどまらない」と述べ、有人地帯で目視外によるドローンの自律飛行「レベル4」を可能にすることが実装に必須との認識を示した。
◎檜原診療所と特別養護老人ホーム桧原サナホームを結ぶ約2.4㎞でドローン配送
実証プロジェクトは、KDDIのほかに、KDDIスマートドローン、メディセオ、日本航空、東日本旅客鉄道、ウェザーニューズの各社が参画。2022年5月から3か年計画でドローンを活用した医薬品配送ビジネスモデルの業務フローの策定と検証を行ってきた。最終年となる24年度は人口密集地である都市部でのサービス実装に向け、東京都西多摩郡檜原村において、檜原診療所と特別養護老人ホーム桧原サナホーム間の第三者上空を含む約2.4㎞の飛行ルートを物流用ドローンが自動操縦で稀用医薬品の保存に使われるアンプルを配送し、オペレーションの検証を10月21日~11月7日の期間に実施した。
なお、今回の実証に際しては、ドローンの運航レベル3.5飛行と、レベル4飛行を実施した。レベル3.5飛行では、多数の医薬品を短時間で効率的に配送するために、1人の操縦者に対して2機のドローンを同時に運航する1対2運航での効率性を検証するというもの。一方でレベル4飛行では、都心部でのサービス実証を見据え、操縦者など運航に携わる者に対し、JALのCRM(クルー・リソース・マネジメント)訓練を導入し、より高い安全性を確保したオペレーションの検証を実施した。ドローンの運航は、KDDIスマートドローンのオフィス内(東京都千代田区)に設置した運航管理室から遠隔で行った。
◎医薬品配送で発注から受領までドローンによる業務フロー・プロセス構築
実証プロジェクトの成果についてKDDIの保澤氏は、「稀用医薬品のオンデマンド配送サービスの検証を行い、都心部での医薬品配送モデルの実現性が高まった」と報告。さらに、「医薬品配送の発注から荷物の受領までドローンによる業務フローのプロセスを構築し、ロールプレイの実施によりそれが精緻化できた」と強調した。
◎今後の課題 都心部でもレベル4飛行(有人地帯で目視外の自律飛行)への緩和が必須
今後の課題について保澤氏は、「ビジネスモデルの実装に向けて、都心部で運行するため法制度や機体開発が必要」と指摘した。同氏は、「現時点では都心部の人口密集地域ではドローンを目視外で運行させることができないため、ルート上で立ち位置管理をしながらドローンを飛ばさなければならない」と説明。「物流ビジネスとなると1ルートのドローン飛行に何人も人員を配置しなければならない」との課題感を示しながら、「ビジネス実装には、そこが緩和され、都心部でもレベル4飛行(遠隔で目視外で自動運行)ができるようになることが、このビジネスモデルの実装に必須だ」との見解を示した。