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薬食審・第二部会 モデルナ・アストラゼネカ2社の新型コロナワクチン 特例承認を了承

公開日時 2021/05/20 23:15
厚生労働省の薬食審・医薬品第二部会は5月20日、モデルナ社製とアストラゼネカ(AZ)製の新型コロナワクチンについて、いずれも特例承認することを了承した。厚労省は、21日にも特例承認する方針。接種対象者は両ワクチンとも18歳以上の成人となった。ただ、AZ製ワクチンについて、女性で極めて稀に血栓が生じるリスクが指摘されている。このため、21日に開催予定の厚生科学審議会(厚科審)予防接種・ワクチン分科会で、AZ製ワクチンの接種対象範囲などを具体的に定めた上で使用されることになった。

効能・効果は両ワクチンとも、「SARS-CoV-2による感染症の予防」。

モデルナ製ワクチンの名称は「COVID-19ワクチンモデルナ筋注」(一般名:コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2))で、先行するファイザー製ワクチン「コミナティ筋注」と同じ、メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン。モデルナ製ワクチンは4週間隔で2回接種する。筋肉内注射で使用する。モデルナが米国で実施した臨床第3相試験(COVE試験)では94.1%の有効性が示されている。

AZ製ワクチンの名称は「バキスゼブリア筋注」(一般名:コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン(遺伝子組換えサルアデノウイルスベクター))で、チンパンジーのアデノウイルスをベクターとして使用したワクチン。4~12週間隔で2回接種、筋肉内注射で使用する。厚労省によると、添付文書で、2回目は8~12週目に投与することで最大の効果が得られることが示される。AZが日本で承認申請した際のデータでは、有効率は70.4%とされる。

◎AZ製ワクチン “1回目接種で血栓発現した者”も接種不適当者に

接種不適当者は、両ワクチンとも、ファイザー製ワクチンと同じく、▽明らかに発熱を呈している者▽重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者▽本剤の成分に対し重度の過敏症の既往歴のある者▽予防接種を行うことが不適当な状態にある者――となる。AZ製ワクチンでは、「ワクチン接種後、血小板減少症を伴う血栓症を発現したことのある者」も接種不適当者となる。AZ製ワクチンの1回目の接種で血栓症が出た場合、2回目は不適当者に該当する。

◎血栓症 医療従事者に診断・治療の手引き 被接種者に血栓症の初期症状など周知

この日の部会では、AZ製ワクチンの血栓症に関する審議に多くの時間が費やされた。血栓症は適正な診断・処置ができればコントロール可能なリスクと確認された。総合的に同ワクチンの有効性と安全性を評価し、承認して差し支えない旨の結論に至った。

この“血栓症の適正な診断・処置”が行われるよう、▽医療従事者に対し、日本脳卒中学会と日本血栓止血学会の2学会が協力して作成した血栓症に係る診断・治療の手引きを情報提供すること▽被接種者に対し、血栓症はワクチン接種から2週間後によく発現し、初期症状として強い頭痛などが多いこと。また14日~28日間は強い頭痛、錯乱、けいれんなどに注意し、症状がみられた場合は医師の診断を受けることを周知すること――も確認された。

◎モデルナ製ワクチン 9月までに2500万人分供給予定

モデルナ製のmRNAワクチンは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のスパイクタンパク質をコードするmRNAを脂質ナノ粒子に封入したもの。当該mRNAがヒトの宿主細胞内に送達され、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質が発現すると、当該タンパク質に対する中和抗体産生及び細胞性免疫応答が誘導され、SARS-CoV-2による感染症の予防ができると考えられている。

モデルナ、パートナー企業の武田薬品、厚労省の三者は9月までに5000万回分を国内供給することで合意しており、6月までに4000万回分、7~9月までに1000万回分を供給する計画。同ワクチンは2回接種のため、2500万人分となる。マイナス25度~マイナス15度で6カ月保管できる。5月24日にも開設される大規模接種センターなどで使用される予定。

◎AZ製ワクチン 年内に6000万人分供給予定

AZ製ワクチンは、接種後、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質が宿主細胞で発現すると、当該タンパク質に対する中和抗体産生及び細胞性免疫応答が誘導され、SARS-CoV-2による感染症の予防ができると考えられている。

年内に1億2000万回分が国内供給される予定で、2回接種のため、6000万人分となる。2~8度で6カ月、冷蔵保管できることが特徴のひとつ。

AZ製ワクチンは国内で原液をJCRファーマが製造し、バイアルの充填や包装などの製剤化は第一三共とKMバイオロジクスが行う。ワクチンの保管・配送はMeiji Seika ファルマが担う。安全性情報の収集や情報提供活動は、AZが構築するウエブやメールを基本とするが、メールでの対応が難しい場合や副作用の再調査が必要な場合など、対面での対応が必要な場合は必要に応じてMeiji Seika ファルマのMRが担当する。
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