あすか製薬ホールディングスは11月12日の2024年度第2四半期決算説明会で、成長ドライバーである子宮筋腫・子宮内膜症治療薬・レルミナ(一般名:レルゴリクス)の後継品として国内開発中のレルゴリクス配合剤(AKP-022)について、子宮筋腫を対象とした第1/2相試験が終了し、第3相試験の準備に入ったことを明らかにした。山口隆代表取締役社長は「次期中計の26~30年度の間の上市を目指して進めていきたい」と述べた。
◎レルミナ 通期で100億円突破見込むも期初予想から引下げ 子宮内膜症でも浸透狙う
同社の最重点品目であるレルミナの売上実績は、前年同期比4.4%増の54.13億円となった。通期では、前期比8.3%増の107.26億円と100億円突破を見込んでいるものの、期初予想の112.51億円からは5.25億円引き下げている。2019年3月に子宮筋腫の適応で発売、21年12月に子宮内膜症に適応拡大したレルミナだが、市場規模が大きい子宮筋腫(23年患者数238万人:JMDC調査)では、比較的高いシェアを獲得している一方、子宮内膜症(同99万人)では、競合品のジエノゲストのシェアが大きく、苦戦している状況だ。山口社長は「子宮内膜症でのレルミナ投与患者数はまだ6万人で、これから大きな市場があるので、浸透を図っていく」と述べた。
レルミナの投与期間が原則6か月までに制限されているのに対し、レルミナに加え、エストロゲンとプロゲステロンを配合し、6か月以上の長期投与が可能となることを期待して開発しているのが「AKP-022」。国内において子宮筋腫で第3相試験の準備に入るとともに、24年5月に武田薬品から独占的開発・販売権を追加取得した子宮内膜症でも開発準備中だ。山口惣大代表取締役専務取締役は「長期投与ができないことによりレルミナの処方を控えているような患者さん、また、そもそも薬物治療を行っていない患者さんに広げられると考えている」と述べた。
◎内科領域 リフキシマの売上は7.7%増の32.27億円
レルミナ以外では、月経困難症治療薬・ヤーズの後発品として22年6月に1社単独発売したドロエチの売上は23.3%増の35.89億円となった。想定以上の進捗を示したことから、通期予想を15.4%増の70.70億円と、期初予想の59.90億円から10.80億円引き上げた。また、産婦人科とともに注力している内科領域では、難吸収性リファマイシン系抗菌薬・リフキシマの売上が7.7%増の32.27億円となった。通期では、7.2%増の62.88億円を予想し、期初予想の61.17億円から1.71億円引き上げた。
第2四半期の連結業績は、売上高が2.3%増の323.71億円、営業利益が9.5%増の33.45億円の増収・増益となったが、前年に特別利益として投資有価証券売却益を計上した反動により、親会社株主帰属純利益は38.0%減の25.60億円となった。通期予想は期初から変更していない。
◎経口避妊薬・LF111を6月に国内申請
研究開発面では、国内初のプロゲステロン単剤の経口避妊薬(POP:Progestogen-Only Pill)となる見込みの「LF111」について、24年6月に承認申請した。その売上規模について山口専務は「現在、国内の経口避妊薬全体の市場規模は100億円弱となっている。海外を見ると、POPの市場は10~20%ぐらいなので、それぐらいの規模を目指していく」と述べた。
【連結業績(前年同期比)通期予想(前期比)】
売上高 323億7100万円(2.3%増)630億円(0.2%増)
営業利益 33億4500万円(9.5%増)67億円(3.1%増)
経常利益 33億1200万円(7.0%増)67億円(2.7%増)
親会社株主帰属純利益 25億6000万円(38.0%減)50億円(33.7%減)
【国内主要製品売上(前年同期実績)通期予想、億円】
レルミナ 54.13(51.86)107.26←修正前112.51
カンデサルタン類 43.02(49.52)83.88←修正前86.26
チラーヂン 40.52(40.00)78.61←修正前80.18
ドロエチ 35.89(29.09)70.70←修正前59.90
リフキシマ 32.27(29.97)62.88←修正前61.17
リュープロレリン 20.37(23.21)39.38←修正前39.62
フリウェル 15.50(16.63)30.26←修正前31.01
ルテウム 11.43(8.76)23.41←修正前21.06
メルカゾール 7.92(7.76)15.26←修正前15.10
アムロジピン 4.00(4.30)7.84←修正前8.06
マグセント 3.76(3.55)7.13←修正前6.65
アンジュ 3.50(3.67)7.46←修正前7.90