塩野義製薬 石黒浩阪大教授の「AVITA」と資本業務提携 CGアバター活用したソリューション開発へ
公開日時 2021/09/08 04:52
塩野義製薬は9月7日、ロボットやアバター研究の第一人者である石黒浩氏が創設した「AVITA」と資本業務提携契約を締結したと発表した。AVITAの有するアバター技術を活用し、医療・福祉分野でのロボットやCGアバターを活用した対話サービスや各種健康相談など、新たなヘルスケアソリューションの開発・提供を通じてヘルスケア領域の課題解決に取り組む。
同社は、中期経営計画「Shionogi Transformation Strategy 2030(STS2030)」において医療用医薬品を中心に提供する「創薬型製薬企業」から、ヘルスケアサービスを提供する「HaaS企業」へのビジネス変革を推進する。HaaSとは、「Healthcare as a Service」のことで、医薬品をコアビジネスに掲げながらも、患者や生活者に応じた様々なヘルスケアソリューションの開発・提供を目指すというものだ。アプリ、フィットネス、ヘルスチェックなども含まれており、「患者視点のソリューション」を新たな事業ポジショニングに打ち立てている。
◎AVITA 大阪ガス、サイバーエージェント、凸版印刷、フジキ、塩野義製薬から5.2億円調達
一方、今回資本業務提携した「AVITA」は、大阪大学大学院基礎工学研究科教授の石黒浩氏が代表取締役CEOを務める。石黒氏自身が「ムーンショット型研究開発制度」のプロジェクトマネージャーや、「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」のテーマ事業プロデューサーなどを手掛けており、企業との連携によって新たに生み出す研究成果を、社会に実装するといったミッションを掲げている。このためAVITAに対し、大阪ガス、サイバーエージェント、凸版印刷、フジキン、塩野義製薬などが総額5.2億円の資金調達に協力している。
◎アバター活用で社会に新たな価値を提供
AVITAの強みは、アバターと呼ばれる仮想空間(ネット世界)での姿(分身)を利用し、実世界の仮想化と多重化(virtualize the real world)を実現する技術を有していること。塩野義製薬とAVITAの両社は、「CGアバター」と呼ばれるネットワーク上の仮想空間でユーザーの分身として表示するキャラクターを活用し、医療・介護分野での新たなヘルスケアソリューションの開発・提供などを行う。こうした取り組みを通じて、社会に対して新たな価値を提供するだけでなく、患者や生活者のホスピタリティに対するニーズなどに応えることにしている。