キッセイ薬品 20年度上期は増収・営業減益 導入品増で原価率9ポイント超上昇
公開日時 2020/11/06 04:50
キッセイ薬品は11月5日、2021年3月期(20年度)第2四半期決算を発表し、上期業績は売上が322億8400万円(前年同期比2.3%増)、営業利益は20億4400万円(12.4%減)の増収・営業減益だった。新型コロナの感染拡大で情報活動が思うように進まなかったが、過活動膀胱治療薬ベオーバや腎性貧血治療薬ダルベポエチンアルファBSなどが大きく伸び、業績全体の増収に寄与した。営業活動経費の未費消など利益を押し上げる要因はあったものの、両剤をはじめとする増収品目の多くが導入品であることから売上原価率が上昇。20年度上期の原価率は50.1%で、前年同期の40.7%から9.4ポイント悪化したことが響き、2ケタの営業減益となった。
ベオーバは製造販売元の杏林製薬と共同販売中。ダルベポエチンアルファBSは製造販売元のJCRファーマが製造し、キッセイが販売している。20年度上期売上は、ベオーバは33億8700万円(前年同期比597.2%増)、ダルベポエチンアルファBSは26億7600万円(同-)――。両剤とも想定を大幅に上回る引き合いにより、現在も出荷調整中となっている。
このほか、20年4月にキッセイに販売移管された夜間頻尿治療薬ミニリンメルトOD錠や、同じく販売移管された糖尿病薬マリゼブも今期から売上計上されたが、原価率も上がった。
■20年度通期計画を上方修正 営業利益は一転して黒字確保へ
20年度通期計画は、当初計画から上方修正した。ベオーバなど主力品の好調、新型コロナによる営業活動や研究開発への影響、自社創製の抗パーキンソン病薬「KDT-3594」(開発コード)の香港企業への導出による契約一時金などを加味した。
修正計画は、売上は当初計画から25億円増となる680億円、営業利益は同54億円増の8億円と設定した。期初計画では、営業利益は原価率の悪化や研究開発への積極的な投資により46億円の赤字を見込んでいたが、今回、一転して黒字となる計画をたてた。
営業利益の黒字化は、▽営業活動費の未費消などによる販管費の減少▽米国企業から導入した膀胱がんなどを対象に開発中の腫瘍溶解性ウイルス療法「CG0070」(開発コード)」のロイヤルティ支払の次期への期づれ▽自社創製の「KDT-3594」の導出に伴う契約一時金収入が見込まれる――ことが主な理由となる。
【20年度第2四半期連結業績 (前年同期比) 通期予想(前年同期比)】
売上高 322億8400万円(2.3%増) 680億円(7.5%増)←修正前655億円
営業利益 20億4400万円(12.4%減) 8億円(56.9%減)←修正前46億円の赤字
親会社帰属純利益 43億9600万円(104.4%増) 46億円(63.3%増)←修正前31億円
【20年度第2四半期の国内主要製品売上(前年同期実績) 通期予想、億円】
ベオーバ 33.87(4.85) 70←修正前59
ミニリンメルト他 15.11(-) 39←修正前44
ユリーフ 19.69(35.40) 37
ピートル 30.39(29.25) 64←修正前66
エポエチンアルファBS 22.80(30.73) 40←修正前35
ダルベポエチンアルファBS 26.76(-) 47←修正前27
グルベス 21.81(23.50) 44←修正前47
グルファスト 6.19(7.52) 11
マリゼブ 7.96(-) 18←修正前20
サラジェン 7.81(8.28) 15.7
レクタブル 4.12(3.81) 8.2
ベザトール 5.61(7.48) 10.6←修正前11.6