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英NICEガイダンス案 乳がん治療薬ツカチニブを非推奨

公開日時 2021/11/04 04:49
英国立医療技術評価機構(NICE)は、10月26日、Seagen Inc社のチロシンキナーゼ阻害剤Tukysa(ツカチニブ)について、ヒト上皮成長因子受容体(HER)2陽性の局所進行もしくは転移乳がんの適応で抗HER2抗体製剤トラスツズマブおよび代謝拮抗剤カペシタビンとの併用でNHS(国民保健サービス)における通常使用を推奨しないとするガイダンス案を発表した。

Tukysaは、少なくとも2つ以上の抗HER2療法を受療したHER2陽性の局所進行もしくは転移乳がんの治療薬として薬事承認されている。しかし、NICEの委員会は、同剤との併用療法が病勢増悪を遅らせ、全体として延命しているものの、どの程度延命しているかが不確実と結論付けた。また、同剤との3剤併用の薬剤費が、費用対効果の観点から、NICEがNHSの資源を使用するのに通常、受容可能な範囲より高いとしている。

イングランドでは現在、毎年4万7000人が乳がんと診断され、約5人に1人はHER2陽性といわれる。約400人がツカチニブ、トラスツズマブおよびカペシタビンの3剤併用の投与適格患者とされている。

NICEのMeindert Boysen副理事長兼医療技術評価センター長は、「残念ながら、他臓器に転移した乳がんに治療法はない。化学療法の必要性を遅らせる新規の抗HER2療法が欠如している。特に、脳に転移してまった患者にとっては治療法が限定されている」と述べたうえで、「ツカチニブは、増悪前の時間を延長させ、どの程度全生存率を伸ばせるかという可能性を持つ有望かつ画期的な新規治療薬である。我々は、本日のガイダンス案で明るみになった問題について当該企業が解決を図るというので彼らとともに努力したい」と非推奨としたものの同剤のNHSでの使用に向けて尽力する考えを示した。NICEは、最終ガイダンスについて、11月16日まで意見募集を行う。
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