東邦HD・有働社長 「自主回収・出荷調整でMSや物流に相当の負担が」 販管費率は5%未満に抑制へ
公開日時 2021/11/17 04:51
東邦ホールディングスの有働敦社長は11月16日のオンライン決算説明会で、「新型コロナの対応に加え、後発品の自主回収・出荷調整でMSや物流に相当の負担がかかった」と第2四半期業績を振り返った。また薬価中間年改定のスタートにあたり、「仕切価やリベートのあり方など準備が整わないかでスタートを切った。その意味でメーカーとの交渉が十分できていなかったと感じている」と述べ、「これからは製品ごとに経費を乗せた価格をきちんと提示し、これが原価に経費を乗せた価格であることを得意先に説明できるような取引形態に変えなければならない」と意気込んだ。
◎取引卸限定の製品売上 21年9月期709億円・34品目に拡大
「いわゆる売上を最優先とするこれまでのビジネスに限界がきている」-。説明会の中で有働社長が何度か口にしたフレーズだ。第2四半期の卸売事業の国内業績は、新型コロナ関連の試薬や医療機器や、取引卸を限定したスペシャリティ・希少疾患医薬品の売上伸長で増収を確保できた。取引卸を限定した製品売上をみると、20年9月期実績の615億円(23品目)に対し、21年9月期は709億円(34品目)に拡大した。これを実現する施策として、厳格な価格管理(価格ロックシステム)や、現物在庫と理論在庫がリアルタイムで一致する高精度なオペレーションなど、「選ばれる卸」となるための取り組みにも注力した。ただ、一方で、通常取引は納入価の改善に取り組む一方で、仕切価上昇をカバーし切れずに売上総利益率は計画未達となるなど、従来型ビジネスの課題も見えているところだ。この日の説明会でも、既存事業にとどまらない新たな収益源の獲得に関する説明に多くの時間を割いた。
◎馬田社長 販管費5%未満に抑制「スピード感をもってそのための施策を推進したい」
東邦薬品の馬田明社長は説明会で、「今後販管費率を5%未満に抑制する必要がある。スピード感をもってそのための施策を推進したい」と強調。「現在検討を進めている営業拠点と物流拠点の統廃合は、できるだけ早いタイミングで実行したい」と明言した。中でもMS機能の見直しを進めるとし、医薬品のプロモーションと顧客支援システムの提案を担うMSと、配送を担うEMSを明確に区分する。「それぞれの人数の最適化と拠点の整理を進める」との方針を明らかにした。
◎TBCダイナベースによる効果 年間15億円の削減効果を計画
一方で、TBCダイナベースによる経費削減効果についても触れ、①自動化に伴いセンター人員を250人から180人に削減することで年間約5億円、②配送コスト削減で年間4500万円、③営業所効率化に伴う人員削減で年間9000万円、④ノー検品・得意先まとめによる営業所検品と納品時間短縮で年間のべ9億円-で、年間15億円の削減効果を計画していると述べた。加えて、「コロナ禍の経験で培ったWeb会議の面談スタイルによる経費削減の継続や人員数の適正化について今後スピード感をもって実行したい」と強い意欲を示した。
同社の22年3月期第2四半期連結業績は、売上高6208億4500万円(前年同期比4.17%増)、営業利益18億6300万円(同45.66%増)、経常利益48億200万円(同13.66%増)。うち医薬品卸売事業の売上高は5969億8300万円(同4.24%増)、営業利益11億3000万円(同38.72%減)となった。
カテゴリー別売上構成比は、新薬創出等加算品40.3%(前年同期35.9%)、特許品・その他33.7%(同33.9%)、長期収載品12.7%(同16.7%)、後発品13.3%(同13.5%)。21年9月末の妥結率は金額ベースで95.0%、軒数ベースで71.1%だった。