あすか製薬ホールディングスの山口隆代表取締役社長は11月16日の2021年度第２四半期決算説明会で、「全体を通して非常に順調に進んでいる。（子宮筋腫に関する適応症で 19年12月に国内承認申請した）ウリプリスタルの申請取り下げの影響で特損を出したことは大変残念だが、パイプラインを拡充する中で、それに代わる材料を獲得できており、長期的に見れば、取り下げの影響は減少できる」と強調した。

具体的には、上期中に武田薬品とのライセンス契約で、レルゴリクス配合剤（TAK-385）の日本での子宮筋腫を対象とした独占的開発権および独占的販売権を獲得したことなどを挙げ、「ウリプリスタル以上のインパクトがあるものだ」と位置付けた。

◎21年度第２四半期決算　上期として過去最高売上高　承認取り下げ影響で28億円の純損失に

第2四半期決算の連結売上高は前年同期比3.9％増の284億7700万円となり、上期としては過去最高を記録。研究開発費の減少などにより営業利益、経常利益は各36.5％、40.5%の大幅増益となった。ただ、ウリプリスタルの承認申請取り下げ、開発中止により、第２四半期に無形固定資産の減損処理等による特別損失として68億8200万円を計上したため、親会社帰属純損益は27億9600万円の赤字となった。

◎産婦人科領域でリーダー的なカンパニーへ　成長ドライバーレルミナに期待

医療用医薬品の売上高は前年同期比2.0%増の256億1900万円。19年3月に子宮筋腫治療剤として発売したGnRHアンタゴニストのレルミナ（一般名：レルゴリクス）が47.0％増、18年12月発売のノーベルファーマの月経困難症治療剤ルナベルのAGであるフリウェルが23.0%増と、産婦人科領域の新製品群が増収をけん引した。山口社長は「拡大が予測される産婦人科領域でリーダー的なカンパニーになることを目指しており、それに向けて順調に進んでいる」と表明した。

成長ドライバーと位置付けるレルミナについて山口社長は「子宮筋腫の標準治療薬として拡大していくことが予想される」と述べるとともに、子宮内膜症の効能追加を承認申請中（11月26日の薬食審医薬品第一部会で報告予定）であり、「中計の25年度目標である100億円強を非常に早期の段階で達成することもできる可能性の中で進んでいる」と語った。山口惣大代表取締役専務取締役は「まずはレルゴリクス（レルミナ）での市場浸透を図り、その後レルゴリクス配合剤でより一層の市場の拡大を目指す」と述べた。

内科領域では、16年11月発売の肝性脳症における高アンモニア血症の改善に用いる難吸収性リファマイシン系抗菌薬リフキシマが13.2%増、20年6月に静注液が加わった甲状腺ホルモン剤チラーヂンが5.9％増と堅調だった。高血圧症治療剤カンデサルタン類（配合剤を含む）も2.3％増を確保。その販売動向について丸尾篤嗣代表取締役専務取締役は「他のジェネリックメーカーの出荷調整等の動きを受けて代替需要の影響があった。下期についてはそうした影響がはげ落ちていく他、22年4月薬価改定に伴う買い控えが年明け以降起こってくる」と説明した。

通期業績予想については、9月27日にウリプリスタル承認申請取り下げに伴う特別損失計上を発表した際、売上高を25億円、営業利益20億円、経常利益21億円引き上げる一方、親会社帰属純損益を34億円引き下げており、今回それから変更はない。

【連結実績 （前年同期比）　21年度通期予想（前期比）】
売上高　284億7700万円（3.9%増）　545億円（1.2%減）
営業利益　26億5700万円（36.5％増）　35億円（3.0%減）
経常利益　27億4300万円（40.5%増）　36億円（16.4%増）
親会社帰属純損益　△27億9600万円（―）　△26億円（―）

【国内主要製品売上（前年同期実績）、通期予想、億円】
カンデサルタン類　62.59（61.17）116.51←修正前106.05
チラーヂン　37.90（35.79）73.65←修正前72.79
レルミナ　37.03（25.19）76.94←修正前72.57
リュープロレリン　25.20（22.74）44.39←修正前39.19
リフキシマ　24.64（21.76）51.70←修正前53.01
フリウェル　16.67（13.55）30.06←修正前26.55
メルカゾール　7.51（6.98）14.35←修正前14.66
アムロジピン　5.55（6.32）10.91←修正前11.02
リルゾール　4.95（5.60）10.17←修正前10.26
マグセント　4.67（4.66）7.94←修正前7.00
アンジュ　4.46（4.53）9.05←修正前10.16