ヘルスケア産業プラットフォーム 加盟者数が数万人増へ ものづくり産業労組「JAM」も参加
公開日時 2020/11/13 04:50
UAゼンセンとJEC連合が設立したヘルスケア産業プラットフォームは11月12日、医療機器を中心にヘルスケア産業に働く労組を多数組織する、ものづくり産業労働組合「JAM」も同プラットフォームで活動することになったと発表した。
JAMに所属するヘルスケア関連企業の労組が同プラットフォームに参加する予定で、現在、参加労組数や組合員数を調査している。同プラットフォームの篠原正人共同代表(武田薬品労働組合中央執行委員長)はこの日、都内で開いた総会後の記者会見で、「(JAMの参加で)プラットフォームの加盟者数は数万人増える」と説明した。現在約7万人の加盟者数がどの程度まで増えるかについては、「全体では10万人は超えない」との見通しを示した。
JAMには約2000の単位労働組合(単組)から38万人が加盟している。島津製作所やシスメックスといった大手のほか、100人以下の組合が6割、30人以下の組合が4分の1を占めるなど、中小の労組も多い。連合を構成する産業別労働組合の中で、JAMは5番目の勢力となっている。
■労組の連携強化に向けて産業別・職種別委員会を新設
同プラットフォームはこの日の総会で、21年度の活動方針を決定した。製薬、OTC、ワクチン、医療機器、化粧品といった各分野の構造変化のほか、デジタルトランスフォーメーションの推進、さらにはコロナ禍も加わって、市場環境や働き方が大きく変化している。このため、同プラットフォームに加盟する労組の連携強化や密な交流・情報交換に向けて、21年度に業種別委員会と職種別委員会を新設することにした。
業種別委員会として、▽先発品▽後発品▽OTC▽医療機器・材料▽医薬品卸▽原薬・受託製造▽化粧品――の7委員会を設置。職種別委員会はニーズに応じて設置するが、まずは▽営業▽研究・開発▽製造――の委員会を置く。
篠原共同代表は委員会を新設する理由について、「ヘルスケア産業プラットフォームは非常に幅が広く、政策を推進するということでは幅の広さが大きなメリットになるが、各単組でみると、もっと細かい単位で情報交換する必要がある」と説明。Web会議システムを用いて、労組の規模の大小にかかわらず情報や課題を共有し、「一緒に活動していくという雰囲気を醸成していきたい」と話した。
安原三紀子共同代表(JEC連合副会長)は会見で、「中長期的に見れば、産業構造が変わる中で雇用の移転があることは自然なこと」とした上で、「(委員会などで)日頃から互いの労働環境や労働条件について情報交換しながら相互に高めていくことが、雇用なり労働条件を守ることになる」と述べた。
市場環境の変化に伴う人材の流動化に対して、ヘルスケア関連産業を広くカバーするプラットフォームとしての情報交換機能をより発揮することで、より良い労働環境や労働条件の整備につなげるねらいもあるようだ。