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政府 新成長戦略実行計画を決定 製薬産業のイノベーション環境推進 薬価、後発品、流通で方針明示

公開日時 2021/06/21 04:53
政府は6月18日の臨時閣議で、新成長戦略実行計画を決定した。「医薬品産業の成長戦略」を重点戦略に明記した。製薬業界が主張するイノベーション環境の整備について、研究開発支援の強化や創薬ベンチャー支援、国際共同治験の推進などを盛り込んだ。薬価制度における新薬のイノベーション評価にも触れたほか、長期収載品等の評価のあり方の検討も明記した。後発品については、「製造販売業者による適切な製造・品質管理体制の確保を図る」と指摘したほか、共同開発の場合であっても、「承認審査時にデータの信頼性確保に関する確認を行う」との見解も明示した。

◎政府は医薬品産業のエコシステム確立の「司令塔機能」に

「ライフサイエンスは、デジタルやグリーンと並ぶ重要戦略分野であり、安全保障上も重要な分野である」-。医薬品産業の成長戦略の冒頭に、こう記した。政府が推し進めるデジタル化社会の実現にあって、医療分野の構造改革は、医薬品産業の今後の成長に直結するものといえる。国は、革新的新薬を創出する製薬企業が成長できる「イノベーション環境の整備」を新成長戦略に刻み、具体的な実行計画を明示することで、製薬産業が直面する課題解決の方向性を示した。その上で、政府として、医薬品産業のエコシステムを確立するための「司令塔機能の確立」を図ると強調するなど、政府の立場についても、あえて明言している

◎2021年末までに 東京圏と関西圏のグローバルバイオコミュニティ形成

具体的な成長戦略では、創薬ベンチャー支援や国内バイオ医薬品産業の強化、全ゲノム解析などの実行計画および、これに基づくロードマップの推進と、産官学の関係者が広く分析・活用できる体制の構築などを明示した。これに合わせた成長戦略の具体的施策として、2021年末までに「東京圏と関西圏のグローバルバイオコミュニティを形成し、アカデミア・製薬企業・ベンチャーキャピタル等における連携を促進する」との方針を示した。

◎新薬のイノベーション評価や長期収載品等の評価のあり方も検討

薬価制度については、製薬業界が主張する新薬のイノベーション評価や長期収載品等の評価のあり方について検討する。一方、医療上必要不可欠で、安定確保に配慮が必要な医薬品のうち優先度の高いものについては、「薬価の設定や抗菌薬等の安定確保が必要な医薬品の原料等の国内での製造支援、備蓄制度、非常時の買上げの導入などを検討する」とした。

◎後発品の共同開発「承認審査時にデータの信頼性確保に関する確認を」

様々な問題が指摘される後発品については、後発品企業が品質確保・安定供給・データの信頼性確保に責任を持つ体制を構築するため、「製造販売業者による適切な製造・品質管理体制の確保を図る」とした。共同開発にも触れた。成長戦略では、「共同開発であっても、承認審査時にデータの信頼性確保に関する確認を行う」ことを求めている。

◎売差マイナス、総価取引など商慣行「流通改善ガイドライン見直しなど対応策検討を」

医薬品流通にも触れており、一次売差マイナスや総価取引などの商慣行の問題に触れ、「これら改善に向けて流通改善ガイドラインの見直しを含めた対応策の検討を行う」と指摘した。このほか治療アプリなどのプログラム医療機器の開発・実用化の促進や審査体制全般の見直しなどにも言及している。
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