メディパルHD MSによるオンライン面談機会急増 財務的インパクトも 「MSの働き方改革」は継続
公開日時 2021/11/02 04:51
メディパルホールディングスは11月1日、コロナ禍におけるMSによるオンライン面談の機会が急増し、20年7月実績の170回が9月時点で2万3247回に達したと報告した。渡辺秀一社長は同日開催した22年3月期第2四半期決算説明会で、コロナ禍におけるMSの働き方を考える中で、「いままでと同じ仕事のスタイルで良いのかという議論が社内で起きている」と強調。アフターコロナもオンライン面談を継続させ、「MSを進化させていく」と意欲を示した。
同社は新型コロナ対策として、非接触方式による個口スキャン検品や、MSによる得意先とのオンライン面談に注力している。個口スキャン検品は、従来の伝票読み上げ方式から納品箱単位でのバーコードスキャン方式に変更しており、検品時間を短縮させることができる。利用実績も20年3月実績の54%から、21年9月には69%まで出荷割合を増加させるに至った。
◎渡辺社長「むしろ、いままでと同じようなモデルでいることの方が苦しくなる」
一方、オンライン面談はメディセオのMSが、顧客である医療機関の医師や薬局の薬剤師との面談をオンラインで行うもの。コロナ禍で医師と面会できない製薬企業のMRと得意先の医師の間にMSが立って、オンラインで面談をサポートする活動で、この間実績をあげてきた。一方で、在宅勤務しているMSが顧客の医師や薬剤師とオンラインを通じて面談したり、MSが昼休みの時間を利用してオンラインで顧客の要望に応えるような活動も行っている。この日の決算説明会で同社は、「オンライン面談は財務的なインパクトもある」と明かしてくれた。
渡辺社長は、「これまでの仕事の仕方が、コロナが終息後に戻るかというと、そうでない気がする。むしろ、いままでと同じようなモデルでいることの方が苦しくなる」と指摘。コロナ禍の経験を活かし、新しいビジネススタイルを構築する必要性を示すと同時に、社員の働き方改革に取り組む姿勢を強調した。
◎渡辺社長 GEの出荷調整・回収問題の終息「下手すると3年弱かかるのでは」
渡辺社長はまた、相次いだ後発医薬品の出荷調整や自主回収について、「肌感覚で言うと、MSは出社して2時間くらいはジェネリックの調達の話ばかりだ。これはある意味、生産性を生まない仕事をしている」と指摘した。通常は3か月分位ストックのあるジ後発品メーカーの在庫も、「いまは、この備蓄を補充しなければならない時期にきている」と強調。「GE問題は何時(いつ)収束するのか。下手をすると3年弱かかるのでは。そんなような状況だ」と述べた。
一方で8月に発表した日医工との資本業務提携については、「中長期的なパートナーシップを構築するため(日医工の)株式を取得した」と改めて説明。営業・生産・物流という3つの分科会を設置し、①生産品質、②計画発注、③最適な営業体制、④効率的なサプライチェーンの構築-の各課題解決に向けた検討に着手していることを明らかにした。
◎第2四半期業績 医療用医薬品市場は伸長 メディセオ事業は増収・大幅増益
メディパルHDの第2四半期連結業績は、売上高1兆6432億円(4.5%増)、営業利益242億円(35.1%増)の増収増益。医療用医薬品等卸売事業(メディセオ事業)は、売上高1兆776億円(6.1%増)、営業利益92億円(160.1%増)で増収・大幅増益となった。薬局販路での医薬品流通最適化の取り組みが評価されたほか、コロナの感染拡大などで検査試薬等の売上が増加した。このほか構造改革による人件費等の販管費の適正化が進んだ。