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筋ジストロフィー 新薬とHALの併用で構造的な変化に期待 ファイザーセミナー

公開日時 2021/02/19 04:49
ファイザーとRDD日本開催事務局は2月16日、国内の希少・難治性疾患を取り巻く状況や将来の治療法に関する研究開発の重要性を伝えるプレスセミナーをウエブで開催した。Rare Disease Day (RDD、世界希少・難治性疾患の日)は、より良い診断や治療によって希少・難治性疾患患者の生活の質(QOL)の向上を目指したイベント。毎年2月の最終日をRDDとしており、今年は2月28日となる。

セミナーでは、国立精神・神経医療研究センター臨床研究支援部の中村治雅部長が、筋ジストロフィーを取り巻く治療法開発の現状について~特にDMDを中心に」をテーマに講演した。

筋ジストロフィーは、骨格筋の壊死・再生を主病変とする遺伝性筋疾患の総称。デュシェンヌ型筋ジストロフィー (DMD)は、筋ジストロフィーの中で最も発症頻度が高い病気で、体の中心に近いところから筋力低下の症状が現れることが特徴となる。「ジストロフィン」というタンパク質が作られなくなるために筋肉が壊れやすく、再生が追い付かなくなるため、徐々に筋力が低下していき、運動機能などさまざまな機能に障害が起こる。DMD遺伝子の変異が原因となる。

確立された治療法確立された治療法はないが、国内では唯一の薬として、ステロイド剤のプレドニゾロンが2013年に公知申請されて承認された。歩行可能期間の延長に加えて、呼吸機能、心機能、側湾症への効果も期待されているという。

ゲノム編集(遺伝子組換え)技術によるDMDの治療も研究されているが、応用へは課題が残されている。 ①修復効率が不十分である、②iPS 細胞から筋細胞へ分化させる方法は改良の余地がある、③筋細胞を全身の筋肉へ届ける方法がない-などだ。

2015年には、サイボーグ型ロボットHAL(Hybrid Assitive Limb)が承認された。生体電位信号に基づいて下肢の動きを助け、歩行運動を繰り返すことで、歩行機能を改善することを目的として使用する。

中村部長は、新たな薬剤とHALにより治療を組み合わせた複合治療によって歩行機能が獲得できることに期待を示した。「新薬剤とHALとの併用よって、特に小児期の成長、神経の機能的、構造的な変化への期待ができる」とまとめた。

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