持田製薬 21年3月期決算 消化器領域3薬が好調で増収増益
公開日時 2021/05/17 04:49
持田製薬は5月14日、2021年3月期(2020年度)の連結業績について、売上高が前年度比1.2%増の1029億9500万円、営業利益が36.3%増の120億300万円の増収増益だったと発表した。新型コロナウイルス感染症の影響による受診抑制や20年4月実施の薬価改定の影響はあったものの、新薬の潰瘍性大腸炎治療薬・リアルダと慢性便秘症治療薬のグーフィス、モビコールの売上高が伸び、業績を支えた。
業績をけん引したのは、重点領域に位置付けている消化器領域で、リアルダは前年同期比21%増の109億円、グーフィスは31%増の49億円、モビコールは87%増の35億円とそれぞれ成長した。また月経困難症治療薬・ディナゲストも39%増の22億円と売上に寄与したほか、後発品事業も業績を牽引した。バイオシミラーの関節リウマチ治療薬「エタネルセプトBS「MA」が伸長したほか、19年11月に発売した骨粗鬆症治療薬「テリパラチドBS 「モチダ」」の売上も寄与した。今期から売上計上された痛風・高尿酸血症治療薬ユリスは2億円を売り上げた。同社では、初年度は6億円の売り上げを見込んでいたが、新型コロナウイルス感染症の拡大によるMRの医療機関への訪問自粛の影響で、新製品の浸透が困難だったと説明している。
一方、薬価改定や後発品浸透の影響を受け、売上が減少した製品も多かった。同社のトップ製品である抗うつ薬・レクサプロの売上高は6%減の155億円。また長期収載品の高脂血症・閉塞性動脈硬化症治療薬・エパデールは16%減の101億円、慢性疼痛・抜歯後疼痛治療薬・トラムセットは40%減の42億円、降圧薬・アテレックは15%減の39億円となった。
2022年3月期は売上高前年同期比1.5%減の1015億円とほぼ横ばいと計画する。営業利益は80億円で33.4%減と2桁減益を見込む。研究開発投資を積極的に進めたい考えで、研究開発費135億円(同24.4%増)を計画したことが影響している。親会社帰属純利益は60億円(同30.1%減)の見込み。
製品別では、引き続き消化器領域に期待を寄せる。グーフィスは34%増の66億円、モビコールは11%増の38億円との見込み。新薬のユリスは822%増の22億円を計画している。一方でトラムセットは27%減の31億円、アテレックは29%減の27億円、エパデールは18%減の83億円の見込み。薬価改定や後発品浸透の影響を受け、医薬品事業全体の売上は減少すると予想している。
【連結業績(前年同期比) 21年度予想(前年同期比)】
売上高 1029億9500万円(1.2%増) 1015億円(1.5%減)
営業利益 120億300万円(36.3%増) 80億円(33.4%減)
親会社帰属純利益 85億8700万円(86.8%増) 60億円(30.1%減)
【20年度主要製品国内売上高(前年同期実績) 21年度予想、億円】
レクサプロ 155(165)147
リアルダ 109(90)112
エパデール 101(121)83
グーフィス 49(37)66
トラムセット 42(71)31
アテレック 39(45)27
モビコール 35(18)38
ドキシル 30(28)26
ディナゲスト 22(16)20
トレプロスト 16(19)17
ヘパリンNa 13(14)13
ベセルナ 10(10)10
フロリード 9(10)10
ユリス 2(―)22
後発品 256(233)249